現憲法の8章を改定せずに道州制が実現出来るか?
憲法改正を議論する人は9条改正は取り上げるが、8章地方自治には触れない。道州制を支持する人ですら、現憲法の範囲で大半は実現可能という。必要と言えば、ますます道州制の実現が遠ざかることを、危惧しての意見であろうが。
憲法を改定せずに自治法を改正すれば、何とか道州制が実現出来るというのであれば、実現した道州制は、中央主権に戻すことも容易である。
現憲法制定の経過を調べると、マッカーサーは、天皇の象徴化と非武装化に強権を使ったが、地方自治については何も主張していない。
「第92条 ・・・、地方自治の本旨に基いて、法律でこれを定める。」
とあり、マッカーサーは憲法では何も規定せず内務官僚に任せ、地方自治法が出来たのである。
徳川時代に海外と隔離された有利な条件下で高度な中央集権が作られ、明治、大正、昭和と維持された。特に、明治までは、それなりの成果を挙げた。一方、大正、昭和の敗戦までの対応については、批判が多い。しかし、仮に、現在の我々が、祖父母、父母にかわる、一、二世代上のこの歴史の中の当事者であったら、一体何が出来たか?
一方、現憲法第8章は内務官僚の言うことを聞けと言っている。
1994年4月、消費税が3%から5%に引き上げられた時、元内務官僚、当時、任期16年目の東京都知事鈴木俊一が、「2%中1%を地方消費税にさせた」と得意げに言った。
私の苦々しい記憶である。
現憲法の最も古いのは8章である。戦前の内務官僚達が活きている。