生活者主権の会生活者通信2001年02月号/11頁..........作成:2001年02月03日/杉原健児


宮沢大蔵大臣と
「補正予算の必要性、国債乱発の危険性について」
11月21日大蔵委員会での激論 (1)

衆議院議員 ながつま昭

○長妻委員  民主党の長妻昭でございます。                    
    本日は、宮澤大蔵大臣と財政のお話を、この財特法の審議とと
  もにさせていただきたいと思います。                        
    大蔵大臣、長期金利が上昇をしている。これは資金需要が余り
  ないのに上昇して、十年物は二パー近くまで行っている。いろい
  ろな論評では、本当に不気味な金利上昇、私もそういうような感
  じを受けます。                                            
    それで、何で今長期金利が過去の水準に比べて高くなっている
  のか、宮澤大蔵大臣の御意見をお伺いしたいと思います。      
◇宮澤国務大臣  長期金利を毎日見ておりますけれども、きょうは
  十年物の国債の金利が一・七二とかその辺でございます。      
    最近、大変価格が上がっておりまして、金利が下がっておりま
  すのは、ひょっとしたら株がずっと悪いものですから、その裏側
  かもしれません。しかし、いずれにしても、一昨年の暮れのよう
  に、金利が二を上に行くというようなことがあってはいけません
  ので、いろいろに注意もいたしております。国債の発行につきま
  しても、期限をいろいろに異ならしめましたり、その発行のやり
  方にしてもミックスしてやっております。                    
    しかし、それにしても、こういう一・七とか、二より少ない金
  利というのは、これは普通のことではない。やはり民間の資金需
  要がないということの直接の結果ではないだろうか。仮に、民間
  に大きな資金需要があれば、国債もそのあおりを受けることは当
  然のことでございますから、今、そういうような状況にはなって
  おらないというふうに考えております。                      
○長妻委員  いずれにいたしましても、この長期金利の動向という
  のは、過去の経験からいってもちょっと普通じゃないような動き
  があって、九月ですか、一・九九とか、かなり変動している。  
    そして、九月八日には、ムーディーズが日本国を格下げした。
  これは一概に比べられないかもしれませんけれども、トヨタ自動
  車とか東京海上、NTT、この企業よりも日本国を下にムーディ
  ーズが格付した。これはどういう理由か、大蔵大臣、端的に。  
◇宮澤国務大臣  それは、私は別に不思議なことでないと思います
  ので、日本国のことではありません、一般論として申しますなら、
  政府の財政的あるいは信用的な信用が、企業の信用よりも落ちる
  ということは、それはあり得ることでございます。            
    ただ、我が国に関して言えば、国債にデフォルトするというよ
  うなことは、これは考えられないことでございますから、仮にム
  ーディーズならムーディーズがそういうことを、どういうことで
  やりましたか、まあ将来の見通しとかなんとかいうことは、市場
  がどうなるかということを言っておるのかもしれません。それは
  それなら別のことでありまして、信用についておかしいというよ
  うなことは、我が国の国債について、私は全く考えられないこと
  であるというふうに思います。それは、同じことはトヨタについ
  ても考えられないことであるかもしれませんけれども。        
○長妻委員
   宮澤大蔵大臣の本会議での答弁等々を聞いております
  と、今のお話もそうですけれども、何か当事者というよりは評論
  家的というか、一般の企業よりもやはり国の信用の方が低くなっ
  たからじゃないでしょうかとか。それは、トヨタ自動車とか民間
  は、本当に血のにじむようなリストラ等々をして、大変な努力を
  している。それに比べて、特に日本の財政、これは大蔵大臣、も
  うずっとやられていて、今本当に最悪の事態になっている、本当
  に心の底では大変問題だと思われておられると思います。ぜひ、
  当事者として、こういう事態を本当にちゃんと分析して、行動を
  していただきたいと思います。                              
    今こういう御質問を申し上げましたのは、一つは、今回、きょ
  う審議される財特法ですね、二分の一条項を削除するということ
  であります。この二分の一条項を含む減債制度、三本柱から成っ
  ているわけでありますけれども、この一角をきょう崩すというこ
  とになるわけでありますが、そもそもこの減債制度というのは何
