<生活者通信メルマガ版>

      「メルマガ送付のご希望」   「バックナンバー」 (2)

━━ 平成18年8月1日 Vol.43 ━━━━ 毎月1日・14日発行

順法は十分条件ではない

                         生活者主権の会  岡部 俊雄
  
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 福井日銀総裁が村上ファンドで利殖行為をしていた。小泉首相や
多くの政府関係者は法に触れていないので何等問題ないと言ってい
た。
 また、先日は片山さつき衆議院議員が、自ら政務官を務める経産
省が既に刑事告発しているヤマハ発動機から、刑事告発後にパーテ
ィー券20万円分を購入してもらっていることがわかった。それに
対し同氏は「規則に抵触したりするんですか?事件に司法、刑事上
の処分が出ればお返しします。」などと語っているそうだ。
 果たしてそういうことなのだろうか。
 
 そもそも法とは何なのだろうか。
 この人類の社会がたった二人の社会であれば法などというものは
必要ない。三人になれば初めて組織が形成され、何らかの取り決め
が必要になる。それも、三人がそれぞれ他の二人のことを十分に配
慮する人達であれば取り決めも極少ないものですむだろう。しかし、
三人が他の二人のことを全く配慮することなく勝手気ままに動くと
なれば、取り決めは数多く、しかも細かいものになるだろう。
 法とはそういうものである。いろいろな立場の、いろいろな方向
を向いた多くの人々に対して、最低これだけは守れというものであ
る。
 人々のレベルやベクトルが揃っていれば法は少なくてすむし、逆
に広範なレベルやベクトルの人々がいれば多くの細かい法が必要に
なる。
 生徒のレベルが揃っている学校では少ない校則で十分であるが、
雑多なレベルの生徒が混在している学校で一定レベルの規律を守ろ
うとすると、細かい多くの校則が必要になるのと同じである。

 我が国には膨大な数の法があるが、これらは全て日本国民として
これだけは守れというナショナルミニマムの規定である。
 ではこの法さえ守っていれば、人として、社会人として十分なの
であろうか。否、法を守るということは、人として、社会人として
必要条件であるけれども決して十分条件ではないのである。
 我々の、人として、社会人としての生活は法以上に多くの節度、
礼儀、マナーなどの倫理観によって成り立っている。もしその倫理
観が堕落することになれば法の数は更に天井知らずの膨大なものに
なるだろう。
 法とは、出自、職業、貧富等に関係なく全ての国民が社会生活を
送るにあたってこれだけは守れ、という最低限のものであり、それ
以上のことは、節度、礼儀、マナーなどの倫理観に従え、というこ
とである。

 特に一国をリードする地位にあるエリートは倫理観の最高峰にあ
るべきである。日銀総裁や国会議員などはそのエリート中のエリー
トである。その行為が、法に触れないから全て許されるなどとは倫
理観の低下、堕落も甚だしい。そんなことを言う小泉首相や政府関
係者の倫理観もひどいものである。
 そういう人達がこの国をリードしているのである。恐ろしいこと
である。
 ホリエモンも、村上氏もエリートではなく、単なる利殖家なので
法に触れないギリギリのところを狙うのは特別問題ではない。ただ、
狙いすぎたあまり、法に触れてしまったという訳で、法に基づき罰
せられるというだけのことである。
 しかし、高い倫理観で執務すべきエリートが、低い倫理観で、ギ
リギリ法に触れない行為をして、果たして許されるのだろうか。日
銀総裁や国会議員が、法に触れないようにギリギリの行為をしてい
るアンチャンと同じでよいのだろうか。
 小泉首相の、法に触れないから何の問題もないと言い張っている
顔つきを見ていると何かパラノイアの人を連想してしまう。国民を
馬鹿にするのもいい加減にしてもらいたい。

 高い倫理観を持つべき立場の人に、それにふさわしい倫理観がな
かったことを心から恥じ、日本国民の低下しつつある倫理観をこれ
以上低下させないという意味においても、日銀総裁には早期に潔く
退任してもらいたかった。
 法とは全国民に求められている必要条件であって、十分条件では
ないということを肝に銘じてほしい。

「著者・岡部俊雄氏関連のHP」
http://www.tatunet.ddo.jp/okb/
http://www.seikatsusha.org/ne/okabe/

生活者通信メルマガ版 (マガジンID:0000146184)
ー「創刊号」 2005年01月01日発行/2005年05月01日現在読者数:1342名ー

★「メールマガジン」送付ご希望の方は、
下欄左に「メールアドレス」を記入し「登録」ボタンをクリック下さい。

<メールマガジンの購読は無料です。>

メールマガジン登録
メールアドレス:

メールマガジン解除
メールアドレス:

Powered by まぐまぐ
「生活者通信メルマガ版」の 「サンプル」 はここをクリック下さい (2)