宮沢大蔵大臣と 「補正予算の必要性、国債乱発の危険性について」
11月21日大蔵委員会での激論 (1)
衆議院議員 ながつま昭
○長妻委員 民主党の長妻昭でございます。
本日は、宮澤大蔵大臣と財政のお話を、この財特法の審議とと
もにさせていただきたいと思います。
大蔵大臣、長期金利が上昇をしている。これは資金需要が余り
ないのに上昇して、十年物は二パー近くまで行っている。いろい
ろな論評では、本当に不気味な金利上昇、私もそういうような感
じを受けます。
それで、何で今長期金利が過去の水準に比べて高くなっている
のか、宮澤大蔵大臣の御意見をお伺いしたいと思います。
◇宮澤国務大臣 長期金利を毎日見ておりますけれども、きょうは
十年物の国債の金利が一・七二とかその辺でございます。
最近、大変価格が上がっておりまして、金利が下がっておりま
すのは、ひょっとしたら株がずっと悪いものですから、その裏側
かもしれません。しかし、いずれにしても、一昨年の暮れのよう
に、金利が二を上に行くというようなことがあってはいけません
ので、いろいろに注意もいたしております。国債の発行につきま
しても、期限をいろいろに異ならしめましたり、その発行のやり
方にしてもミックスしてやっております。
しかし、それにしても、こういう一・七とか、二より少ない金
利というのは、これは普通のことではない。やはり民間の資金需
要がないということの直接の結果ではないだろうか。仮に、民間
に大きな資金需要があれば、国債もそのあおりを受けることは当
然のことでございますから、今、そういうような状況にはなって
おらないというふうに考えております。
○長妻委員 いずれにいたしましても、この長期金利の動向という
のは、過去の経験からいってもちょっと普通じゃないような動き
があって、九月ですか、一・九九とか、かなり変動している。
そして、九月八日には、ムーディーズが日本国を格下げした。
これは一概に比べられないかもしれませんけれども、トヨタ自動
車とか東京海上、NTT、この企業よりも日本国を下にムーディ
ーズが格付した。これはどういう理由か、大蔵大臣、端的に。
◇宮澤国務大臣 それは、私は別に不思議なことでないと思います
ので、日本国のことではありません、一般論として申しますなら、
政府の財政的あるいは信用的な信用が、企業の信用よりも落ちる
ということは、それはあり得ることでございます。
ただ、我が国に関して言えば、国債にデフォルトするというよ
うなことは、これは考えられないことでございますから、仮にム
ーディーズならムーディーズがそういうことを、どういうことで
やりましたか、まあ将来の見通しとかなんとかいうことは、市場
がどうなるかということを言っておるのかもしれません。それは
それなら別のことでありまして、信用についておかしいというよ
うなことは、我が国の国債について、私は全く考えられないこと
であるというふうに思います。それは、同じことはトヨタについ
ても考えられないことであるかもしれませんけれども。
○長妻委員
宮澤大蔵大臣の本会議での答弁等々を聞いております
と、今のお話もそうですけれども、何か当事者というよりは評論
家的というか、一般の企業よりもやはり国の信用の方が低くなっ
たからじゃないでしょうかとか。それは、トヨタ自動車とか民間
は、本当に血のにじむようなリストラ等々をして、大変な努力を
している。それに比べて、特に日本の財政、これは大蔵大臣、も
うずっとやられていて、今本当に最悪の事態になっている、本当
に心の底では大変問題だと思われておられると思います。ぜひ、
当事者として、こういう事態を本当にちゃんと分析して、行動を
していただきたいと思います。
今こういう御質問を申し上げましたのは、一つは、今回、きょ
う審議される財特法ですね、二分の一条項を削除するということ
であります。この二分の一条項を含む減債制度、三本柱から成っ
ているわけでありますけれども、この一角をきょう崩すというこ
とになるわけでありますが、そもそもこの減債制度というのは何
でつくられたのか。そして、その意義をどういうふうに考えられ
