集団的自衛権と平和について

神奈川県川崎市 塚本 昭二郎


会報6月号で、平岡・佐藤の両氏が、掲題の関連で投稿されておりました。投稿を拝見し私見を申し述べたいと思います。

先ず集団的自衛権を容認することは、憲法九条改定に繋がることだと思います。自衛隊が戦後初めて、海外派兵でイラクに派遣され、一発の銃弾も発射せず、全員の隊員が一人の死傷者もなく、無事帰国できたのは、国の交戦権、武力の行使は認めない、憲法九条があったからだと考えます。

米国ブッシュ政権は、時折り政府高官が、日本は憲法を改定して米軍と共に戦える国をと、発言しております。今年3月、米国シーフアー駐日大使は、日本の防衛予算は、米国の軍事予算と比較して低すぎると、防衛予算の増額を要求されました。米国の軍事費は年間、なんと約52兆円、英・仏・ロ・独・中・日6ヶ国軍事予算合計より、20兆円も多い全世界軍事費の47%を占める巨額なものです。史上最大規模、最強の軍隊を持つ超大国で、佐藤さん意見の、この軍事予算を歓迎し、喜ぶのはネオコン、産軍複合体の、死の商人です。結果として、財政悪化の赤字が累積し、かって世界最大の債権国が、今、最大の債務国に転落しているのが現状です。

その米国ブッシュ政権が去年秋、中間選挙で、イラク戦争反対の、国民多数の世論で、上下両院共に惨敗しました。いまやブッシュ政権はレームダック化し、残された任期は来年11月までです。この様な米国の政治状況をみると、次の大統領は、ネオコン主流の共和党でなく、リベラル民主党とみて、アメリカが変われば、世界情勢も、日本の政治状況も、変わると考えるのが常識的だと思います。

即ち、死に体ブッシュ政権の要求を重要視することなく、新大統領の誕生を待ち、そして世界情勢をみて、憲法九条改定、集団的自衛権、是非の賛否両論、活発な意見の下で、結論を出すべきと思います。

私自身は、戦争の愚かさ、不条理を体験した戦中派として、平和にまさる宝なしを信条に、憲法九条護持・集団的自衛権は保持すべきでないと、確信致しております。