生活者主権の会生活者通信2000年12月号/10頁..........作成:2000年11月26日/杉原健児


10月26日午前の衆議院内閣委員会での議事録(2)

〜この日の夜11時にテレビでテープが放映されて中川長官は直後に辞表を提出した〜

衆議院議員 長妻 昭

□佐藤委員長  今テープの件は理事会で協議をさせていただきます。
    官房長官。                                              
◇中川国務大臣  たくさんたくさんお尋ねでございますから、一々
  全部はお答えできないかもしれませんが、そういうような捜査が
  行われたなどということも私は存じません。また、そういうこと
  は警察当局にお聞きをいただくしか私は確認のしようがございま
  せんし、お聞きいただいたらいいんだろうと思いますけれども、
  私は、そういう会話をした記憶、覚え、それは委員だって6年前、
  7年前の会話なんか全部覚えておられましょうか。そういう記憶
  は私にはございません。                                    
    それから、そういうテープが、どこから入手をされて、委員は
  そのテープをおとりになった方からこういうテープであると御確
  認の上のお尋ねなのか、今のお尋ねでははっきりいたしませんけ
  れども、私自身には、捜査情報を漏らすとか、またそんな情報も
  入りもしませんし、そのような事実関係が、日時の関係がどうな
  のか、そんなことも私にはわかりません。                    
    いずれにしても、全く不可解であり、心外でございます。    
○長妻委員  政治倫理綱領というのが、私どもが持っている、皆さ
  んも持っている手帳に書いてあるんですよ。これは、昭和60年6
  月25日議決された政治倫理綱領。この中に、「われわれは、政治
  倫理に反する事実があるとの疑惑をもたれた場合にはみずから真
  摯な態度をもつて疑惑を解明し、その責任を明らかにするよう努
  めなければならない。」と書いてあるわけです。              
    ですから、疑惑の解明がまだ今の時点でなされていないという
  ふうに世間は考えて、これだけきょうもマスコミの皆さんも集ま
  って、世間が騒いでいるわけです。官房長官という要職にあられ
  るわけですから。ただ否定をされているだけなんですよ。否定を
  されているだけじゃなくて、じゃ、例えばいろいろな、内容証明
  の問題でも、こうこうこういう事実があるからそれは違うんだ、
  あるいはその写真の問題も、こうこうこういうところで実は会合
  に出たけれども事実と違うんだとか、官房長官みずからその疑惑
  の解明に努められる努力を本当にされているのか。そして、その
  結果をきちんと国民の皆さんの前に公表する。だから、我々も、
  官房長官という職、この権威が今傷ついているわけですから、そ
  れを回復したいと願っているわけです。                      
◇中川国務大臣  倫理綱領をお出しいただいて、みずから立証しろ、
  解明しろ、こういう御主張でございますけれども、委員もおわか
  りかもしれませんが、十分な裏づけをとって報道された、そうい
  うことでないと私は思います。そういうものについて、ないこと
  を証明するということはなかなか容易なことではございません。
  第三者の本当にそれを証言する人がいるとか、そうでない限り、
  なかなか難しいことでございます。                          
    ただし、私自身も調査することはいろいろ調査しております。
  正直言って、最初に出ました滑川という人の会食の写真について
  もいろいろ調べてみました。当時の担当秘書、正直言って、物故
  して、いないわけでありますけれども、その当時のお世話人、そ
  れも物故して、いらっしゃらない。何せ古いことでございますか
  ら、そういうことまでいろいろ調べながら、この集まりなのか、
  あの集まりなのか、それなりに調べてみました。              
    しかし、17,8年前、あるいはもう少し、15,6年前かもしれませ
  んが、いろいろな会合について問い合わせもいたしましたけれど
  も、どの会合であるかとか、あるいはだれが呼んでおられるのか
  とか、そういう事実関係が明らかでございません。明確にできな
  いわけでございます。したがって、そのことは私なりにそういう
  努力もしているけれども、私自身、記憶をたどっても、記憶がご
  ざいません、こう申し上げるしかなかったわけでございます。  
    そして、あたかも私が法に触れたことをしているように報じら
  れておりますけれども、いろいろ、私なりのきちんとしたお答え
  をこの場でも、あるいはさまざまな委員会の場でも、記者会見で
  も、それは事実無根であると正式の場で私は申し上げておるわけ
  であって、一方で、その一方のことだけが全部真実であって、お
  まえが言うのはそれは認めないから真実でない、それはおかしい
  と私は思いますし、私自身の名誉にかかわることでもございます
  ので、専門家とも協議をしておりますし、いずれ何らかの措置を
  とらせていただきます。                                    
○長妻委員  これだけ次から次へと真実がどんどん出てきて、それ
  で調査して努力している、疑惑解明に中川さん自身も努力されて
  いると今答弁されていますけれども、その努力された結果が全然
  出てこないじゃないですか。ただ違う、違う、天地神明に誓って
  事実無根。それであれば、いろいろ今疑惑が出ているそれぞれに
  ついて、もっと、これはこういうことでこうだとか、具体的な説
  明が全くない。                                            
    そして、それをまず押さえておいて、若干角度を変えましょう。
    先ほど、何か運転手が云々というお話がありましたけれども、
  これは昨日発売されたフォーカスという写真週刊誌に、御自宅で
  撮られた、そこに女性が写っている、フォトは中川秀直、こうい
  う記事が出ましたけれども、あの写真はどういう状況で撮られた
