時代遅れの政治・行政システムが格差を広げる

民主党衆議院議員 ながつま 昭


私は「日経ビジネス」誌の記者になる前、NECのコンピューターの営業マンでした。当時は富士通との熾烈な競争に明け暮れていました。

富士通は、Nを倒すということで、Z作戦(Nを横にするとZになる)を展開、NECも富士山(富士通)を囲む富士五湖作戦という5つの戦略を展開していました。

 企業の熾烈な競争やスピーディーな改革に比べて、なんと役所や政治は遅いのか。国政を見渡すと、「天下り」、「時代遅れの年金」、「特別会計」、「非効率な国会運営」・・・百年一日の如く、変化を頑なに拒む旧態依然とした姿があります。

 未来学者のアルビン・トフラー氏の最新著作「富の未来」では、変革の速度を高速道路を走る車に例えています。

時速 100キロ 企業

    90キロ NPO、NGOなどの市民団体

    60キロ アメリカの家族形態

    30キロ 労働組合

    25キロ 政府・役所

    10キロ 公立教育

    5キロ 国際機関

     3キロ 政治システム

     1キロ 法律

 企業や市民団体の柔軟性や変革のスピードに比べ、時速3キロの政治システム、時速1キロの法律は、完全に時代に取り残されています。日本が生き残り、国民の皆様がより豊かになるために、時代に合致した変革が欠かせません。

 日本は、これほどまで格差が拡大しているにも拘らず、政府は、「格差拡大は統計からは確認できない」という公式見解を今も変えていません。

 国民の皆様のライフスタイルの変化についていけない、時代遅れの政治・行政システムが、年金難民とでもいうべき、老後も生活できない多くの方々を生み出しているのです。

ヒルズ族に代表されるようなニューセレブが誕生している一方、生活保護世帯数や自殺者数は記録を更新しています。生活保護世帯の収入以下で暮らしている方々が400万世帯あり、全世帯の1割に達するという報道もあります。老齢者控除をはじめ、各種控除が廃止・縮小したことによって実質増税が重く伸(の)し掛かっているのです。

 

 一億中流はもはや崩れました。時代にあったセーフティーネット、年金・医療・介護・子育てをはじめとする社会保障の仕組みの導入が一刻も早く急がれます。この期に及んで、天下りや特別会計で公金を浪費している場合ではありません。

 日本人が潰れる前に、政権交代を成し遂げ時代に合致した社会保障改革を実現します。


 

《ながつま昭のサポーター通信VOL.13 【ながつま昭ミニコラム】より転載》