生活者主権の会生活者通信1999年08月号/06頁..........作成:1999年08月23日/杉原健児

あなたの街でも公開討論会を開こう

〜現状打破をするために、普通のあなたにもできること〜

千葉県 内田 豊(地球市民会議リンカーン・フォーラム事務局長)

 私は「生活者主権千葉の会」の会員で、「生活者主権の会」会員でもあります。日本も地球もこのまま 放っておくと大変な事になる、何とかしなくちゃ、というのは誰にも共通の思いです。 千葉県でも多くの市民活動家が、政治や行政に対していろいろなアプローチをしてきました。 提言書・意見書の提出、陳情、有望な候補者の推薦、選挙支援、政治家との勉強会、行政監視 (市民オンブズマン)・・・。
 そのうちのいくつかは、たとえば我孫子市・福島市長のすばらしい市政改革につながったり、全国でも 先進的な市川市の情報公開条例を生み出す事になったりと、目に見える成果につながっています。
 でも、こうした市民活動には相当なパワーとノウハウが必要で、普通の主婦やサラリーマンには なかなか手が出せない、というのが正直なところではないでしょうか。
 「平成維新の会」が健在の頃は千葉県でも 400名以上の会員がいましたが、選挙応援の弊害か、 なかなか平成維新の成果が出せないあきらめからか、会員は減少の一途をたどり、現在では50名程度に なってしまいました。
 もっと、「ひとりからできて、費用が安くて、効果抜群」という、まるでかつてのNOVAの広告みたいに お手軽な政治改革の方法はないものでしょうか。ちょっとがんばれば普通の主婦やサラリーマンでも 実現できて、とっても楽しい政治改革の方法ってないでしょうか?それがあるのです。
 選挙における「公開討論会」がその方法です。
 地球市民会議リンカーン・フォーラム(NGO)が4年前に開催を呼びかけた公開討論会は全国各地に 広がりを見せ、すでに140 回以上も実施されており、次回の衆議院選では全 300選挙区での開催を 目指しています。
 首都圏の平成維新運動の仲間では「いしん埼玉市民の会」と「生活者主権千葉の会」が活動の中心を 公開討論会にシフトしています。今回の文京区長選での公開討論会は「生活者主権の会」の松井さんや 岡戸さんらが主催したものです。
 ここでは、普通のあなたでも政治改革を起こせる「公開討論会」の特徴や効果などをご紹介します。
■公開討論会の、労力(費用)対効果
 公開討論会の意義や法的根拠などのムズカシイ話はさておき、まずは公開討論会を実施するのに どのくらいの労力と費用が必要なのか、そして、どれほどの効果が期待できるのかという、 もっとも現実的なお話をしておきましょう。
      【労力(費用)】
(1) 公開討論会は一人からはじめられる
 公開討論会の企画・推進はひとりからはじめられ、ほとんどの準備が一人〜二人でできます。 討論会当日には多くの運営スタッフが必要ですが、これは必ず協力者が現れるので心配ありません。
(2) マニュアルに従えば簡単
 開催に関しては、公開討論会の標準的な開催方法をアドバイスしている「リンカーン・フォーラム」 が作成した『公開討論会実施マニュアル』どおりに実行すれば、誰でもポイントをはずさずにスムーズ に開催できます。
(3) 準備期間は1ヶ月
 準備期間は1ヶ月あれば十分です。この1ヶ月間主催者は、週末はもちろんのこと、 候補者やマスコミ、選管との交渉を中心に平日10日間は準備に費やす必要があります。 したがって主催者には、主婦や学生のように、平日に時間が取れる人が望ましいです。 しかし、サラリーマンが主催者でも、パートナーに主婦や学生、自営業者がいればこの問題は解決します。 私もサラリーマンですが、私が主催した市川市長選公開討論会の準備ではパートナーが主婦だったため、 私自身が会社を休んだのは、午後半日を2回だけです。
 なお、事前に公開質問状を作成して回答を一般配布する場合などは、公開討論会の準備とは別途、 2〜3週間の準備期間が必要です。
(4) 費用が安い
 市民オンブズマン活動などの場合、コピー代だけでも数十万円、裁判費用や交通費もばかにならない という短所があります。これに対し、公開討論会は、マスコミを上手に活用すれば、 平均でも3万円〜4万円、場合によっては1万円以下でも実施可能です。会場に公民館を使用し、 宣伝はマスコミにしてもらえば、必要経費は会場費(数千円前後)と雑費(郵送費、コピー代) だけなのです。
      【期待できる効果】
(1) 投票率が向上する
 私達の公開討論会が開催された選挙区では、投票率が前回比で平均10ポイント向上しています。 もちろん、公開討論会だけが上昇要因というつもりはありませんが、少なからずの影響を与えている ことはまちがいありません。
(2) 政局への影響力がある
 公開討論会が開催された首長選の多くで、新人が現職を破るという新旧交代が実現されています。
 また、昨年の参議院選で公開討論会が実施された23選挙区における自民党候補者の当落に対する面白い 分析結果があります。自民党候補者の当選率は全国平均で53%でしたが、公開討論会に欠席した 自民党候補者は44%しか当選できませんでした。これに対し、公開討論会で堂々と自分の意見を述べた 自民党候補者の当選率は83%と大きく跳ね上がりました。さらに自民党候補者複数擁立選挙区で、 対立候補の自民党候補者が公開討論会に出席している時に欠席した自民党候補は全員落選しました。 このように、公開討論会に欠席した有力候補者が落選するケースは枚挙に暇がありません。
(3) びっくりするほど人が集まる
 公開討論会の会場では、特に首長選などではどこでも人があふれかえります。市民が公開討論会に 高い関心を寄せている証拠です。
(4) みんなが楽しい
 討論会で楽しい思いをするのは、会場に足を運んだ参加者だけではありません。
候補者にもとても喜んでいただいています。現職は実力をアピールできるし、新人は知名度不足、 イメージ不足を一気に挽回できます。そして、何より楽しいのは主催者自身です。 わすか1ヶ月間の努力でこれほどの充実感を得られる機会はなかなかありません。
(5) マスコミも注目している
 リンカーン・フォーラム方式の公開討論会は、昨年だけで 400回以上新聞に掲載されました。 テレビでも、ニュースステーション(3回)、NEWS23、ニュースプラス1で特集されたほか、 長崎県知事選、愛媛県知事選、札幌市長選などでは生中継を含め、10回以上も録画放送されています。
いかがでしょうか。  私は、平成維新運動は目標はすばらしかったが、その候補者を推薦するという方針の前提に問題が あったと思っています。すなわち、どんなにすばらしい候補者を推薦しても、 その候補者の良さを有権者にアピールする場がなかったのです。そこで、私は候補者の良さをアピール する場としての”公開討論会”を普及させるところから始めようと考え、リンカーン・フォーラム活動 を推進しています。私達リンカーン・フォーラムの主旨に賛同し、公開討論会を実施しよとしている 全国のボランティアがどんどん増えています。あなたも、あなたの街で公開討論会を開いてみませんか。 リンカーン・フォーラムが全力でサポートします。
  【地球市民会議リンカーン・フォーラム連絡先】
    TEL:03-3587-4897 FAX :03-3587-0258
    E-Mail:uchiday@ann.hi-ho.ne.jp
    URL: http://www.r-u.com
    内田 豊 uchiday@ann.hi-ho.ne.jp

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