生活者主権の会生活者通信1999年09月号/10頁..........作成:1999年09月18日/杉原健児

インターネットは20世紀最大の発明!?

文京区 松井孝司(tmatsui@jca.apc.org)

 上記表題は最近「生活者主権の会の新しいホームページ(http://member.nifty.ne.jp/ne/se/)」 を立ち上げられた杉原健児さんが、ご自身のホームページ「都市経営フォーラム」論述集で使用されて いるお言葉です。杉原さんに敬意を表し、この言葉をそのまま拝借して今回の投稿のタイトルとさせて いただきました。
 文明が進歩するほど戦死者が増え20世紀は最悪の世紀となって推定戦死者数は1億780万人に なったそうです。文明も頂点に達し人類史上例を見ない大発見、大発明が続きました。
 20世紀初頭に登場したアインシュタインの相対性理論とニールス・ボーアらの量子論の登場は 従来の世界観を根底からひっくりかえし哲学の世界にも深刻な影響を及ぼすものでした。 これらの理論は原子力エネルギーや新素材、電子機器の発明へとつながり人類の生活を大きく 変革したことは、いまさら説明するまでもないでしょう。
 ワトソン・クリックらによる核酸構造の発見も医学・生物学の世界だけではなくバイオテクノロジー の発展へとつながり産業界にも大きな影響を与えつつあります。
 それに比べインターネットはIP(Internet Protocol)と呼ばれる信号を送るための手順やHTML (Hyper Text Markup Language)などの言語仕様の考案に基づくもので上記の大発見に比べると大きく 見劣りします。しかし、21世紀の人類社会への影響力は計り知れないものが有り、杉原さんが 「インターネットは20世紀最大の発明」と豪語される所以なのです。
 インターネットを可能としたコンピュータ関連技術の飛躍的発展があってのことですが、 この簡単なプロトコールがインターネットという国境の無い世界を作りだし、国家社会のシステム を根本的に変革しようとしていることは全く予想外のことです。
 インターネットは時間と空間の制約を超えて人間の知能を結ぶ仮想の世界を創り出し、 仮想世界の中で全人類が膨大な情報を共有できます。当然悪知恵を持って参入する人もいるでしょう。 犯罪の温床になることを危惧しインターネットの利用を拒否する人もいます。しかし、 これはインターネットが悪いのではなくインターネットを利用する人間が悪いのです。 セキュリティーが今だ十分ではないことや、一部にポルノ画像や毒物の販売など犯罪行為に結びつく 情報を流し続けるサイトがありインターネットを問題視する人もいないわけではありませんが、 スリム化するための道具としてインターネットの効用は計り知れないものがあると期待されます。  今年の2月米国で高齢者向けのアクセス・アメリカ(http://www.seniors.gov/) が開設されましたが、 これは連邦政府機関(老人厚生庁、社会保険庁など生活にかかわりの深い15の省庁)への電子の窓口で、 高齢者はこれを通じて各種の情報サービスを受ける事ができます。巨大な建物を必要とすることなく 仮想空間のなかで政府の提供するサービスを受けることが可能となったのです。
 「電子情報自由法(EFOIA)」を制定する米国では、議会や連邦政府のデータベースに 市民が自由にアクセスできるようになっています。これを実現させたのはネイダーグループのジェームズ ・ラブらの市民運動でした。ラブらは「納税者資産プロジェクト(TAP)」を立ち上げ 「政府情報は税金で作られた資産。納税者がこれにアクセスするのは当然の権利」と主張し、 連邦議会のデータベースだけではなく、証券取引委員会の企業情報データベース、法令データベース に加え、米国統計データ、有害物質廃棄データなどの提供までも無料化させることに成功しています。
 米国国立医学図書館(NLM)が作成する世界最大の医学データーベースMedline も無料で公開されて おり、医学の最新知識をインターネット上で検索することが出来ます。
 米国政府機関は1999年末日までに、すでに発表された資料に共通のインデックスを付けオンライン で利用出来るようにすることが求められています。政府の所有する情報は納税者のものというあたりまえ のことがインターネットによって現実のものとなり、税金の無駄使いが許されなくなるのです。 インターネットは省資源、省エネルギーという観点からも21世紀に相応しい道具です。
 この生活者通信のバックナンバーも杉原さんの努力でインターネット上で読めるようになりました。 インターネットの創り出す世界をいまだご存じない方は是非一度体験して下さい。但し、インターネット の世界は玉石混交しており、はじめての方は有益なページを探すことが容易ではありません。
 ここで紹介したデータベースに関心を持つ方は、URL(Uniform Resource Locator)を 以下に記しましたのでアクセスの参考にして下さい。
          記
連邦議会のデータベース(http://thomas.loc.gov/)
企業情報データベース(http://www.sec.gov/)
法令データベース(http://law.house.gov/usc.htm)
有害物質廃棄データ(http://www.rtk.net/www/rtknet/webpage/databas3.html)
医学データベースMedline ( http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/)

生活者主権の会生活者通信1999年09月号/10頁