  でつくられたのか。そして、その意義をどういうふうに考えられ
  ているのか、大蔵大臣、端的に。                            
◇宮澤国務大臣  我が国の財政法で申しますならば、本来歳入補て
  んのための赤字国債というようなことは出さないのが原則として
  考えられておりますものですから、またしかし、建設国債につい
  ても例外的にこれを認めるということでございますから、そうい
  う場合に、国債の信用を維持するということは絶えず同時に考え
  ておかなければならないということで、余剰があればそれを二年
  後の国債整理基金に半分投入せよ、そういういわば国債の信用維
  持ということが物の考え方の基本であると思います。          
○長妻委員  本当にまさに大蔵大臣がおっしゃられたとおりであり
  まして、ある意味では、国債の信用維持のためにこの二分の一条
  項というのはあるわけです。その国債の信用維持の減債制度の一
  角を本日削除しよう、この委員会はこういう議論の場であります。
  そういう意味では、国債の信用維持を崩していく、これにつなが
  る。例外的に建設国債は認められている、そして原則赤字国債は
  認めない、まさにおっしゃるとおりなんですよ、評論家としては。
    ところが、今の現実が、赤字国債は出し放題、建設国債も出し
  放題。今おっしゃられたことと現実が全く違うわけですよ。だか
  ら、こういうことで逆に二分の一条項を外すことで、日本がもっ
  と信用をなくして、長期金利ももっと上がるかもしれない      
  し、格付もまだ下がる可能性もあるとムーディーズも言っている
  わけで、これはムーディーズだけじゃありません、世界もそう見
  ています。                                                
    こんなことをやっていたら、国債が暴落して、長期金利が暴騰、
  こういう悪夢の様なことが来るのじゃないですか。どうでしょう。
◇宮澤国務大臣  おっしゃいますように、今の現状というものは、
  財政法が想定しております状況とは全く違う状況でございます。
    したがいまして、お願いを申し上げておりますことは、ここで
  半分を国債整理基金に入れる、そのかわり、しかし、その同額を
  国債を発行しなければならないというのが、残念なことではあり
  ますが現実でございますから、私どもとしては、新しい国債を発
  行するよりは、国会で法律でお許しを願って、国債整理基金に入
  れることをしなくてよろしいということにさせていただきたいと。
  おっしゃいますように、現実はそのような状況でございますから、
  こういうことまでお願いをしている。                        
    日本の国債が暴騰して信用がどうとかおっしゃいます。そうい
  うことにならないように一生懸命努めておりまして、現実に我が
  国の利回りというのは、したがいまして、クーポンレートは一・
  八とか、そういうことで十年物の国債が発行ができておるという
  ことは、やはり私どもが十分注意を払っておるということの一つ
  の成果であろうと考えています。                            
○長妻委員  一・八で国債発行ができている、十分な成果と。これ
  は、本当に今金融機関が、資金需要がなくて、貸し出し先がなく
  て、国債残高が十兆ふえたじゃないですか。そういう、たまたま
  いい状況があって一・八で抑えられているわけですよ。こういう
  ことがずっと続くということは絶対ないわけでありますので、本
  当に当事者として危機意識をぜひ持っていただきたい。        
    今おっしゃられましたけれども、二分の一条項を削る。もし削
  らなければまた同額国債発行する羽目になっちゃうから、逆に国
  債を減らすためにも削るんだという理屈ですよね、大蔵省は、現
  場も。これは本当にへ理屈というのです。減債制度はなぜつくら
  れたかというと、さっき大蔵大臣が言われたように、余り国債出
  すな、むだ遣いするな、そういう趣旨でつくられているわけであ
  りますので、そうであれば、今回、剰余金が一兆円ですか、そう
  すると、半分の五千億円の歳出を削ればいいのですよ。そうした
  ら、二分の一条項を削除する必要はないわけです。そういう発想
  を持っていただいて、何か流されて、後で後づけのへ理屈をつけ
  る、評論家的にどんどん物事を容認していく、こういう大蔵大臣
  では、日本の財政どうなっちゃうんですかということを私は強く
  言いたいのです。                              (づづく)

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