<折に触れ 四字熟語>

    NO.191 【安常処順】 あんじょう しょじゅん

< 意味 > なんの憂いも抱かず、平穏な生活に満足して、時の流れのままに身をまかせるこ
      と。また、平穏な生活に慣れ、順調な境遇にいること。『常(つね)に安(やす)ん
      じて順(じゅん)に処(お)る』と訓読する。

< 出典 >  『荘子(そうじ)』<養生(ようじょう)主(しゅ)>
      ・・・適来夫子時也。適去夫子順也。安時而処順、哀楽不能入也。古者謂是帝之
      県解。指窮於為薪、火伝也不知其尽也。

読み下し : たまたま来たるは夫子の時なり。たまたま去るは夫子の順なり。時に安んじて順
      に処(お)れば、哀楽入る能わず。古はこれを帝の県解と謂う。指(し)は薪たるを
      窮(きわ)むれども、火の伝わるやその尽くるを知らざるなり。

通  釈 : あなた方の先生がこの世に生まれたのは、生まれるべき時にめぐりあわせたから
      であり、この世を去ったのは、去るべき必然に従ったまでではないか。時のめぐ
      りあわせに安んじ、自然のなりゆきに従っていけば、いっさいのとらわれから解
      き放たれよう。こういう境地に達した人間を、昔の人は天帝から首枷(かせ)を解
      かれた人間といった。ひとつひとつの薪(たきぎ)は燃えつきてしまうが、火は永
      遠に燃えつづけてゆくのだ。

一  言 : なんの憂いもなく時の流れのままに身をまかせて生きる、どうしたらそんな生き
      方ができるのでしょうか。

参照文献 : 徳間書店『荘子』 岩波書店『四字熟語辞典』 

                                 3・8・1 舛本 純