岡戸論文「靖国神社について」を読んで

神奈川県川崎市 塚本 昭二郎


以前代表を務めていた頃、毎月会報の巻頭文に健筆を振るわれていた、岡戸さんの久しぶりの論文、懐かしさと共に拝見しました。

今、近隣諸国との重要な外交問題となり、国論を二分している、靖国問題について岡戸さんは、幅広く資料を検討・整理して、体系的にまとめ、氏の結論を示されました。

私は1927年生まれ、79歳の戦中派の体験から、又、人間とは、の在り様から、全面的に岡戸論に賛意を表します。

天皇・首相は、靖国神社参拝すべきと、東京裁判を否定し、大東亜戦争は侵略に非らず、自存・自衛の戦いと主張する勢力との、理論武装として、拝借させて頂きます。

敗戦直後、国は過去の歴史に例の無い、皇族からの宮様内閣なる政府を誕生させ、「一億総懺悔」のワンフレーズポリティクスで、戦争と、その責任を拡散風化させてしまったのです。即ち、岡戸さんの日本人の手で、過去の戦争を精算しなかった事に、現在の混乱の原因があるとの結論に、全く賛成する者です。

日本人として、辛く苦しくとも、事実を直視し、なぜ自国民300万超、海外諸国民2000万超の人が死に、殺されなければならなかったか。その原因と結果の総括がなければ、再び過ちをおこします。「過去を忘れなければ、未来の主人になれる。過去の過ちを忘れる者は、未来の奴隷になる」のことわざに、多くの学ぶべき示唆があると思います。

又、人間として、岡戸さんは終わりに、息子を飛行兵として送り出した母親、現場の飛行隊長が、上層部の頻発される特攻隊出撃命令に、人間の良心の声として、反発する上奏文を差し出した下りに、悲惨で残酷な戦争の実態の一部分が垣間みられます。

皇国史観一色に、徹底した思想教育を受けた、戦中派の私にとり、忘れられない靖国神社に纏わる歌があり、当時国民歌謡として、国家が大々的に宣伝し、流行させた、それを一番だけ二つ紹介致します。

九段の母

空をつくよな大鳥居

こんな立派なおやしろに 

神と祀られもったいなさよ

母は泣けますうれしさに

皇国の妻

ご無事のおかえり待ちますと 

言えばあなたは雄々しくも 

こんど会う日は来年四月 

靖国神社の花の下

「国民は自分にあった政府より持ち得ない」の言葉がありますが、市民一人一人が自立した、民度の高い見識をもって、自分で考え、自分の言葉で、自分の意見を臆することなく発言致しましょう。