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━━ 平成18年1月1日 Vol.27 ━━━━ 毎月1日・14日発行

BSE問題と農政
                        参議院議員 小川 敏夫

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 私は現在、予算委員会、農水委員会に所属しています。農水委員
会については、なぜ東京選出の議員が?と思われるかもしれません
が、7年前の初当選の時にも自ら望んで所属しました。国民の食料
を確保するのは政治のもっとも基本的な責務ですが、これまでの農
林水産行政は無駄な公共事業や土木優先の利権体質の農政で、生産
者ばかりに目が向けられ、一番大事な消費者の視点が欠けていまし
た。私は、消費者の立場で食料などの問題を考え、国民全体の視点
で農業問題をとらえようと農水委員になったのです。

 消費者不在の農政の象徴的な例がBSE(狂牛病)問題です。輸入
肉骨粉の使用から日本でも狂牛病感染の可能性が高いことを指摘さ
れていたにも関わらず、農水省は、狂牛病を話題にすることで肉の
消費が減ってしまい生産者を困らせるからと特段の対策も取らず、
国民に事実が正しく伝えられる事もありませんでした。そこには食
の安全性を求める国民の声に答えようとする姿勢は全くありません。

 2001年9月に日本でも狂牛病が発見されると、そういった姿勢が
結果的にパニックを発生させ、農林水産行政が守ってきたはずの生
産者にも必要以上の打撃を与える事になってしまったのですから皮
肉なものです。翌2002年には、BSE対策法ができ、これまでの反
省を踏まえて、食品の安全性に関わる施策を総合的に行うため私が
委員長を務める内閣委員会で、「食品安全委員会」を設置する法案
を成立させました。その趣旨から考えて、本来ならここで一元的に
食品の安全性を確保する体制へ一新すべきだったのですが、相変わ
らず縦割りの厚生労働省・農林水産省の権限は残したままでしたの
で、責任の所在をさらにわかりにくくしてしまうことになってしま
いました。しかし、国産牛肉に関しては全頭検査を実施し、危険部
位の除去・焼却などで安全性の確認ができる体制が確立しました。

 2003年12月には米国でも狂牛病が発生し、現在まで輸入禁止にな
っています。ところが、今年に入ってから米国の圧力も大きくなり、
輸入再開の動きが急になっていました。私は、3月の予算委員会で
この米国産牛肉の輸入再開問題について、全頭検査を世界の非常識
と言った島村農水相(当時)の非常識さを追及しました。異常プリ
オン(病原体)の感受性は若い牛ほど高く、成牛は相当に低い事が
明らかになっています。そうすると、20カ月齢以下の牛が吸収した
異常プリオンがなぜ検査で検出されないのか、その仕組みを解明す
る事が必要で、これが解明されるまでは全頭検査を継続すべきでし
ょう。

 その後、政府は米国との交渉で、生後20カ月齢以下の牛に限り危
険部位を除去するなどの条件を満たせば、検査なしで輸入を認める
方針を基本合意、5月に食品安全委員会の専門調査会に輸入再開を
諮問しました。同調査会は10月末、日本の牛肉と比べて「リスクの
差は小さい」とし、日米両国が危険部位除去や生後20カ月齢以下の
確認の条件が守られているか監視が必要との提言つきで輸入再開を
容認する方向の答申原案をまとめました。政府は、12月の正式答申
を受け、約2年ぶりに輸入解禁に踏み切る予定と言われています。
(11月末現在)

 要するに、米国産牛肉輸入再開の道を開く準備として、政府は全
頭検査をやめて20カ月齢以下の牛を検査対象から外したのです。専
門調査会も、米国産牛肉を安全とは言っていません。20カ月齢以下
同士の牛を比較して日米の牛の安全性の差は小さいと言っているだ
けです。子牛段階で吸収した異常プリオンがどのように蓄積されて
成牛段階で検出され、或いは発症に至るのか、というメカニズムは
全く不明のまま子牛の肉等が消費者の口に入るのです。

 安全の保証も確信もないままになぜ輸入の再開を急ぐのでしょう
か。これでは米国の圧力(日本政府の安全委員会への圧力?)に屈
したと受け取られても仕方がありません。

 食品安全委員会は論議を尽くし米政府に要求すべき対策は徹底し
て求める姿勢を貫くべきでしょうし、それが「食の番人」としての
責務ではないでしょうか。

 BSEは食料を海外に大きく依存する日本にとって象徴的な問題
であり、同様の問題は常に起こる可能性があります。直接に国民の
生命と健康に影響があることであり、まさに政治の使命が問われて
います。あらためて食の安全性を考え、国民の視点に立った農政の
確立に取り組んでまいります。

参議院議員 小川敏夫事務所
〒100-8962 東京都千代田区永田町2−1−1
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ー「創刊号」 2005年01月01日発行/2005年05月01日現在読者数:1342名ー

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