ているのか、大蔵大臣、端的に。
◇宮澤国務大臣 我が国の財政法で申しますならば、本来歳入補て
んのための赤字国債というようなことは出さないのが原則として
考えられておりますものですから、またしかし、建設国債につい
ても例外的にこれを認めるということでございますから、そうい
う場合に、国債の信用を維持するということは絶えず同時に考え
ておかなければならないということで、余剰があればそれを二年
後の国債整理基金に半分投入せよ、そういういわば国債の信用維
持ということが物の考え方の基本であると思います。
○長妻委員 本当にまさに大蔵大臣がおっしゃられたとおりであり
まして、ある意味では、国債の信用維持のためにこの二分の一条
項というのはあるわけです。その国債の信用維持の減債制度の一
角を本日削除しよう、この委員会はこういう議論の場であります。
そういう意味では、国債の信用維持を崩していく、これにつなが
る。例外的に建設国債は認められている、そして原則赤字国債は
認めない、まさにおっしゃるとおりなんですよ、評論家としては。
ところが、今の現実が、赤字国債は出し放題、建設国債も出し
放題。今おっしゃられたことと現実が全く違うわけですよ。だか
ら、こういうことで逆に二分の一条項を外すことで、日本がもっ
と信用をなくして、長期金利ももっと上がるかもしれない
し、格付もまだ下がる可能性もあるとムーディーズも言っている
わけで、これはムーディーズだけじゃありません、世界もそう見
ています。
こんなことをやっていたら、国債が暴落して、長期金利が暴騰、
こういう悪夢の様なことが来るのじゃないですか。どうでしょう。
◇宮澤国務大臣 おっしゃいますように、今の現状というものは、
財政法が想定しております状況とは全く違う状況でございます。
したがいまして、お願いを申し上げておりますことは、ここで
半分を国債整理基金に入れる、そのかわり、しかし、その同額を
国債を発行しなければならないというのが、残念なことではあり
ますが現実でございますから、私どもとしては、新しい国債を発
行するよりは、国会で法律でお許しを願って、国債整理基金に入
れることをしなくてよろしいということにさせていただきたいと。
おっしゃいますように、現実はそのような状況でございますから、
こういうことまでお願いをしている。
日本の国債が暴騰して信用がどうとかおっしゃいます。そうい
うことにならないように一生懸命努めておりまして、現実に我が
国の利回りというのは、したがいまして、クーポンレートは一・
八とか、そういうことで十年物の国債が発行ができておるという
ことは、やはり私どもが十分注意を払っておるということの一つ
の成果であろうと考えています。
○長妻委員 一・八で国債発行ができている、十分な成果と。これ
は、本当に今金融機関が、資金需要がなくて、貸し出し先がなく
て、国債残高が十兆ふえたじゃないですか。そういう、たまたま
いい状況があって一・八で抑えられているわけですよ。こういう
ことがずっと続くということは絶対ないわけでありますので、本
当に当事者として危機意識をぜひ持っていただきたい。
今おっしゃられましたけれども、二分の一条項を削る。もし削
らなければまた同額国債発行する羽目になっちゃうから、逆に国
債を減らすためにも削るんだという理屈ですよね、大蔵省は、現
場も。これは本当にへ理屈というのです。減債制度はなぜつくら
れたかというと、さっき大蔵大臣が言われたように、余り国債出
すな、むだ遣いするな、そういう趣旨でつくられているわけであ
りますので、そうであれば、今回、剰余金が一兆円ですか、そう
すると、半分の五千億円の歳出を削ればいいのですよ。そうした
ら、二分の一条項を削除する必要はないわけです。そういう発想
を持っていただいて、何か流されて、後で後づけのへ理屈をつけ
る、評論家的にどんどん物事を容認していく、こういう大蔵大臣
では、日本の財政どうなっちゃうんですかということを私は強く
言いたいのです。 (づづく)
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