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━━━生活者通信メルマガ版━━━ 平成26年9月1日 Vol.122━

民主国家の危機と知的退廃−公明党に期待すること

                       生活者主権の会 松井 孝司

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国家に危機をもたらす権力者の知的退廃

 民主化により社会の安定が期待された「アラブ」の春や、BRICS
などの新興国が経済発展を期待されながら混迷と停滞をつづけるの
は何故だろうか?危機がより深刻なイスラム諸国とカトリック諸国
の宗教思想を検証すべきで一神教が教える人生観が人間の社会に対
立と聖戦の論理を生み価値観や倫理観が科学技術や勤労を重視しな
いことが問題である。

 民主主義は古代ギリシアで誕生したとされるが文明先進国であっ
た筈のギリシアが2000年以上も経過した後、民主国家のヨーロッパ
連合に参加して経済危機に見舞われることは衆愚政治に陥りやすい
民主国家の欠陥を良く現わしている。メディアが正しい知識を持た
ずに事実を曲げて報道し、政党は選挙を意識して権利だけを求める
国民に迎合するようになると民主国家の危機は避けられないのだ。

 中国のような報道の自由を許さない一党独裁の専制国家は権力者
に先見力があり、問題の解決力があれば国家が崩壊することはない。
共産党員の前衛思想は筋金入りと聞く。中華人民共和国が名実とも
に民主国家となって無知な人民が増えると1930年代のドイツのよう
に国家社会主義(ナチズム)に転じ暴走する可能性がある。恐れる
べきは偏った知識で洗脳されやすい無知な国民であり警戒すべきは
江沢民の反日教育で洗脳された中国国民の「反日」思想である。

 日本は明治維新で政治権力を天皇に集中させることに成功し、一
部に自由民権運動も許容して異論の存在を許しながら有司専制の国
家を創り、世界でも稀に見る経済発展を成し遂げることができた。
ケ小平、朱鎔基らが天安門事件で民衆を弾圧しながら実現した中国
の急速な経済成長は日本が近代化に成功した明治初期の有司専制に
学んでいる可能性が高く、中国の指導者が佐賀の乱、西南戦争を勃
発させた明治6年の政変以降の日本の失敗の歴史にも学び一国多制
度の連邦制を容認して国内の紛争を回避し、富国強兵に成功すれば
中国は米国を凌駕し名実ともに中華思想を実現することになる。

 副島隆彦氏らは近著「フリーメーソン=ユニテリアン教会が明治
日本を動かした」(成甲書房刊)の中で幕末・明治維新で活躍した
福沢諭吉、板垣退助、山尾庸三、西周ら重要人物11名の思想的背景
を解明している。秘密結社とされるフリーメーソン(自由な石工)
は文字通り国境を越えて活躍する技術者集団であり、国家の自立と
近代化には科学技術が不可欠であることを日本に教え、明治政府も
高給を払ってお雇い外国人技師を採用し巨額の教育投資を行った。
副島隆彦氏によればユニテリアンというプロテスタントの一派は今
もヨーロッパとアメリカの理科系の物理学者や工学者たちの間で一
番信じられている宗教思想であるという。ユニテリアンはキリスト
の三位一体を否定し真理は一つと考える宗派のため一神教であって
も普遍原理を尊重する科学と親和性が高いのだ。

 明治政府はユニテリアン教会を拒否しなかっただけではなく、明
治元年の神仏分離令により神道の国教化を推進し廃仏稀釈を行って
仏教宗派の既得権を解体している。品川御殿山のイギリス公使館を
焼き討ちした後イギリスに密航した長州ファイブの伊藤博文や井上
馨らの尊王攘夷論者が開国論者に豹変できたのは偏見を持たず環境
の変化に柔軟に対応する知力を持っていたからである。日本の近代
化は普遍性を持つフリーメーソン思想の具体化でもあった。明治維
新を成し遂げた幕末の日本人が「自由」と「平等」の本質と科学技
術の重要性を正しく理解する知力を備えていたことを高く評価した
い。

 第二次世界大戦後、日本は天皇主権を改め日本に原爆を投下した
米国を拒否しないどころか米国から与えられた民主主義にいち早く
順応し、知的資源に目覚めて日本企業は米国の最先端の科学技術を
競って導入した。戦後の日本国民が短期間に豹変したことは価値観
の激変に対応できた明治の初期と酷似する。

 日本は世界でも類い稀な二度目の経済発展を成し遂げることがで
きたが、政府債務が1000兆円を超えるまでに累積されてしまったこ
とが問題である。日本経済の低迷で借金返済の見通しが立たない現
状は国家が破綻していることと変わりは無い。異次元の金融緩和で
デフレ経済と円高を阻止し通貨の価値と借金を目減りさせる方策は
避けることができない平成版の徳政令でもある。

 日本政府の債務が増え続ける原因は地方自治体が中央政府から支
給される地方交付税に依存するようになり国民の自立心が乏しくな
ったからだろう。多くの若者が難しい科学を学ぶことを避けてスマ
ホゲームに熱中し、地方議会では議員の知的退廃が著しく政務活動
費の不正使用などの不祥事が続発し、お金より「命が大切」とする
国民の声に応えて財政支出をつづけた結果、社会福祉関係予算は際
限なく拡大している。「予算」の不足を議員の「知力」で補い問題
を解決すべき議会が無用の長物になり、税金の無駄遣いを止められ
ないのだ。

