<折に触れ 四字熟語>

     NO.112 【在邇求遠】 ざいじ きゅうえん


< 意味 > 人の踏み行うべき道は身近な所にあり、また、自身の中に求めるべきなのに、

      人はかえってこれを遠い所に求めようとするということ。道は日常卑近なとこ

      ろにあるので、いたずらに難しい理論を弄(ろう)すべきでないことをいう。



< 出典 > 『孟子』<離婁篇>	

      『・・・

       孟子曰、道在爾。而求諸遠。事在易。而求諸難。

       人人親其親、長其長、而天下平。

       ・・・』



読み下し: 孟子曰く、『道は爾(ちか)きにあり。しかるにこれを遠きに求む。

      事は易きに在り。しかるにこれを難きに求む。

      人人その親を親とし、その長を長とせば、天下平らかなり』。



通  釈 : 『道は身近にある。だが人は遠くにあるものと思っている。

       それを実践するのはたやすい。ところが人はむつかしく考えている。

       各自が親を愛し、目上を敬いさえすればよい。それで天下は泰平となる。』



語  釈 : 『邇』は近い、出典の『爾』はなんじ、おまえ、その、それなどの意味ですが、

      両方とも音は『ジ』『ニ』と同じなのでこのような漢字の使われ方がされてい

      たようです。



一  言 : 孟子シリーズ その1

      人物としての孟子はご存知のとおり中国、戦国時代の魯の思想家です。

      孔子の思想を継承し祖述して『孟子』を残しました。



参照文献 : 徳間書店・中国の思想『孟子』 岩波書店『四字熟語辞典』  

 

                               1・5・21 舛本 純