映画「不都合な真実」鑑賞のお勧め

東京都渋谷区 岡部 俊雄


 いい映画を鑑賞しました。妻に誘われて観た「不都合な真実」という映画です。この映画のことは生活者通信3月号の巻頭言で小俣代表も少し触れておられます。

 この映画は地球温暖化に警告を発している米国のゴア元副大統領が米国内や、世界各地で行っている講演、啓蒙活動を中心に描いたドキュメンタリーで、先日その部門でアカデミー賞を受賞しました。

 地球温暖化問題を解決しなければならないことは今では常識になっていますが、ゴア氏がこれほどまでにこの問題に熱心であること、また、彼が学生時代から今日まで一貫してこの問題を研究し、主張し続けてこられていることに敬服しました。

 2000年の米国大統領選挙でブッシュ現大統領に僅差で敗れたゴア氏がもし勝利していれば、米国は勿論、世界が、地球が大きく変化する方向に動き出したのではないかと想像されます。

 米国はまだ京都議定書を批准していませんが、ゴア氏の活動のおかげで米国の多くの都市が独自に議定書が求めるレベル以下に地球温暖化物質の排出を減らす政策を実行中だそうです。ところが最近、米国保守層からゴア氏自身のエネルギー消費量が多いとの批判が出ているようですが、同氏の活動が盛り上がってくることを恐れ、何とか冷水を浴びせようと考え出した苦肉の宣伝だと思います。

 地球温暖化現象について、現在は地質年代的な氷河期の小春日和だという説があります。その説が間違っているとは思いませんし、そのトレンドの中に入っていると思います。しかし、その変化は過去の地質年代的変化に比べてあまりにも急激です。その上、人口増加もあまりにも急激です。

 この世に生を受けた人々はどの地域に住んでいようと、できるだけ豊かな生活を求めるのは当然です。50年後には90億人を超える(現在65億人)と予想される人々が、日本や欧米のような豊かさを求めることを誰も拒むことはできません。

 はたしてその時地球はどうなるのでしょうか。

 豊かさに安住しているうちに、いつの間にか地球環境の破壊は進行しています。“茹で蛙”になる前に思い切った新しい視点での対応を急がねばなりません。

 この映画は地球環境を保全するのはそれを実行する「倫理」の問題であると主張しています。

 皆がほんの僅かな生活面での不便を我慢すれば、我々の子孫に美しい地球を残すことができます。その一歩は今踏み出しても遅くありません。しかし、その一歩を踏み出さなければ、そう遠くない我々の子孫は危機的な地球環境に直面することになるでしょう。

 

 この映画と、この映画の書籍版からの収益は全て「地球温暖化防止に立ち向かう果敢な行動を支持しよう!」と米国の世論を動かそうとしている超党派・非営利の取り組みに寄付しているそうです。

 この映画をまだ観ておられない方には是非ご覧になることをお勧めします。