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━━ 平成18年1月14日 Vol.28 ━━━━ 毎月1日・14日発行

子供達にEqual Footingを!
                      生活者主権の会 岡部 俊雄

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驚きの数値を新聞で見た。
「就学援助4年で4割増」。06年1月3日の朝日新聞トップ記事
である。
ある程度の予感はあったが、これほど進行しているとは思わなかっ
た。
公立の小中学校で文房具や給食費、修学旅行費などの援助を受ける
児童・生徒の数が、04年度までの4年間に4割近くも増え、受給
者率が4割を超える自治体もあることが、朝日新聞の調べで分かっ
たというのだ。
ここ暫く続いたリストラの影響が大きいと思われるが、OECDが最近
発表した所得格差係数(ジニ係数)(注1)では、日本はOECD25
ヶ国中第10位、貧困率(注2)の高さはメキシコ、アメリカ、ト
ルコ、アイルランドに次いで第5位で、その数値は着実に上昇して
いる。
その原因は人口の高齢化や単独世帯の増加があるとされてきたが、
更に日本は他のOECD諸国に比べて社会保障給付及び税による所得格
差の縮小策が極めて貧弱であることと、日本における広汎な低賃金
(パート賃金)の存在が大きいと言われている。

日本は豊かな国だという認識が一般的だと思うが、就学援助率とOE
CDの貧困率という二つの係数から見ると、日本における所得格差は
確実に広がっており、親の力だけでは満足に学校生活が送れない子
供達が、驚異的に増えていることになる。
国民オール中産階級と言われ、活気に満ち溢れていた時代には考え
られなかったことである。
現在の政権政策がそちらの方向を向いており、多くの国民がその政
権を支持しているので、こういう結果が出るのは当然のことかも知
れないが、アメリカ型社会の悪い面まで真似ることはあるまい。
勿論、教育基本法はそういう状況を想定して、国や地方自治体に就
学援助を義務付けている。
しかし、それは金銭的側面のみで実施されており、子供達の精神的
側面は全く配慮されていない。
荒廃した教育現場の建て直しを図るための教育論や社会論以前の問
題である。
子供達には広い範囲のEqual Footingを与えてやらなければならな
い。
かけっこで、スタートラインで差をつけられては、やる気も起こら
ないだろう。
新郵政会社と宅配会社とのEqual Footingや、国会議員の世襲に規
制をかけるEqual Footingなどの議論はあるが、それよりはるかに
重要な、将来の日本を背負って立つ子供達のEqual Footingの議論
をもっと高めなければならない。
子供達は勿論DNA(親)は選べないので、本人の努力次第で相応の
結果が出せるように、機会はできるだけ均等に与えてやらなければ
ならない。
ホリエモンが相続税率は100%がいいと言っている本当の理由は
分からないが、子供達の機会均等という面では理論的にはある程度
うなずけるものがある。

国の将来は子供の教育にかかっている。一にも二にも教育である。
その教育の根幹にかかわっている親の影響力が、所得格差という経
済的な側面で大きく2極化しつつある現状は将来の国の破壊にもつ
ながりかねない。
スカンジナビア諸国ほどは望まないが、所得の再配分の是正により、
所得の格差を縮小するか、子供は国民全員で育てるものだというよ
うな制度を導入するかして、子供達に満足してもらえるようなEqua
l Footingを与えてやりたいものである。

(注1)やや複雑な統計数値(インターネットで検索可)。
(注2)世帯可処分所得を世帯人数の平方根で除して各世帯員に割
り付けた数値の、全国民の中央値の半分以下の可処分所得しかない
者の比率。

「著者・岡部俊雄氏関連のHP」
http://www.tatunet.ddo.jp/okb/
http://www.seikatsusha.org/ne/okabe/

生活者通信メルマガ版 (マガジンID:0000146184)
ー「創刊号」 2005年01月01日発行/2005年05月01日現在読者数:1342名ー

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