生活者主権の会生活者通信1999年12月号/11頁..........作成:1999年12月26日/杉原健児

大臣の器

群馬県高崎市 森 徹

 私は、住宅のエンジニアのため「現代政治経済」にはうとい。年齢は41歳のため、「政治経済」に うとくなりだした世代のはしりかもしれないと思っている。 テレビのキャスターなどがそれなりに 説明する「現代政治経済解説」も宇宙人の説明のように聞こえる。
 テレビのキャスターは自分達の報道をほんとうに理解しているのか、疑問をもっている一人である。
説明というのは、自分が話そうとすることを理解していないと他人にわかりやすく話せないというのが 原則だから、いくら聞いてもキャスターのいうことが理解できないというのは、キャスター自身が わかっていないことにもつながる。
 また、TBSラジオの荒川氏の「デイキャッチ」で近藤勝重氏が「本当に日本経済のわっかている 経済評論家などいない。だから経済評論家の意見などあたらないんですよ」といっていた。私が 「現代政治経済」にうといのではなく、専門化と称する人が「知ったかぶり」をしているともいえる。
 前置きが長くなった。今回の第2次小渕内閣、世評では「実務内閣」といわれている。しかし、 顔ぶれをみれば「エキスパート集団」とはほど遠いと思うのは私だけだろうか? 特にエキスパートと 思われている宮沢大蔵・堺屋経企長官であるが、宮沢さんは英語が堪能なのとシャンパン外交がお好きな ようなので「外務」へ、堺屋さんは言葉遊びが好きなので「文部」に就任していただいたほうが力を はっきできるのではないか?
 おりもおり、11月7日付けの朝日新聞1面の総保守の構図には、冒頭こんなことが記されている。 ―「図らずも入閣したのでは困る」小渕首相は内閣改造にあたって、入閣予定者に抱負を書いたリポート の提出を求めた。「この歳になってこんなことをやらされるとは」とぼやきながら未明までかかって書いた り、提出のため訪れた首相官邸で手直しをしたりした「閣僚候補」もいた。「もう少し具体的なことが でてくればいいのだが」首相の採点は手厳しいものだった。―
 小渕首相はまるでできの悪い学生のレポートの採点をしている教授のようなものだ。エキスパートと 思われているのだから、マスタークラス(修士号)のペーパーテストをすればわかるが一部を除き不可 だったりして。大臣となるために「実務型内閣」としていち早く上面だけ報道したマスコミのレベルが 知れる。
 このひとでなければ務まらないといわれた実務型大臣は歴代に数多い、大村益次郎(陸軍の創設者) 西郷従道海軍大臣・大山巌陸軍大臣・浜口雄幸大蔵大臣・井上準之助大蔵大臣・高橋是清大蔵大臣・ 吉田茂総理大臣、まだまだいるだろうが、私のつたない知識の中の人物である。特に「ダルマ宰相」こ と高橋是清は今でいう「ホスト」から総理大臣になったつわものである。当時の国家財政の大半をしめる 陸軍の予算の削減を実行した、「削減すれば殺される」といわれたが、国家のために削減し、 見事に陸軍将校に暗殺された、大臣の鏡である。
 当選回数で決まる大臣のいすはまだまだ続きそうだ。
 疑いたいレベルは自自公だけではない、民主党も似たり寄ったりではないか? 鳩山党首もいい人 すぎて個性がない、自らが押す改憲論を主体とした具体的政策がみえてこない。
 民主党は9条のみの護憲改憲の論争のみで、憲法全般に対しての将来あるべきビジョンを描き 吹き込んでいない。日本国憲法は国内法である。9条のみで世界平和が維持できるのなら誰も 苦労はしない。JCO事件いらい、核廃絶をあれだけ訴えるわりに、核管理にはお粗末な国として世界 からひんしゅくを買った。一言もないがどこに怒りをぶつけていいのかわからない。いつのまにか 9条のあしかせで、原子力エネルギーの恩智には預かりながら、核議論そのものがタブーになったつけだ。 民主党は護憲論者が足かせになっているのは言うまでもない。護憲論者は切り捨てればよい。 世界の情勢から考えるに「集団自衛権の行使と専守防衛の武力行使」は世界の良識である。
 この理念を基に9条を変えざるをえないと思う。またさわがれている、比例代表の定数是正などは、 改憲しなければできないことであろう。
 そして、どの党をみてもジッチャマ議員はいまだにイデオロギーからはなれられない。
 そこにいくと自民党石原伸晃・渡辺良美・民主党松沢議員などは、実にはぎれが良い。私の世代の 若手超党派であるが、彼らに党の垣根はなさそうである。もう待てない消費税のアップ (消費税導入の先進国で一律の税率は日本位のために、消費税アップといっても一律にアップする のではなく、物によって税率をかえる)の必然性など、論理的に説明できる世代である。 これらの政策集団が大臣のイスに座るのはいつなのか?

生活者主権の会生活者通信1999年12月号/11頁