道州制について(3)
道州制推進連盟会長 大谷 和夫
3.道州制推進連盟
3.1 道州制推進連盟設立の経過
@平成5年(1993年)、経営コンサルタントの大前研一氏が旗揚げした「平成維新の会」に参加し、
A平成9年(1997年)には現在の連盟会長が地区代表となり、平成維新の会の本部運営会議にも参加するようになった。 当時はどうしたら「良い国」が実現できるか、が話題の焦点であった。
Bその後都合により「平成維新の会」は解散になったが、東京都を中心に、残留会員で「平成維新を実現する都民の会」を作り、平成11年(1999年)1月「生活者主権の会」と改名して現在に至っている。
C平成12年(2000年)秋より、直接どの政党とも特別の関係をもたず、中立の立場でどうしたら「良い国」が実現できるか、毎月の例会の討議を集中してきた結果、地方主権の道州制の実現こそ、今後の日本再生の切り札であるとの信念を形成するに至り、問題を絞って検討を重ね、ホームページ立ち上げの準備を行った。
Dその結果平成15年(2003年)3月、ボランティアで道州制推進連盟を立ち上げ、仲間内の議論から、ホームページを立ち上げて、外部に発信して世論形成の行動に移った。
3.2 現在の活動状況
@道州制推進連盟立ち上げと同時に、ホームページ http://www.dohshusei.org を立ち上げ、全国的に無料で会員を募集している。一部海外からも応募がある。
Aホームページには、「道州制とは?」「今なぜ道州制か?」「目指す道州制について」「道州制日本地図」「道州制の効果」「若い人たちへ」「メッセージ」「道州制推進連盟」「参考資料」「意見交換(会議室/談話室)」などの頁がある。
B現在も毎月第2水曜日午後6時半から、JR及び東急線
Cその他、各種アンケートを実施したり、各方面(例えば自民党中川政調会長、佐田道州制担当大臣)へ意見を提出したり、各種会合で依頼されて道州制推進連盟について講演している。
3.3 今後の活動戦略
@全国的な道州制推進市民団体として、会員数の増加と共に、目下全国組織の整備を図りつつある。すなわち地方居住会員を中心として地域別に活動する組織をつくり、道州制推進連盟として全国的協働体制を構築する。
A基本的には全国的に更に一層の会員の増加を図り、道州制実現に必要な世論形成の一翼を担う。
B道州制実現にとって克服すべき問題点は、一つは中央の権限縮小に対する抵抗であり、も一つは地方の弱気であり、これらを克服していかなくてはならない。
C具体的には、一般市民団体である道州制推進連盟を軸に、全国知事会、全国市町村会、各地のマスコミ、各地の経済団体、等と連携してある時期から地方を主体とする国民運動として「道州制国民会議」を形成し、基本法作成委員会、国会議員対策委員会と広報部を設け、中央集権の解体、地方主権の実現、道州制の導入による日本の再活性化を強力に国に迫ってゆく計画である。
4.道州制の定義と必要性
4.1 道州制とは何か?
既に「2.2道州制の種類」で3種類の道州制があることを示したが、ここでは、その中の「地方自治実現型道州制」について詳しく説明を加える。
@ まず地方自治とは何か?
☆地方自治とは、地方の運営について、国からの関与によらず、地方の住民の意志に基づき行うことをいう。
*地域における住民生活に直接関係を持つ公共、共同の事柄について、住民自身の意志、責任及び負担によってこれを処理することであり、文字通り「地方の事を自ら治める」ことを意味する。
A 一言で道州制とは何のことか?
☆全国47の都道府県を廃止して、地域ブロック毎に全国を12前後の「道」又は「州」に再編成する事である。
*ここで注意すべきは、まず現在の市町村合併を更に進めて、効率的且つ経営体力のある基礎自治体とした上で、その広域連合自治体として道州を設けることである。例えば北海道はそのまま北海道、東北地方の広域連合自治体を東北州と呼ぶ。
B 道州制の狙いは何か?
☆将来「創造的で生き生きとした安心出来る社会」を実現することが究極の目的である。
*現在、少子高齢化、人口減少が始まり、住民の価値観も多様化し、社会・経済のグローバル化の進展に巻き込まれ、国も地方も深刻な財政危機に直面し、活力の低下、格差の拡大、将来に対する不安の増加に脅かされている。これを地方自治・構造改革の実現で福祉を充実し、増税に頼らず活力の上昇をはかり、わが国の再生を図るのが道州制の根本的な狙いである。
C 道州制と地方自治の関係はどうなるか?
