日本は法治国家か?
文京区 松井孝司(tmatsui@jca.apc.org)
生活者通信5月号に大山悦男氏が「日本を国民主権の法治国にするために」を寄稿されたことに対して、
大谷和夫氏は当誌の品位を損なうものとされ、「日本は国民主権の法治国家である」との反論を
提出されました。
恐らくこれは大山さんの体験をご存じないための見解と思います。大山さんの見解は過去
10数年に亙る「違法建築」との闘いから生まれたもので、改憲論者とは180度異なる見解です。
ビルが立ち並ぶ文京区の音羽通りに「違法建築」のコンクリートミキサー工場があり、
この「違法建築」はTBSの噂の東京マガジンでも放映され日本全国に紹介されました。
大山さんはこの「違法」に対して無名抗告訴訟を起こし、最高裁まで争って敗退しその体験が
無責任人治国家という確信を生むに至ったのでしょう。
私の家も「違法建築」だらけで消防車も入れない路地の中にあり、阪神大震災並みの地震がきたら
大災害が予想されるのに、40年以上放置されたまま誰も「違法」を取り締まろうとしません。
多くの日本人にとって法律は自らが参画して制定したものでなく、与えられたものですから内容も
よく知らず自ら進んで守ろうとしないのです。
直接民主主義を主張するルソーは代議政体を否定し、「人民がみずから承認したものでない法律は
すべて無効であり、断じて法律ではない」「イギリス人民は自由だと思っているが、それは大間違いだ。
彼らが自由なのは、議員を選挙する間だけだ」といっています。
大山さんの主張はこのルソーの思想を追認するものでしょう。
周知のごとく現日本国憲法は国民参加のもとに制定されたものでなく、マッカーサーにより
押し付けられたものです。しかし、憲法の案文には起草した若き2人のユダヤ人の理想が盛られていて、
まさに「人類普遍の原理」を宣言するものでした。
その案文には「国民」という言葉はなく、 "All natural persons"という表現で男女差別、
人種差別を否定し人権を宣言するものでした。憲法第9条の戦争放棄も"All natural persons" に
対応するもので、ユダヤ人の5000年に亙る民族離散の歴史的背景に基づく恒久平和の願いが
込められていたのです。
天皇制に何の疑問をもたない当時の日本人には到底理解できないものであったためにその条文は
換骨奪胎され、日本固有の制度を引き継いで、その内容は木に竹を継いだようなものになり人類普遍の
原理という言葉が憲法の前文だけに残る結果になったのです。
憲法前文の冒頭にある「日本国民」という言葉は"We, the Japanese people" を訳したものですが
国民(nation)と"people"は同義ではありません。さらに重要なことは米国憲法の冒頭にもある
"We(われわれ)" という言葉が抜け落ちていることです。
土地公有化宣言もありましたが、「これは共産主義だ」とされ現行の「財産権の内容は公共の福祉に
適合するように法律でこれを定める」という表現に変えてしまいました。しかし法律による財産権の
再定義はされないままです。財産を定義する民法はカタカナ混じりで明治時代に制定されたままに
なっており公共の福祉に適合しない状況が放置されているのです。
都市計画が遅々として進まず、成田空港がいつまでたっても完成しないのは折角良い憲法の規定が
あっても機能していないからです。
職業選択の自由も憲法で保障されながら、年齢差別は公然とまかり通っており年齢を理由に
職業選択の自由が奪はれることは日常茶飯事です。
オランダ人のウオルフレン氏は「人間を幸福にしない日本というシステム」と題する著書の中で
検察が起訴する裁判の99.8%が有罪になっていることを理由に、法の番人である司法は官僚の
下僕であるとし、三権分立は名ばかりで官僚が主導する日本の民主主義に疑念を表明しています。
ユダヤ人のトケイヤー氏は文字通り「日本に民主主義はない」とし、日本の民主主義は政治的な
破局状態でもたらされたが、民主主義はあくまで民衆による革命によって発生したものでなければ
ならないとし、民衆的なレベルによる社会的革命には非常に長い時間がかかるものだと述べています。
日本に民主主義が根づき、憲法が機能するようになるためには、誰人にも「違法」を許さない多くの
自立した個人の存在が前提となるのです。
大山さんは国家を相手にして闘った、日本人にはめずらしい、数少ない自立した個人として、
私は予ねてより尊敬しています。憲法が機能せず官僚の裁量権が幅をきかす国家は法治国と言えない
のではないでしょうか?
「防衛指針法案」に反対する
「あしたの風」兵庫県寝屋川市 上野園枝
「あしたの風」では政府の「ガイドライン」関連法案に反対し、抗議の意味を込めて、
以下の手紙を内閣総理大臣宛てに出しました。
ガイドラインの国会審議不十分のままの、
法案可決はやめるべき!!
