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━━━生活者通信メルマガ版━━━ 平成29年10月1日 Vol.144 ━

日本国憲法は聖典ではない!

                       生活者主権の会  峯木 貴

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はじめに

憲法改正反対派の方から、以下のような意見をいただいた。
「・・・私は反対だが・・・」と反対意見として前置きをした上で、
その反対意見があげられている。

しかし、私はその反対意見に賛成である。

ここが、そもそもの憲法改正の国民的な意見の対立軸だと思う。

−−意見−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

「もし国民の半数以上が「普通の国と同程度の国防や安全保障体制
の整備」を望むなら、私は反対だが:

い)アメリカと同程度以上の核武装を含めた軍備増強をする

ろ)国防を志願兵(自衛隊)に任せず、国民皆兵(徴兵制)で祖国
  を守るべき

は)友好国からの要請があれば、躊躇なく海外派兵、不穏な仮想敵
  国があれば、「我が国の安全を確保」する為に先制攻撃で危険
  な芽を摘み取る

に)憲法を新しい安全保障体制に合わせて大改正する」

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

もう一つ重要なことがある。

−−意見−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

「もし他国の正規軍が侵略してきた場合、強く抗議し、侵略者の無
法を世界に訴えるが、応戦・報復・復讐はしない。」

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

ということも書かれていた。

ここも改憲に関する重要なところで、敵国が攻めてきた場合に、応
戦するのかしないのか。

ここも国民の意見が真っ二つに分かれる。


1.憲法9条そのものが違憲である

ケント・ギルバート氏は著書「米国人弁護士だから見抜けた日本国
憲法の正体」で、憲法9条は国民の命を守ることができないため、
違憲である、といっている。

日本国憲法が制定されてから70余年がたち、国際情勢が変わり、憲
法に矛盾を生じてしまったのである。

その場合どうしたらよいか。

改正すればよいのである。

これはあくまで一般論であるが、日本国憲法は違う道を歩んできた。


2.憲法は聖典か

ところで、日本国憲法も制定から70余年、一言一句変わっていない。
いままで国際情勢・国内情勢の変化により「解釈」で対応してきた。

これは立派な「聖典」である。

聖書のような聖典は、神が書いたもので神聖不可侵であるため、一
字一句変えてはいけない。その代わり、解釈を変えるわけである。
例えば、キリスト教では堕胎は禁止されているが、解釈により堕胎
を容認することもある。

人間は、神の書いた言葉を正確に読み取ることができず、その時代
による解釈によるしかない、といった考えかもしれない。


3.憲法改正の動き

日本国憲法が発効した当時、真っ先に現行憲法に反対したのが共産
党であった。

彼らは天皇制が存続することに非常にいら立ちを示しており、
日本共産党の日本人民共和国憲法(草案)(一九四六、六、二九発
表)を自ら作った。

前文の冒頭に
「天皇制支配体制によつてもたらされたものは、無謀な帝国主義侵
略戦争・・・」
とある。

その共産党は紆余曲折しながら、現在は護憲派の急先鋒となってい
る。

他方、自民党も改憲ということを旗印に集まった集団である。特に、
自民党の場合は憲法9条の改正が焦点になっている。

しかし、双方の改憲案はいまだに実現しておらず、制定後70年、一
文字も変化することがなかった。

このような状況で、もう一つの改憲案が浮上している。憲法9条に
自衛隊条項を付け加えようというものである。

それは、一文字でも変えよう、という思想が根底にある。

ところで、このような動きを海外の人から見たら、とても滑稽に見
えるだろう。

かつて軍事大国、経済大国であった日本が憲法の一文字を変えるの
にこんなに苦労している、と。

一文字変えるのではなく、解釈で対応しており、憲法には軍備を禁
止しているのに自衛隊があったり、さまざまな点で曲解されている。

日本人ほど憲法を軽んじている民族はいないと思うだろう。


4.もう一つの憲法改正の動き

日本の憲法の実質的な憲法改正は「解釈改憲」であろう。

特に9条を焦点とした解釈は、時代の流れとともに変化し、今や、
個別的自衛権や集団的自衛権までもが付与されることとなった。

憲法には武力行使を禁止するとしか書いていないのに、解釈の幅を
十分に持たせると自衛権を拡大することができるようだ。

特に、前文の解釈は国際情勢の変化により大きく変化し、憲法の三
原則の一つである「平和主義」の解釈にまで影響を与えている。

憲法前文を素直に読むと、「国際協調主義」の重要性が書いてある。

国際協調主義を達成するためには、9条で武力行使を禁じられてる
武力を行使するのもやむをえない場合もあると解釈できる。

しかし、1970年代、ベトナム戦争が佳境になると、反省平和主義活
動が活発になり、一国平和主義の方向で憲法解釈が展開することに
なる。

現在は一国平和主義を唱える党は一部だけとなり、国際協調の重要
さが再認識されている。


5.結論

憲法は聖典ではない。

人間が作ったものだから、誤りもあるだろうし、時代の変遷ととも
に修復する必要も出てくるだろう。

日本の憲法は解釈によって、180度の変更の余地があるので、改正
しなくともいいとも考えられる。しかし、これでは聖典と何ら変わ
らないので、先進各国と比較し、最新の憲法に常に用意しておく必
要があるだろう。


6.地方自治

少々蛇足で恐縮だが、私は憲法9条だけが改正が必要と言っている
わけではない。

我国の憲法にはいたるところにひずみがあるが、特に地方自治につ
いては改正の余地が大いにあると考えている。

第8章に地方自治についての4条項があるが、一番根底にあるもの
が「地方自治の本旨」という言葉につきる。

「地方公共団体の組織及び運営に関する事項は、地方自治の本旨に
基づいて、法律でこれを決める。」としている。

結局、地方自治の本旨については分からずじまいで、なおかつ重要
な部分は法律(地方自治法)で定める、としている。

かつて、「機関委任事務」というものがあり、地方自治体があくま
でも国の出先機関である、ということで定められた事務であった。
つまり中央集権体制である。

しかし、法律の制定により、機関委任事務が廃止され、より地方分
権の色が強くなってきた。

しかし、その間憲法は変わっていないのである。

中央集権で行くのか地方分権で行くのか。国の根幹にかかわること
に対して憲法は答えを出していない。

だから、改正が必要なのである。


「著者・峯木貴氏関連のHP」
http://www.seikatsusha.org/ne/mineki/


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−「創刊号」 2005年01月01日発行−

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