生活者主権の会生活者通信2000年02月号/10頁..........作成:2000年02月21日/杉原健児

衆議院議員選挙(1996.10.20)無効請求事件の上告 (4)

千葉県 治田桂四郎

 なお、イギリスでは、わが国でいうような意味での投票価値の思想は殆ど見られません。 イギリスで一人一票」(one person, one vote)という場合、それは、女性に参政権がなかった時代に 女性にも男性と同等の投票権をという意味と、特定の大学卒業者とか、財産所有者で居住地以外に 事業所を持つ者に追加の一票を与える複数投票制が存在したことを批判して使われる文字通りの 「一人一票」の概念なのであります。
 イギリスで「投票の価値」(value of the vote) を問題にするのは、選挙制度が一人区の 「相対多数制」(plurality system)であるところから多数生じる「無駄票」(wasted votes)−わが国でいう「死票」−の点なのであります。例えば、一九九七年の選挙では、スコットランドの一選挙区で得票率が三一・二%で当選しているから、残りの六八・八% が無駄票になったという認識であります( 宮川淑「The Burkean System of Representation- 付論 1997 年イギリス下院議員選挙−」濁協大学英語研究第五〇号、五五頁) 。  わが国の平成八年の衆院選の小選挙区では静岡一区で得票率二一・五% の者が当選しているから、 死票率は実に七八・五% であります。このときの選挙では全体で五四・七% が死票となっています。 因みに中選挙区制であった平成五年の総選挙ては死票は全体の二四・七%でありました。小選挙区に なって死票が五〇%を超えたという現象は、イギリスでの見方からすれば、議員定数配分の不平等以上 の問題点とも言えるであろうと思います。
 さてそこで、本件選挙において、人口が最少の選挙区との間で、区画審設置法三条一項の較差が 二倍以上にならないことを基本とするという原則に反し二倍を超える選挙区が多数出た最大の原因は、 同法同条二項が、各都道府県の区域内に選挙区を設定するに当たって、まず都道府県に定数一を配分する 手法を採ったことにあることは、同法案提出者の政府自身が認め(乙第四号証八九頁)、 また原判決も認めています。
 最初から都道府県に人口比例で配分していれば、都道府県間の人口較差は最大でも一・〇四七に とどまり、さらにその配分定数を小選挙区に細分化した場合でも較差の最大値を二倍未満に収ことは 十分可能でした。したがって同法同条一項と二項とは最初から矛盾をはらんだ規定となっていたの であります。
 原判決は、同法同条二項の定数配分基準は、人口比例主義の観点からすれば、その合理性に疑問を 呈さなければならない(判決書六五頁) と言いながら、国会が考慮することができる「政治的要素」 だという全く不可解な概念を用いて上告人の主張を斥けたのであります。立法機関の国会が立法化した ものが何故「政治的要素」と言えるのでありましょうか。
 最高裁は、衆議院議員の選挙における選挙区割と議員定数の配分に関しては、「国会の具体的に決定 したところがその裁量権の合理的な行使として是認されるかどうかによって決するほかなく」と 述べておられます( 昭和五一年四月一四日判決) 。
 国会が、憲法四三条一項のいう国会議員の全国民代表思想を正しく理解していれば、特定地域を 優遇するためと言ってその飽域に人口比以上の議員を配分する手法を採るはずはないのであります。 地域利益はそこに配分される議員数に左右される、という議員の地域代表思想があればこそ、 区画審設置法三条二項は制定されたのです。
 以上からして、憲法一四条で項に反する選挙区間の代表・被代表の不平等を生んだ原因も区画審設置法 三条二項が憲法四三条一項の規定する代表思想に合致していないところから生じたものなのであり、 国会による区画審設置法を含む衆議院議員定数配分規定の制定は、その裁量権の合理的な行使とは 言えないのであります。       (完)

気功健康法:継続的鍛練こそ真の健康法

指導 白川惠一(杉並区 TEL&FAX 03-3332-2529)

 昨年7月より、毎月「一日の会」の懇親会の前、30分ほど気功鍛練の時間をセットして頂き、 会員の皆様と鍛練をしております。気功法には数千種類のものがあるようですが、現在皆様と鍛練 しているのは、内蔵強化を目的とした「六字訣(ケツ)」または「六字気功」と呼ばれるもので、 6種類の鍛練法から成り立っています。肝臓・心臓・脾臓・肺臓・腎臓、そして消化器系の6種です。 感覚機関、目・舌・口・鼻・耳、も鍛練の対象になっています。この鍛練の効果はそれだけでは ありませんが、目的意識を持って鍛練することが大切です。
 この鍛練で大切なのは、動作(姿勢)、呼吸、そして意念です。この三つは同時進行ですが、 六字気功では呼吸法が基準になっており、吸う息、吐く息の切り替え時点が、動作の切り替え時点と なっています。姿勢や動作を正確に行うこと、雑念の排除も重要です。呼吸を調えるためには、 姿勢、意識を調えなければならないし、逆に呼吸が調えば自動的に他の二つが調えられなければ なりません。実習でぜひ体得して頂きたいと思います。
 通常、一時間半程度は必要で、30分では無理ですがとりあえず、その日の鍛練で一つだけ 出来るだけ正確に覚えて頂き、ご自分で毎日実習し、次の時に再確認し、又次の一つを会得して 頂ければと思います。気功健康法の教室「ワンワンクラブ」を品川区の大崎第一出張所にて 月二回開催しております。気功法鍛練の素晴らしさをぜひ味わって頂きたいと思います。
         【気功教室・ワンワンクラブ】
◎日時:原則として第一・第三木曜日18:30〜20:30
◎場所:品川区大崎第一出張所(JR五反田駅歩7分)
       品川区西五反田2-24-2
◎会費:当日 1,000円

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