参議院では、残された課題の審議を充分に尽くされることを望みます。
ガイドラインはどう読んでも、日本がアメリカの言う通りになることを明文化したものとしてしか
受け取れません。ガイドラインの本質はアメリカが有事と判断することに対して、
日本の政治的判断に基く意志決定を放棄し、状況に身をまかせることを承認することであります。
関連法案をどう修正しようと、それが、成立してしまえば、日本とアメリカの関係は、諾(イエス)、
否(ノー)の選択をする関係ではなく、常に諾(イエス)であらねばならぬという関係なります。
ガイドラインの目的はそのことに尽きるのですから。
周辺事態への「基本計画」を国会の事前承認、事後承認また、領域枠内か、枠外かは、さ末な問題で、
どちらにしても、アメリカに否(ノー)と言いたくなった時は、内閣の存亡がかかってきます。
日本が否(ノー)と言うことは、アメリカとしては日本の対米協力の実効性が失われたと
受け止めるでしょうから。
事と次第によっては否(ノー)と言っても良いとアメリカが考えているなら、ガイドラインなど
必要ありません。敗戦から今に至るまで、とりわけ外交、軍事に関して日本はアメリカの従順なる僕
(しもべ)であり続けました。
アメリカのねらいは、いつか日本は、アメリカに否(ノー)と言う日が来るかも知れない、
だから、日本の自覚がないうちに否(ノー)と言えない条件を確立しておこうということで、
これはアメリカのみの国益を守ることに秀でている軍人、国防省の役人、政治家、それらの背後の
軍需産業の目論見に拠るものです。
それを分かった上で、今はこれが最上の策とでも言うのでしょうか。
訪米への手土産を急ぐあまり、国の行く末を誤らないでほしい。それは、国民の目には、あまりの
「対米追従」と映るし、「嫌米派」を一層活気づかせることにもなります。
日米のパートナーシップが真のアジアの安定につながると言うのなら「共通の価値観と利害」
が必要です。「日米安保はアメリカの世界戦略のため」と考える日本人が4割近くもいるという数字に、
どう納得いく説明をしてくれるのですか。とりわけ、空港、港のある地方の懸念は、
主権が及ばないことへの不安を率直に示しているものです。
アメリカに日本の主張を掛け値なしに伝えることは、アメリカからもらった自由と民主主義を
ようやく日本が自分のものにしたという証明であり、アメリカに対する大きな恩返しであります。
21世紀に向けて、日本がアメリカと上下関係ではない真の友好関係を作るには、まず、
「日米友好条約」こそ、結ぶべきなのです。
このままガイドラインを受け入れてしまえば、当分、日本の自立は遠のき、アジア諸国の信頼も
得られないでしょう。
自らの意志で従属関係を結ぶ、これがガイドラインの本質です。
政府の方針の変更を強く希望します。
1999年4月28日
平成維新を実現する会「あしたの風」
内閣総理大臣 小渕恵三殿
(平成維新フォーラムより転載)
「ガイドライン要請文」を首相・各政党等に発信
平成維新を実現する会・広島 松本素子
みなさん、こん〇〇は。「いしん広島」からのお知らせです。次の「ガイドライン要請文」を首相、
各政党、米大統領、上院外交委員長、駐日アメリカ大使に発信しました。
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【国内向け】
○○○○○○○様
私たちは、日本を真に生活者主権の国にすることを目標に活動している市民グループです。
ガイドラインについて昨年9月から今年3月まで、5回の勉強会を行いました。
今国会でのガイドライン審議に頼りなさを覚え、一言申し上げます。
私たちは、日本がアメリカと上下関係ではない真の友好関係を築くことを願っています。
そしてアジアの平和と安全のためには二国間軍事同盟からアジア多国間安全保障への移行を視野に
置いた外交・防衛政策をとることが望ましいと考えます。
ガイドラインは日米協力が重要であるということを楯に、日本国憲法や日米安全保障条約の枠を
越える事態を生じることの可能性を軽視して審議が進められています。本来なら国民的議論が
起こって当然の事柄であるのにそれがないのは、ガイドラインの何たるかが国民に周知されていない
からだと思います。このままでガイドラインが発効することには反対です。
衆議院は通過しても、まだ参議院があります。ガイドラインの内容が国民によくわかるように、
そして日本の主権が保障されるかどうかが明らかになるように、実質ある審議が参議院で行われる
よう希望します。国の進路に関わる重要なことを政党間の内輪のやりとりで決めることなく、
委員会という開かれた場で中身のある審議をすることが不可欠です。
そのことは、アメリカからもらった民主主義を会得したことの証明になり、アメリカとの掛け値のない
友好関係を築くことと、アジア諸国からの理解を得ることにつながります。
時間をしっかりとって十分に審議されることを強く要請します。
1999年4月27日
平成維新を実現する会・広島
アクショングループ・ガイドライン勉強会
チーフ 松本 素子
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【アメリカ向け】
○○○○○○○様
We sincerely hope the equal partnership withU.S.A. and are against the "guide line".
私たちは生活者主権の社会をつくることを目指して、日本国内の多くの仲間と共に勉強し、
活動しています。
私たちはすでに貴国と我が国の政府間で合意した「ガイドライン」が、このまま発効すると
日本国憲法と日米安全保障条約の枠を超える事態になりうると危惧し、日本政府及び各政党に対し
次のような要請を致しました。
(ここに国内向け要請文を入れる)
私たちは、貴国に、日本国民の中に政府とはちがう考えのあることを知ってもらいたくて
このメッセージを送ります。
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(平成維新フォーラムより転載)
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