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━━━生活者通信メルマガ版━━━━平成19年2月26日  Vol.53━

都知事選をマニフェスト選挙に!

                      生活者主権の会  小俣 一郎

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 民主党の都知事候補選びが難航している。浅野前宮城県知事にも
断られ、2月25日現在見通しが立っていない、とのことである。

 私は今回の都知事選挙では、ぜひしっかりとしたマニフェスト選
挙を行って欲しいと思っている。その意味でも、浅野さんであれば
きっちりとしたマニフェストを作るだろうし、対抗上、石原さんも
必ず用意するだろうと思ったので、不出馬は非常に残念である。

 このような有力対抗馬不在の状況で、果して石原さんはマニフェ
ストを作るだろうか。

 1月に行われた宮崎県知事選挙では、3人の有力候補者のうち、
当選した東国原知事のみが作成し、「たけし軍団を連れて来るのか
と思ったら、来たのはマニフェストだった」と話題になり、それは
当選の大きな要因となった。いまや首長選挙にマニフェストは欠か
せない存在となりつつある。

 しかし、日本の地方自治体選挙の中で、本来の意味でのマニフェ
ストを作ることができるのは、今は東京都知事選挙のみである。な
ぜなら、他の都道府県は多かれ少なかれ財政的に国に依存している
ので、厳密に言えば、財源を決めた約束をすることができないから
だ。

 『マニフェスト』とは、「数値目標、期限、財源、工程表などを
具体的に示す、事後検証の可能な公約」のことである。国から地方
交付税を受けていない、財政的に自立している東京都の、その知事
選挙の候補者にしか、真の意味でのローカルマニフェストは作れな
いのである。

 東京都は昨年の12月に、「10年後の東京~東京が変わる」を策定
した。石原さんはこれを基に公約を作成するのであろうが、それは
「10年後」とあるように、10年という非常に大きなくくりではある
程度数値目標も示されているが、より具体的な期限とか、それをど
のような工程で行うかといったことは書かれてはいない。

 例えば環境問題については、世界に先んじた「カーボンマイナス
東京10年プロジェクト」を推進する、とある。2020年までに2000年
比25%のCO2 排出削減を目標にするとあるが、そこには「これ
までの歩み」として、東京都は現在2010年までにCO2 等の温室効
果ガス排出量を1990年比6%削減することを目標に取り組んでいる
が、十分に進んでおらず、根本的な対応を迫られている、とも書か
れている。つまり現状は遅々として進んでいないのである。

 であれば、その目標を実現させるためにはかなりの努力が当然必
要となる。それを10数年先といった漠然とした数値目標で達成でき
るとは思えない。自らの意思を貫くためにも、また職員や都民をそ
の方向に引っ張っていくためにも、2年後にはどのくらい、4年後
にはどのくらいと削減目標を数値で示し、そのためには具体的に何
をいつの段階で行うのかを明らかにし、選挙でそれを都民に選択さ
せる必要がある。

 元アメリカ副大統領アル・ゴア氏の映画「不都合な真実」が話題
を呼んでいるが、温暖化による海面の上昇は東京湾を埋め立てて広
げられてきた東京を直撃する。その対策は東京自身のためでもある。

 国の対策が遅々として進んでいない現状において、東京が率先す
ることは、まさしく「東京から日本を変える」ことになる。しかし、
それを絵に描いた餅にしないためには、10年先を見据えた上で、任
期4年の間に具体的に何を行うのか、選挙戦において数値目標を含
めて明確にすることが必要である。

 また、近々の大問題となるのが、インフラの老朽化である。1月
19日に北見市でガス漏れで3人の方が犠牲になる事故があった。そ
の後NHKで「しのび寄る老朽化の危機~多発するインフラ事故~」
という番組が放送されたが、東京都内で昨年、下水道の老朽化のた
めに道路の陥落が約1000件も発生しているとのことであった。また
首都高速道路には一万箇所のひびが見つかり、懸命に補修している
という。2016年のオリンピック開催を単に否定するわけではないが、
老朽化してしまった「1964年の東京オリンピックの遺産」対策の方
が先だろう。

 2月21日、公職選挙法改正案が成立した。ついに地方の首長選挙
でも選挙期間中にマニフェストが配布できるようになった(ただし、
A4版のビラではあるが)。その意味でも、今度の都知事選挙では、
真のマニフェスト選挙が行われなければならない。

 完全に出遅れた民主党は、党内から候補を擁立するらしいが、噂
された人々のなかでは菅代表代行以外の方の知名度は、石原さんと
は雲泥の差である。その菅さんが出ない以上、その差を乗り越える
ためには、石原候補よりも完成度の高い、説得力のあるマニフェス
トを作りあげ、それを宣伝しまくるしかない。

 幸い、2年前の東京都議会議員選挙では民主党は「東京マニフェ
スト2005」を作成して善戦している。また、同じく2年前の小
平市長選挙、西東京市長選挙では、民主党の元都議会議員だった候
補者が、共にマニフェストを掲げて現職の市長と戦い、勝利してい
る。

 民主党の東京都所属の議員は一丸となって、勝利できるマニフェ
ストを作成しなければならない。そして石原候補にもその勝負に真
っ向から立ち向かって欲しい。

 数値目標、期限、財源、工程表などが具体的に示された、事後検
証の可能な公約、つまり、真のマニフェストが両陣営で作成され、
東京でマニフェスト選挙ができたとき、『公約は選挙民との契約』
という新しい文化が、さらに確固たる一歩を踏み出すことになる。

「著者・小俣一郎氏関連のHP」
http://www.seikatsusha.org/ne/omata/

生活者通信メルマガ版 (マガジンID:0000146184)
ー「創刊号」 2005年01月01日発行/2005年05月01日現在読者数:1342名ー

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