大田区 大谷和夫
昔西洋史ではゲルマン民族の大移動と教わったが、
これはまぎれもなく大侵略であった。英国のロンド
ン博物館にはロンドンの歴史が展示されているが、
ローマの侵略以来、ゲルマン( アングル・サクソン
族) 、ノルマンの侵略で10世紀頃までを暗黒時代と
称している。コロンブスもアメリカを発見したかの
ように言われてきたが、歴史的にはこれも嘘である。
既に周知の事であるが、16世紀以来白人が世界の各
地を侵略したのでその足跡を辿ってみる。
【ポルトガル・スペインの世界征服（16世紀）】
一足早くイスラムを撃退したポルトガルのエンリ
ケ王子のアフリカ西岸探検に始まり、コロンブス、
アメリゴ・ヴェスプッチのアメリカ侵略、コルテス
のアステカ帝国征服、ピサロのインカ帝国征服など
数千万の原住民を虐殺し、東をポルトガル、西をス
ペインで世界を二分した。16世紀はイベリア半島が
世界経済の中心地となったが、利益消費のみで再生
産できず、無敵艦隊の敗北で衰退した。尚チリ、ア
ルゼンチンでは原住民ほぼ絶滅、グァテマラでは
1992年末でも尚原住民虐殺中であった。
【オランダ・イギリス・フランスによる
植民地支配（17世紀以降）】
17世紀オランダが北米進出するも英仏に排斥され、
インド洋沿岸のポルトガル貿易拠点を奪取、インド
ネシアを 330年間植民地として搾取、1662より40年
間台湾を支配した。
17世紀後半から18世紀にかけて、北米、インド、
中近東、アジア等英仏間で植民地争奪戦を行い、16
〜18世紀葡・西・和・英・仏で奴隷貿易を行い、約
１億人連れだし85％を死亡させた。19世紀末一部を
除きアフリカ全土を植民地化し、独・白・伊も遅れ
て参入した。その後の分割も民族、文化、生活を無
視して行われたため未だに貧困と地域紛争が絶えな
い。更にアジアでも日本とタイを除いて殆どの国が
英・仏・蘭・葡・米の植民地となり、大東亜戦争後
20世紀後半になってようやく解放された。
【アメリカ・ロシアの野心と領土の拡張】
アメリカでは1620年のプリマス上陸以来英植民者
が侵入し、1732年13州成立し、1776年独立宣言で
自由と平等を謳ったが、原住民と奴隷は除外された。
以後買収と侵略戦争で大平洋岸まで領土を拡張した
が、この間先住民の土地収奪と抹殺が行われ、先住
民との戦闘を西部劇と称した。この間奴隷が急増し
たが、先住民の虐殺と黒人奴隷の使用が自称道義心
を唱えるアメリカ人の最も触れられたくない恥部と
なっている。
更に侵略戦争開始の常套手段として、1846年米墨
戦争では「リメンバー・アラモ砦」、1898年米西戦
争では「リメンバー・メーン号」、1941年大東亜戦
争では「リメンバー・パールハーバー」という罠が
用いられ、1893年ハワイ、1903年パナマも謀略で編
入し、それぞれを保護領化した。
一方ロシアはモンゴル、オスマン帝国、ポーラン
ド、スエーデンによる支配の後、1696年トルコより
ドン川河口を奪取、1700年スエーデンを破りバルト
海の覇権獲得、1706年カムチャッカ半島占領、清国
より1858年黒竜江以北の地、1860年沿海州を獲得、
1867年アラスカ領有、1895年日清戦争で日本の獲得
した遼東半島を三国干渉で返還させて軍事基地とし
て奪取、1899年露清密約で満州支配を狙い、1900年
露韓密約で朝鮮半島のロシア化を狙って、結局1904
年日露戦争となり、1919赤色革命でソ連が成立した。
マルクス主義処刑者は 100万人とも言われている。
【20世紀の三大国家犯罪】
ソ連の強制収容所＋ナチのユダヤ人虐殺＋アメリ
カの原爆投下といわれる。尚マルクス主義侵略の犠
牲者数は世界で１億7000万人ともいわれている。
【21世紀を迎えて】
アフリカの貧困、各地の民族と宗教紛争、中近東
問題など、すべて白人侵略の後遺症である。従って
近世史と特に20世紀の総括が必要である。
尚原住民を征服して未だに居座っている白人国家
は、アメリカ、カナダ、中南米諸国、オーストラリ
ア・ニュージーランドなどであるが、1992年先住民
族世界会議では「インディアンは必ず白人に勝つ」
という宣言が出されたそうである。
尚アイヌは白人系で日本人が駆逐したという説が
流されたが、これは誤りで古モンゴロイド系であり、
琉球人と同様原日本人である縄文人の末裔であるこ
とが自然人類学で明らかにされている。
次回は東京裁判と南京虐殺事件の新しい見方を紹
介する。
参考図書：
「侵略の世界史」 清水馨八郎著 祥伝社
「アイヌは原日本人か」 梅原猛、埴原和郎共著
小学館
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