宮沢大蔵大臣と補正予算の必要性、国債乱発の危険性について11月21日大蔵委員会での激論(3)
衆議院議員 ながつま昭
○長妻委員 だから、大蔵大臣、判断を変えたということを今もお
ぼろげながら言われましたけれども、きちんと、こうこうこうい
う判断を変えた、では前の発言は取り消してやるんだと。私は賛
成できないですよ。でも、国会ではやはりそういうことをきちん
と発言して、そして国民の皆さんに、大蔵省は当初と九月以降、
政策を変えたんだ、そういうことをはっきり国会で言ってもらわ
ないと、わからないわけですよ。
次に、建設国債、今回の補正予算は二兆円の建設国債を発行さ
れる予定でございますけれども、これも大蔵大臣の九月六日の記
者会見で、これは長期金利がわっと上昇した局面を受けて、こう
言われているのです。何でも国債を出せばよいという状況ではな
いことを共通認識として持ってもらう必要がある、国債の大幅増
発を許したら大蔵大臣は落第だ。御自身が言われているのですよ、
国債の大幅増発を許したら大蔵大臣は落第だと。大蔵省、長期金
利が上がってかなり慌てられたのでしょう、大蔵大臣は落第だと
御本人が言われているのです。これはどうなんですか、落第です
か。
◇宮澤国務大臣 そういうことを言われる方があって長期金利が上
がりそうになりましたが、実際はそうでないものですから、長期
金利は今上がっておりません。そして、私のしたことは、半分は
国債以外のことで財源を賄ったということであります。
○長妻委員 政治家の発言が本当に軽い、大蔵大臣は落第だという
のは、これは本当に重要な、重大な発言でありますけれども、そ
して、今十一月、二兆円の建設国債を出す、過去の発言に対して
何の釈明も謝罪もなく、出しますと。こういうことだから政治家
の発言というのが本当に紙より軽くなる。 大蔵大臣、よくこれ
は考えていただかないと、いつも評論家で、私、大蔵大臣に実は
期待していたのですよ。本当に日本の財政を立て直す、森総理や
亀井静香氏にきちんと進言して、こんなんじゃ日本はクラッシ
ュするよと、それをきちんと進言できるのは宮澤大蔵大臣しかい
ない。加藤紘一さんも、宮澤大蔵大臣を大蔵大臣に推薦したのは、
そういう意図もあったと思いますよ。クラッシュ目前なんですよ。
これは本当に大蔵大臣、考えていただきたい。
そして、今回もう一つ、補正の税収が、今出ている補正予算、
一兆二千三百六十億円の自然増収なんです。一兆二千三百六十億
円の自然増収があったのは、これは平成元年以降初めてなんです
よ、こんな大きい自然増収は。これは、多少は景気回復している
んじゃないですか。そう認識するのであれば、補正予算は要らな
いんじゃないですか、宮澤大蔵大臣が年初あるいは九月以降言わ
れているように。これほどの自然増があるのですよ、何で補正予
算を組むのですか。
◇宮澤国務大臣 財源にいたしました一兆二千四百億円のうち、法
人税が八千七百億円、残りが源泉と申告所得税のプラスマイナス
のプラス分ということでございます。これは多少冒険がございま
して、年度が始まりましてまだわずかでございますから、これだ
けの増収を見込むことにつきまして、この補正にかかりましたの
はもう二月ほど前でございますから、早い段階で、しかし、おっ
しゃいますように、私は、このぐらいな見積もり増はできるんじ
ゃないかということで、租税当局とも相談をしていたしたもので
あります。
それは、少しでも確かに日本の経済、殊に法人関係の体力が回
復しているということで、その点はおっしゃるとおりだと思いま
すが、それだけ見ておっても、どうも現実に、源泉所得税じゃな
くて申告所得税の方は実はマイナスになっている。どうも個人の
消費というものが、それにもかかわらず、企業環境はよろしいの
ですが、景気を押し上げてこないわけです、さっき申しましたよ
うに。
それでございますから、やはりここはこの程度の補正はしてお
かないといけないなという判断をいたしたわけで、全体に今度の
補正は要らなかったろうというお立場であれば、企業活動はそう
でございますけれども、いかにも雇用、消費というのは弱い。そ
れが、場合によってはやや構造変化的な、次の世紀に向かっての
