監査請求について
かながわ市民ファーラム代表 江口 武正
(1)監査請求とは
国、地方を問わず、行政の多くの不正が明るみに出て市民は大きな不満が感じている。
市民には何らかの不正に立ち向かう手段はないのだろうか。
地方公共団体の違法・不法な「公金の支出、財産の取得」「財産の管理」に対しては住民がそれらを正すため「監査請求」が出来ると地方自治法242条に定められている。市民オンブズマンはこの制度を拠りどころに、行政の不正に立ち向かっている。
私は「かわさき市民オンブズマン」に長らく参加し、監査請求の請求人を数多く経験している。また、住民訴訟制度も裁判により地方公共団体の違法・不法な行為を正すことが出来る制度である。住民訴訟制度を行うには監査請求を経ねばならない等の行政を守る仕組みは厳然と存在する。また、司法の判断も行政に肩入れしがちではあるが、これら制度は違法・不法な行政の行為が表面化するだけでも行政に対して歯止めをかける効果は大いにある。市民に与えられたこれ等制度を正しく理解し、活用したいものである。
(2)最近の具体例
最近、具体的に監査請求を実施する案件が生じ、3件ほどの監査請求が集中してありそれぞれに参加している。10月には税金の無駄遣いの典型例であり、私が主導している
実例1 市議政務調査費返還請求
我が会と密接な関係がある「政務調査費改革かながわ見張番」が8月29日に監査請求を実施した。
監査委員4名中2名が市議会議員であり、当事者として不適任であり、個別外部監査を要求した。
新聞各社も報道し、神奈川TVもニュースで放映した。その内容の報告会を9月8日18時よりに(武蔵)溝の口駅傍の高津市民館(ノクティ、丸井が入居の高層ビル)で行う。他市の事例報告等盛りだくさんの内容であり、皆様の参画をお願いする。
神奈川県・横浜市に対しても同様の監査請求を行うべく検討中である。
実例2
「かわさき市民オンブズマン」が8月30日に監査請求を実施した。
ここも土地開発公社が長年保有していた「塩漬け土地」であるが、4階の消防署だけでは「もったいない」と5階以上をホテルとし川崎市が市債を発行し、川崎市の「まちづくり公社」は川崎市より借金をし、不足分は金融機関から借り入れを行い、21階の高層ビル建設すべて実施し、ホテル業者に運営を委託するものである。
財政難のこの時機に殿様商法の川崎市がホテル業に乗り出すことなど信じられないことだ。また地震等の防災時にホテルを避難場所にする計画との事でもあり、呆れてしまう案件である。監査請求については神奈川TVで報道された。
実例3 「かながわクリーンセンター」への違法な財政援助
「かながわ市民オンブズマン」「かわさき市民オンブズマン」「よこはま市民オンブズマン」が一斉に9月3日に監査請求を実施した。
「かながわクリーンセンター」は神奈川県・
補助金がないと経営が出来ない赤字経営である。金融機関より借金をしているが、県・両市が損失補償をしている等を問題とし監査請求を行った。
(3)王禅寺「塩漬け土地」−究極の税金無駄遣い
「かわさき市民オンブズマン」が10月に監査請求を実施すべく準備中である。100名以上の請求人を求め大掛かりの監査請求を計画している。
川崎側に道がない「森」を約6億円で買い、「塩漬け土地」にし銀行利子等を加え今年、
複雑な経過もあり、問題を正しく理解していただく為に9月14日に説明会を実施する。監査請求を理解し、問題を共有いただくためにも皆様の積極的な参加をお願いする。
(『かながわ市民プレス』2007年9月号・巻頭言より転載)