本誌12月号記載の大山氏投稿「気概の国日本を再
構築しよう」は既にニフティの平成フォーラムで議
論がほぼ出尽くした段階であるが、全面的な賛同者
が全くいない状況である。ここではその問題点につ
いてのみ簡潔に指摘する。
1.歴史観の誤謬
歴史とは所詮物語である。従って、作者によって
又見方や時代によっていろいろ変わるのが歴史であ
る。どこの国でも、現在の価値観からすれば、具合
の良いこと、悪いことが折り重なっているものであ
る。自分の国だけが悪い事をしたと思い込むのを自
虐史観というが、中身の充分な吟味なしに、外国の
悪い所だけつまみ食いして、外国はすべて悪い、日
本だけが良い国である、というのは他虐史観とでも
いうのであろうか。自虐史観にせよ、その裏返しの
他虐史観にせよ、独断に基づく偏見であり、公正な
歴史観とはいえない。
2.憲法観の誤謬
現在の憲法は、国民主権、平和主義、基本的人権
の尊重という点ではかつての帝国憲法より一歩前進
していると評価している。ところが大山氏は憲法制
定権力が天皇にあるので現在の憲法は認められず、
直ちに廃棄すべしと主張している。しかしその根拠
は、天皇が悪いことをするかも知れないという憶測
に基づくもののようで、よく言って極度の天皇崇拝
症、悪く言えば天皇恐怖症に陥っているのではない
かと思われる。つまり憲法の条文を無視した独断と
偏見に過ぎない。我々国民は、主権者としての責任
を全うし、我が国をよりよい国にするために、如何
なる方向に、如何にして国を変えてゆくか、その為
に憲法は如何に見直してゆくべきかが問われている。
従って憲法改正の中身が重要であり、中身のない、
根拠のない形式主義の議論は無益である。
3.言論の自由と責任
言論の自由とは何を言ってもよいという事ではな
い。自由に対比するものは責任である。徒に他者を
誹謗するような言辞を言論の自由として許せば、社
会にとって、又平成維新の実現を理念とする本会に
とっても、何ら裨益する所がないであろう。