我が国の雇用とか社会のあり方についての変化に関係があるかも
しれない、ここは少し慎重に見ておいた方がいいというような気
持ちもございまして、私としては、やはりここは小さな補正はし
ておいた方がいいという考えでございます。
○長妻委員 個人消費が伸びないというのは、国民が政府を信用し
ていないのですよ。この財政赤字をどうするんだ、何にもやらな
いじゃないかと、自衛するために貯金が外に出ないのですよ。そ
して株価、きょうの午前の終わり値を見ると下がっていますね。
加藤ショックですよ。これは本当に、日本は構造改革ができない、
ああだめだと下がっちゃっているのです。
そして、この補正予算で過去初めてのことがあるのですよ。こ
れは、国債の発行残高、ことしだけ限って八十八兆円で、戦後最
大の、過去最大の国債発行残高なんですよ。新規発行と借換債含
めて八十八兆円で、ことし過去最高です。大蔵大臣、勲章か何か
知りませんけれども、そういうことを実行したのですよ。そして、
もう一つ過去最高があります。初めて国債や借入金などの国の借
金が五百兆円を超えたのです。ことし初めて五百兆円の大台を超
えました。こういう二つの初めてのことがあるし、戦後二度目の
こともあるのです。今年度の新規国債発行額は三十四兆五千九百
八十億、国の純税収を上回っちゃったのです。これは昨年度に続
いて戦後二度目です。こういう新記録をどんどん更新していく。
私は、宮澤大蔵大臣こそがそういうことをストップする最後の
とりでだと期待していたのですよ。きょう厳しい質問をするのは、
期待が逆に裏切られたからこういう質問をしているのですよ。そ
して、本当に大蔵大臣、先ほど申し上げましたように、五千億円
歳出を削減すれば、今回の二分の一条項を取っ払う、こういうこ
とをしないで済むのですよ。この財特法の今の法案をやらないで
も、五千億円の歳出を削減すれば実現できるのです。まだ間に合
いますから、大蔵大臣、本当に、五千億の歳出を削減しよう、そ
して二分の一条項の撤廃は、そういうことをやめよう、減債制度
を守っていこう、ぜひこれは、今から検討するでもいいですけれ
ども、時間はありませんけれども、ぜひ一言お願いします。
◇宮澤国務大臣 別段、大変それは厳しいおっしゃり方ですけれど
も、私は実際そのように厳しい状況だと思っていますので、その
ことについて何も反論をするつもりはないので、そういう中でど
うやってこの不況を脱出していくかというのが問題なわけでござ
いますから、例えばその方途として、今おっしゃったことは、歳
出の方から五千億円落として、そしてこの五千億円を国債整理基
金に入れろ、そういうのが一つのサジェスチョンであれば、私は、
それは今の日本の経済からして適当でない、残念ですが、やはり
これだけの補正予算というものは要るという判断でございます。
□萩山委員長 長妻君、時間の制限もございますので。
○長妻委員 時間もないので最後の質問でありますけれども、本当
に最後のとりでの宮澤大蔵大臣もだめだ、もう政権交代しかない、
国民の皆さんはきのうの加藤ショックも含めてそう思われると思
います。 最後に、この国債乱発はいつまで続くのか。ある意味
では、景気対策型予算というのは、もう今回の補正で終わりです
ね。来年度の当初予算はもうないか、あるいは来年度の補正はも
うない、来年度の補正からはもう補正なんかやらないで財政再建
でいくんだ、どうですか。
◇宮澤国務大臣 今年度につきましても、従来のような大型な補正
は必要ないと申し上げておりまして、私も用心深いですから、補
正なしと申し上げたことはありません。
来年度について申しますならば、少なくとも今私が目標にして
おりますのは、今年度よりは国債発行額をかなり縮減したい、こ
ういうふうに考えております。一つは、今年度に盛られましたあ
る種の歳出が来年度恐らく必要ないと考えられることと、それか
ら、多少希望的ですが、税収の幾らかの伸びがある、両方から考
えまして、国債の発行は来年度は今年度に比べて少なくとも少な
くなったということを念願にしております。
○長妻委員 宮澤大蔵大臣の奮起をお祈り申し上げまして、質問を
終わります。 (完)
|