☆現在は中央集権制で、地方公共団体は3割自治と言われているが、道州制では地方分権を徹底して10割自治の実現を目指している。
*道州制では市町村を更に合併して行政の経営体力をつけ、住民の身近な所で基礎自治体として、福祉関連、消防、保健衛生、教育文化、まち作り、公害対策など、住民と一体となって10割自治を目指し、更に広域連合自治体としての道州が新しい地域産業を産み出したり、世界の先進国の一員として当たり前の地方自治を実現する。
D 道州制で国の形はどう変わるか?
☆国は、民間でできることは民間へ、地方でやるべき事は権限と税源を移譲して地方で責任をもって行うようにし、国は国としてやるべき事のみ行うようにする。
*住民に対する直接的行政は基礎自治体で行い、インフラ整備や産業振興などの広域行政は道州が担当し、国は外交、安全保障、通貨、国民基盤サービス、基本ルールの設定・監視など国としてどうしても必要なことだけ行う。尚道州の区分けは種々の条件を勘案して道州制推進基本法で最終的に確定する。
E 道州制と一般国民(地域住民)とどういう関係があるか?
☆自分たちの生活を守るためには、道州制による地方の自治・自立の実現が最善である。
*時代遅れの中央集権制にぶら下がっていると、とんでもない悲劇を招くことは間違いなく、各地域が国に頼らず独自の発展策を講じることが今後の賢明な生き方であろう。
4.2 今なぜ道州制が必要か?
@ 地方分権を必要とする世の中の変化の大きな流れは何であろうか?
1)少子高齢化、人口減少社会の到来
2)住民の価値観の多様化、自立意識・自治意識の高まり
3)社会・経済活動のグローバル化の進展と格差の拡大
4)国および地方公共団体の財政危機
A 少子高齢化・人口減少社会の到来に、どう対応したらよいであろうか?
☆よそで簡単に真似のできない、付加価値の高い産業を、創り出すか呼び込んで、生産性をあげていかないと将来食えなくなる。多様化する地域の姿に対応できるよう分権化がどうしても必要になる。
B 住民の価値観の多様化や自立意識・自治意識が高まると、どうすればよいか?
☆住民の自立意識や自治意識は尊重され、住民の意欲や活力が最大限に発揮されるよう、地方分権化・地方自治が促進される。
C 社会・経済活動のグローバル化が進展し、地域格差の拡大にどう対処すべきか?
☆地域毎に、世界との結び付きや競争の強まりから生ずる諸問題に適確に対応できることが絶対的に必要となり、その為には道州制のような地域の自立が必要になる。
D 国と地方の財政危機にはどう対処したらよいか?
☆財政危機とは金欠病・借金漬けであり、経営不在である。このためには歳入の増加と歳出の削減が必要である。歳入の増加は安易に増税に頼るべきではなく、積極的な経済成長による歳入の増加をはかり、歳出削減には、民間でできることは民間にまかせ、国と地方の業務の重複を無くし、民間並の徹底的合理化により、最も効率的・効果的なシステムを構築して財政再建をはかる必要がある。住民の直接的監視も重要である。
E 今すぐ道州制にしないとどんな危険が予想されるであろうか?
☆働き手が減った上、付加価値が高まらないと仕事がどんどん海外に逃げてしまい、倒産、失業が増えて所得や購買力が低下し、資金的に食糧やエネルギー資源の輸入が困難になり、国や地方も財政破綻し、年金も健康保険や介護保険も機能しなくなり、最終的には治安が悪化して一般住民も生命の危険にさらされることを覚悟しておかなければならない。
F そんな危険な状態をなぜ放置しておくのか?
☆無責任な中央官僚が実権を握り、無駄の多い、先進国には例を見ない中央集権制を続け、これに危機感のない多くの政治家や国民がぶら下がっており、他方地方の側も地方自治の意欲に欠けた居眠り状態の地域が存在し、必ずしも足並みが揃っていない。
G 地方自治は弱小地域の切り捨てになりはしないか?
☆人口の過疎化した地方では自立は困難という説があるが、これは日本人の伝統的通弊である「甘えの構造」によるものと思われる。世界を見渡せば、人口500万人以下の小国で、周囲の強国からの、脅威はあっても何らの援助もなくて、立派に独立しているばかりでなく、1人当たりの国民総生産で日本以上の国が沢山あり、自己責任による自立が地方の切り捨てになることは絶対にないと断言できる。
H 道州制に向かうきっかけは何だろうか?
☆従来は地方六団体や経済界が道州制を目指していたが、安倍内閣発足と共に、道州制担当相もでき、3年以内に道州制ビジョンが策定されることになった。あとは一般国民がどこまで道州制の必要性を理解するかにかかっていると思われる。