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━━━生活者通信メルマガ版━━━━平成22年1月1日  Vol.86━

誇り高いジャーナリズムを期待する
 −変化について来られないマスコミ−

                      生活者主権の会  岡部 俊雄

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 新政権になってからのマスコミの報道がゆれている。皮相的で話
題とり的な報道が続いているように思う。

 今回の政権交代は旧来の【官僚】→【政治家】→【国民】の政治
の流れを、【国民】→【政治家】→【官僚】の流れに変えようとす
る国民が選択した革命的な政権交代である。

 マスコミは先ず何が起きたのかということと、それは国民の意思
で起こしたものだということをもっと真摯に認識してもらいたい。
その認識が不足しているために、報道がゆれて、皮相的で話題とり
的になっているのではないだろうか。

 長く続いた旧政権では、官僚が国民の目の届かないところで政策
を作り、自民党を使ってそれを国会で成立させてきた。このやり方
だと官僚主導でマスコミが介入する余地はあまりなく、記者クラブ
で大本営発表を待てばよかった。

 それを新政権では、その過程を国民の目に晒しながら進めていこ
うということである。国民にとっても、マスコミにとっても初めて
のことである。このやり方だとマスコミの安易な報道が国民をあら
ぬ方向に誘導してしまうということをよく心得てもらいたい。


 いくつか気になる例を挙げてみよう。

 先ず、「小沢チルドレン」の描き方である。一部では論評されて
いるが、この方々は「小泉チルドレン」とは政治に対する思いも、
問題意識も大きく異なっているようだ。その違いを掘り下げること
もせず、同じものだという報道が氾濫している。


 「農業の戸別所得保障制度」や「子ども手当」についてもその本
質を見極めようとせず、旧政権がやったと同じ「バラマキ」だとし
か報道していない。

 「農業の戸別所得保障制度」は農業従事者の確保、その結果とし
ての食料自給率の維持・向上や、閉塞状態にあるWTO、FTAの
前進などを抜本的に解決しようとする切り札のように思うが、そう
いう報道になかなか御目にかかれない。

 「子ども手当」も健全な人口構成という、長期的で、大きな問題
の解決策の一つで、新政権の深い哲学が加味されているようだが、
そういう深い掘り下げは殆どなく、旧政権が実施した「定額給付金」
のような感覚で報道されている。


 「天下り」や「脱・官僚依存」についても然りである。民主党が
言っている「天下り禁止」のことを、あたかも元官僚をどんな公職
にも就職させないことであるかの如く報道を続けるので、多くの国
民は、郵政の新社長に就任した斎藤氏のことを、マスコミの論調ど
おり「天下り」だと思い込んでいる。

 騒ぎが大きくなり、その火消しのために政府が、政府の言ってい
る「天下り」はこういうことだと、極めて常識的で明快な定義を示
すと、今度は自分たちがやったことを正当化するために持ち出した
定義だと報道している。

 そもそも、人を使って組織を動かした経験のある者なら誰でもわ
かることだが、自分の持ち駒を経験や能力を生かして最適に配置す
ることなど当たり前のことである。記者諸氏や評論家諸氏は組織を
動かしたことがない一匹狼だと言って逃げてもらっては困る。

 長妻厚労大臣の著書「闘う政治」の副題にも「手綱を握って馬に
乗れ」と書いてある。まことに健全で常識的な発想である。それを
「馬に乗らない」と約束したではないか、というような報道を続け
ているのは残念を通り越して、憤りすら覚える。

 斎藤社長がどのような能力の持ち主かは知らないが、西川前社長
をはずしたために経団連の協力が得られないという環境の中で、任
命者である政治家が、それ以外の持ち駒の中で、最適の人を選んだ
のだと理解している。決して官僚が自分たちの人事の一環として異
動させた「天下り」には当てはまらない。

 それをどうして「天下り」だ「天下り」だと国民をあおるような
報道をするのだろうか。


 国民の高い評価を受けている、あの「事業仕分け」についての報
道もそうである。初めての異様なものを見たかのような報道や、古
い体制側・官僚側について、事業仕分けそのものや、仕分け人を批
判するような報道が多い。何が起こったのか、何をしようとしてい
るのかを、真摯に掘り下げた報道があまりない。「官僚メディア複
合体」から抜け切れていないのではなかろうか。


 等々、言い出せばきりがない。

 テレビにも世を惑わすような、極端な言葉を使い、受けをねらっ
ているようなコメンテーターがよく出てくる。人選する局に問題が
あるのではなかろうか。


 マスコミも企業であるからには利益を追求しなければならない。
そのために発行部数や広告料収入を増やさなければならないし、コ
マーシャル収入を増やすために視聴率を上げなければならないこと
はよくわかる。しかし、言い古されてはいるが、マスコミは世論を
代表している以上に、世論を誘導できる立場にあることをよく認識
してもらいたい。

 江戸時代のカワラ版にならないでほしい。

 日露戦争後のマスコミの報道に影響を受けて、国民の中に不満が
充満し、先の大戦の遠因になったことも否定できないことを思い出
してほしい。

 我が国では政治の力で核兵器を持つことは先ずありえないことの
ように思うが、マスコミは核兵器を作ることも、持つことも、また、
核戦争を起こすことも可能なだけの力を持っているということをよ
く自覚してもらいたい。


 今回の政権交代は国民の手による革命的な政治の変化である。マ
スコミもその変化に必死についていってもらいたい。マスコミは旧
来の記者クラブなどという安易な手段を捨てて、取材に取材を重ね、
それを深く解析し、洞察し、真に国民に知らせるべき情報を真摯に
求める行動に最高の価値を置くジャーナリズムとしての誇りを取り
戻してほしい。

 くれぐれもマスコミが国を滅ぼすことがないよう望むものである。

「著者・岡部俊雄氏関連のHP」
http://www.tatunet.ddo.jp/okb/
http://www.seikatsusha.org/ne/okabe/


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(マガジンID:0000146184)

−「創刊号」 2005年01月01日発行−
≪2005年05月01日現在読者数:1342名≫


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