生活者主権の会生活者通信2000年06月号/09頁..........作成:2000年07月05日/杉原健児


情報化時代の政治 (3)

田無市(松下政経塾フェロー第17期生)関口博喜

【深化する「情報革命」】

 ここで「情報革命」ついて触れておこう。  今日、「情報化時代」、「情報化時代」とよく言われるが、これから我々が生きて行く時代が どういう時代、どういう社会になるのか少し考えてみたい。情報化社会を先導しているアメリカでは、 93年に民主党のゴア副大統領が「情報スーパーハイウェイ構想」を打ち出した。これは全米規模で 高速マルティメディア対応のネットワークを整備しようという計画である。95年には共和党の ギングリッチ下院議長が「サイバー(電脳)スペース」概念を打ち出した。サイバースペースとは コンピューターのネットワークによって形成される仮想的な空間のことで、この概念は 「情報スーパーハイウェイ構想」が光ファイバー網というハード面を重視しているのに対し、 ソフト面に焦点をあてている。彼はまた、その前年には「進歩自由財団」(PFP) というシンクタンク で「第三の波」(片岡孝夫監訳中公文庫)の作者として有名なアルビン・トフラーといった未来学者 たちを動員して、情報化社会の指針となる「知識時代のマグナカルタ」を発表している。何か 怪奇じみて聞こえるかもしれないが、これから迎える新しい社会を考える時、人々の意識形成という点 で「サイバースペース」概念は重要である。
 そして、言うまでもなく、これからの情報化社会で決定的な役割を果たすのは、インターネットの 普及と電子メールの活用である。
 「情報革命」について簡単に述べたが、こうした現状への対応から、イギリスではすでに 「電子政府」なるものが、94年に始まっている。また韓国は、96年11月にアジア地域では初めて、 情報公開法を制定し、98年1月に早々と施行している。さらに韓国では、国会、35省庁、74の特殊法人、 広域自治体、裁判所の情報をデータベース化し横断的に検索できる「電子政府」をつくろうという 動きがある。電子政府が実現すると、行政の仕事自体が簡素化・効率化されると同時に、 行政運営の透明化が図られ行政の質自体が変わると、期待される。またこれは、利用者にとっては 情報の検索が容易になり、民主主義の質の向上につながるだろう。これから情報公開法を制定し、 21世紀の初頭に電子政府を目指すといっている日本は、完全に出遅れている。 (つづく)

「うるせーな、ジジイ」ー外野席から観る教育論ー(4)

群馬県高崎市 森 徹(sintetu@po.wind.co.jp)

【第5章:受験テクニックと理系の頭脳】

 あまり知られていない?が、「お受験」に勝つ一要因にスタミナがある。A君は今中学生だが、 将来なりたい職業は弁護士である。因みに、A君の父親は弁護士である。  中学での彼の成績は優秀であり、地元の高崎高校か早稲田の付属を目指すか悩んでいる。 「君ならどうアドバイスするか。」と家庭教師のBさんより質問を受けた。
 「最終的に司法試験に受かればいいわけですよね。どこの高校に行こうが、受験勉強なんて、 所詮体力勝負なんじゃないですか?」と答えた。「それはそうだ」とBさんは妙に納得していた。 そして、こんな話しもある。東大の理科 類を現役合格し、受験の神様といわれる精神科医の 野田秀樹氏の「偏差値50から早慶に受かる本」にも掲載されているが、国内における全ての受験の 合格テクニックは過去問のシュミレーションであると説いている。医者の試験や司法試験も 例外ではない。受験勉強とは膨大な過去の解答集を効率的に暗記し、試験時間内に正確かつ合理的に アウトプットすることである。だから、試験前には、これが維持できるスタミナが必要となる。 受験テクニックの延長上に過去の教養の知識と論理構成力が構成もされる。
 しかし、膨大な知識量とはいえMO以下だろ? 理数系の頭脳とは受験テクニックの優劣ではない。 一つに、高木貞治著「解析概論」が理解できる頭脳かどうかでもわかる。20年前で言う数の レベルをアップしたものだ。数学の基本概念が理解できていないと追いつけない。私は私立三流理系 大学1年のとき紐解いたが、最初の重数ページでダウンした。理系の学生でありながら「解析概論」 のおかげで自分が理系の頭脳でないことを認識した。もっとも、私の兄が家電メーカーで生産管理の エンジニアをしていて、計数力に関して話したことがあるが、量の把握をまちがえなければ、 建築と弱電に関する限り使う算術は「加減乗除の域をでない」と笑っている。 ましてや、 パソコンの表計算のおかげで、中卒程度の計数能力があれば簡単な積算システムは自分でくめる。 私は建築に関する積算業務の際、自身の計算ミスを恐れて、最近は電卓もあまり使わない。まして、 どんな業界でも複雑高度な計算ほどパソコンでしている。エクセルを基本にした表計算の普及で、 業務上オリジナルシステムをつくる能力は問われても、小学校時代に問われる計算力の低下は ナンセンスな時代になるのではないか? (つづく)

生活者主権の会生活者通信2000年06月号/09頁