  のか、よく考えて御答弁いただきたいと思います。            
◇中川国務大臣  あなたは、これだけ疑惑が出ているのに、真実が
  出ているのに私がうそをついて逃げている、こうお決めですが、
  どれが真実なんでありましょうか。裏づけをちゃんととって、一
  方のことだけで、私が何か覚せい剤をやったとか、あるいはそう
  いう捜査情報を漏らしたとか、一方的にお決めつけでございます
  けれども……(発言する者あり)だから、いずれ措置をとるとち
  ゃんと申し上げておるわけであります。                      
    そして今、最後のお尋ねでございますけれども、本当は国会は
  私生活についてお答えすべき場ではないのでコメントを差し控え
  たいのでございますが、昨日のことでございますけれども、当時
  運転手をしていた者が、平成七年の初秋ごろだったと思うけれど
  も、時間は夕方過ぎに事務所へ訪問され、少し話をしましたとこ
  ろ、その前にも空港へ私を出迎えたときに声をかけられてお会い
  しているようでございますが、相手の方が、自宅を見たい、こう
  いうことで何も考えずに案内しました、軽率きわまることをして
  今大変申しわけなく思っておる、今になってこのような大事を起
  こし、自分の女性に対する甘さを痛感しているという、いろいろ
  なおわびということを送ってまいりました。                  
    いずれにしても、それにしたって、あれはフォトが中川秀直だ
  とか、あるいは私が連れて帰って泊めて写真を撮ったとか、もう
  書かれておるわけですよ。それも真実ですか、あなたのおっしゃ
  る。やはり、そういうこともきちんと……(発言する者あり)写
  真のことも含めて私は申し上げておりますよ。私どもが夫婦そろ
  って留守にしていることだってしばしばあるわけでございます。
  そういうときに、私の事務所というか家は、事務所と前と一緒に
  なっておりまして、二十四時間事務所の者がおるような態勢でご
  ざいますから、そんな、私が連れて帰るなんということはあり得
  ないことですし……(発言する者あり)                      
    写真をだれが撮ったかということは、この本人も、すべて覚え
  ていないんで許してください、こう書いてありますけれども、そ
  こはわかりません。わかりませんが、いずれにしても、私が撮っ
  た写真だなどという、フォト中川秀直などという、そんな      
  キャプションまでつけてやるということは全く心外でございます
  し、それから、あなたがだれなんですかと言うんだったら、その
  方にお聞きになったらいいではありませんか。                
○長妻委員  まあ、不可解な話であります。運転手がその女性に、
  見ず知らずの女性にせがまれて、中川さんの御自宅を見たい、で
  は、運転手が軽率だったけれども連れていった、そして部屋の中
  まで案内して寝室に案内した、しかし、写真はだれが撮ったのか
  はわからない。ということは、その運転手さんは、そこまでしゃ
  べっているんですから、写真は自分は撮っていないと言っている
  んでしょう。ではだれが撮ったのかわからない。              
    だから、常識で考えて、私も意地悪な質問をしているわけじゃ
  ないんですよ、常識で考えておかしいから、国民の皆さんもおか
  しい、おかしい、こういうことを言っているわけですよ。疑惑の
  デパートとかそういうことを言われているわけです。          
    いずれにしても、時間も残り少なくなりましたので、このテー
  プ、実際私が聞いておりますから、いずれ中川さんも聞くことに
  なると思いますけれども、そのときに今のここでの御答弁をお忘
  れなく、出処進退を明らかにしていただきたいということを強く
  求めます。                                                
    そして、先ほどもお話し申し上げました、山下官房長官が10年
  前に官房長官をやめられた、この決断については何か御感想をお
  持ちでしょうか。                                          
◇中川国務大臣  そのときの状況は私はつまびらかにしておりませ
  んが、山下先生は山下先生なりの御判断であったんだろうと存じ
  ます。                                                    
    私は、官房長官になったのはことしの7月でございまして、そ
  れをさかのぼること7年前の私事が、なった途端にこうやってわ
  っと出て、しかもその真実が、本当にあたかも真実のように、そ
  ういうふうにいろいろ書き連ねられている、まことに心外でござ
  います。そしてまた、正直申しまして、そのうちの本当にたくさ
  んのことが真実ではございません。私は、法に触れるようなこと
  は一切いたしておりません。そういう中で、多くの人たちと今一
  生懸命、日本さえよくなればいいという思いで懸命になって頑張
  っているところでございます。                              
    以上です。                                              
○長妻委員  法に触れることを一切していない、法に触れなきゃ何
  でもいいということじゃないわけで、いずれにしても、この疑惑
  は今の御答弁でも私ども全く納得できませんし、これは国民の皆
  さんが広くごらんになられているわけですから、国民の皆様も納
  得できない。官房長官がうそをついている、こういう目で見られ
  ている状態は依然と続いて、日本の政治は非常に暗たんたる状況
  からいまだ抜け出ていないということを申し添えて、このテープ
  の問題あるいは御自宅で撮られた写真の問題、いずれにしても、
  長官が天地神明に誓って、そして事実無根というふうに言われて
  いるわけですから、それが仮にうそであれば、ここまで言われて
  いるわけですから、それなりの責任をおとりいただくということ
  を確認いたしまして、私の質問を終わります。                

生活者主権の会生活者通信2000年12月号/09頁