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━━━生活者通信メルマガ版━━━━平成21年3月1日  Vol.75━

国民による政権選択

                      生活者主権の会  小俣 一郎

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 自民党内で、「一院制」や「大選挙区制」を次の選挙公約に掲げ
るべし、との声が上がっている。

 もちろん、選挙制度には一長一短があり、国民の声をより反映す
る、より良い選挙制度を模索することを否定するわけではない。し
かし、いわゆる「ねじれ国会」で、国会がうまく運営できないから
制度を変える、という発想はいかがなものか。この「ねじれ」は国
民の選択であることを忘れてはならない。

 そもそもなぜねじれたのか。

 2005年の総選挙では国民は政府与党に3分の2という絶対的な権
限を付与したのである。それを背景に公約を強力に進めることがで
きる体制が整ったわけで、自民党は絶好の機会を得たのである。

 にもかかわらずそれを生かせなかった。国民の期待からはほど遠
いものであったということである。もし国民の意に沿うものであっ
たならば2007年の参院選にも勝っていたはずであり、少なくともわ
ずか2年後にあのような大敗はしなかったはずである。

 ねじれ国会はいわば、政府与党に反省を求める国民からの合図で
ある。しかし、政府与党は方向転換をしたのであろうか。定額給付
金への対応などをみても、なまじっか3分の2を持っているばかり
に、妥協を忘れ、民意とはかけ離れた強引な運営を続けているので
はないか。

 いま民主党が強気に出ているのは「直近の民意」が民主党にある
からで、それは歴然と示された国民の意思なのである。
     
 総選挙を行って、政府与党が過半数を維持したのであれば、それ
が新しい民意であり、もしそれに逆らう形で参議院が暴走すること
になったとしたら、それは確かに大問題である。制度の変革も必要
かもしれない。しかしいまはそのような状況ではない。それよりも、
衆議院で絶対多数を持った政府与党の暴走を止めるという参議院に
期待される抑制の役割が機能しているといえるのではないか。 

 小選挙区制が問題だという議論もたびたび起こる。しかし、1994
年に今の小選挙区比例代表並立制に変えた大きな理由の一つである、
二大政党による政権選択選挙の実現、つまり「国民による政権選択」
は、紆余曲折を経て、またマニフェストの進化という要素も加わっ
て、いまやっと現実のものになってきているのである。その可否を
問うのはまだ早い。

 1993年の中選挙区制度での最後の総選挙を思い出せば、第1党は
自民党だったにもかかわらず、過半数に届かなかったため、細川総
理という離れ業が飛び出して非自民の政権ができた。しかしそれは
長続きせず、約1年後には総選挙なしで、なんと自社さ政権ができ
たのである。

 長年対立してきた自民党と社会党があのような形で連立し、それ
こそ国民の多くが想像もし得なかった村山内閣が誕生した。しかし、
あのような後出しの政権の決め方がいいのだろうか。

 2005年、多くの国民は「郵政民営化」を選択した。参議院で否決
されたものを総選挙で、国民の力でひっくり返えしたのである。
「国民が決めた」という意味では、これは日本の政治において大き
な出来事であった。

 国民は、反対する大物政治家を党から追い出すという荒療治さえ
断行した小泉さんに期待し、「改革を止めるな」とのスローガンに
酔い、郵政民営化を端緒に、日本の政治を大きく変えてくれるもの
と信じ、選択したのである。

 ところがそうはならなかった。

 事前に表明していたとはいえ、最高責任者であった小泉さんは、
高支持率にもかかわらず改革を途中で投げ出してしまい、懐刀だっ
た竹中さんは議員さえ辞めてしまった。

 次の安倍さんは代わった途端に復党を認め、また、分権が進むは
ずが地方は疲弊し、100年安心だったはずの年金には大穴が空い
ていた・・・。

 期待が大きかったからこそ失望も大きく、だから次の参院選で惨
敗したのである。

 それにしても公務員改革や道路財源の一般財源化、年金等々、自
民党の政策幅は広すぎ、また分かりにくい。消費税問題の決着をみ
ても、相変わらずの玉虫色である。

 しかし、そのような後出しの手法をいつまでも続けることはでき
ないであろう。マニフェストで選択肢を事前に、より明確に示すこ
とが求められてきているからだ。

 選択を誤れば、それは自らに返ってくる。小泉劇場を経験した国
民は、その選択がもたらした結果を実感し、次の政権選択の準備を
しているはずである。

 「国民による政権選択」システムは、まだまだ進化を続けている。

 
「著者・小俣一郎氏関連のHP」
http://www.seikatsusha.org/ne/omata/


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