 民主主義国家には平等を重視する「社会主義」国家群と個人の自
立を尊重する「自由主義」国家群がある。「平等」には大きな政府
による規制が、個人の自立には個人の「自由」な活動を容認する小
さな政府が求められる。旧ソ連邦の崩壊で米国を筆頭とする自由主
義国家群の優位が検証されたが小さな政府の優位性はいまだ検証さ
れていない。自由競争がもたらす格差を非難し規制を求める人達は
大きな政府を望む社会主義者であり、格差是正だけが正義と信ずる
人達だろう。日本政府の巨額の累積債務は個人の自立を尊重せず大
きな政府を容認してきた結果でもある。

 民主主義国家の健全な発展には「自由」と「平等」を同時に実現
する必要があり、国家と宗教で異なる人間社会の「正義」について
内容の再検証が求められる。(註参照)


与党・公明党に期待すること

 公明党の立党の目的は仏教の「正義」を具体化する「王仏冥合」
の実現であり、「国家に危機をもたらす誤った思想を戒める」こと
にあった。「王仏冥合」は政治権力を奪うことではなく仏教思想と
王法(権力)の一体不可分の関係を意味している。「冥合」が意味
する不可分の関係は「一致」ではないが、言葉では説明が難しい矛
盾を含む概念であり、宗教法人創価学会と公明党の関係を「政教一
致」と批判され、公明党の支持率が低迷するのも当然だ。

 創価学会は私益法人である宗教法人格を返上し、文字通り「価値
を創造する学会」となり公益を目的とする非営利法人に変身できれ
ば「政教一致」の批判は解消できる。

 個人が自立するための教育と新しい付加価値の創造のみが日本を
財政破綻から救済できることを論証することによって大多数の国民
の賛同を得て支持者を国民の1/3以上に拡大し、先見力と問題解
決力をもつ人材を参議院に限定して選出することができれば選挙に
依存しない賢者の集団が国会に誕生し、創価学会は初代会長牧口常
三郎氏の「公益」を「善」とする「創価教育学」の理念を実現する
ことになる。

 国の唯一の立法機関である国会の参議院が賢者の集団となり「賢
王」に相応しい存在になれば、日本の国会は民主国家を衆愚政治か
ら守る砦になる。野党の一部には参議院を廃止して一院制にしよう
とする動きがあるが、これは一時的な偏見と対立により紛争と破壊
を繰り返してきた人間集団の歴史を知らない人達のすることである。

 野党が低迷する中で公明党の支持率が上昇し1/3以上になるこ
とがあれば与党の主導権は自民党と逆転する。与党間に緊張感が生
まれると議員、公務員、予算削減などの難題の先送りは許されなく
なり、公明党と自民党の与党間での政権交代が続くことになるかも
知れない。

 日蓮は「未萌を知る人、将来を予見できる人」を聖人と呼んでい
る。今日の混迷を深める社会に求められる人材は正しい知識で先見
力を発揮し、国家の危機をいち早く予見して臨機応変の知力で問題
を解決する賢者である。日蓮は仏教の「善悪不二」(善と悪は一体
不可分)の思想にもとづき「大悪起これば大善きたる」と予見して
いるが、「大悪」を「大善」に変えるには「悪」をもたらす偏見を
論破し破折しなければならない。

 「正義」を忘れた権力者と自国内の紛争や他国からの侵略の危機
との因果関係を力説したのは日蓮である。日蓮は「立正安国論」を
執筆し「念仏無限(地獄)、禅天魔、真言亡国、律国賊」と叫び真
実の追求を忘れ権力者を諌めない仏教各派を論破しようとしたが、
「かかる日蓮を用いぬるとも悪しく敬えば国滅ぶ」とも述べている。
権力者が愚かで正しい知識を持たないと国は滅ぶと主張した予見は
20世紀になって的中した。

 仏教各派は寺請制度で江戸幕府の管理下に置かれ学問研鑽の拠点
であった仏教寺院は墓守となり知的退廃の典型になってしまった。
明治政府が廃仏稀釈を行ったのは仏教寺院に存在価値が無くなった
からである。日蓮が今日に生きておれば正義を実践しない日蓮宗各
派と公明党も批判の対象に加えるだろう。日蓮が権力者の住む鎌倉
の路上で辻説法をしたように日蓮の意思を継ぐ者が偏見や既得権益
の虜になっている政党、党派、マスメディアを論破し、正しい知識
を国内に周知徹底できれば日本の運命は変わる。

 21世紀は超高齢化に対応できる生涯現役のライフスタイル、化石
燃料依存がもたらす気候変動、食料、エネルギー危機と他国からの
経済的侵略に備えた金融産業政策が重要になる。創価学会は価値の
創造を目的とする「創価教育学会」創設の原点に戻り、「生死不二」
「善悪不二」の人間の本質を現代の言葉で語り、無知な国民の盲目
を開くことができれば日本の民主政治は激変し財政破綻の危機も回
避できるだろう。

註)宗教と正義:
    http://www2u.biglobe.ne.jp/~shimin/tmatsui/mokuji.html参照


「著者・松井孝司氏関連のHP」
「市民が創る日本再生のシナリオ」
http://www2u.biglobe.ne.jp/~shimin/saisei/
「21世紀のライフスタイルを考える会」
http://www.jstyle21.net/
http://www.seikatsusha.org/ne/ma/


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−「創刊号」 2005年01月01日発行−
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