農業問題に関するTV報道

埼玉県所沢市 河登 一郎


1.当会月例会でも、9月・10月と続けて農業問題について民主党マニフェストを中心に議論しましたが、最近のTV番組(特にNHK)で農業問題(特にコメの問題)が何回も大きく取り上げられています。10/1510/16NHKスペシャルでも2晩にわたって特集を組みましたので、見られた方も多いと思います。

2.2時間にわたる大型特集を簡単に要約することはできませんが、私にとって印象強かった点は、

(1)コシヒカリやアキタコマチが既にアメリカ・中国・台湾・タイなどで量産されており、味もあまり劣らず、弁当用にはむしろ<モチモチ感>があって好評。

(2)コスト的には、酒米を含めて国産の1/5―1/7であり、WTO/FTAのルールに準拠する以上(工業製品はこのルールで恩恵を受けている)、このままではコメの輸入が激増する可能性が高い。

(3)日本の優秀な農家の多くも、「2―3割のコストダウンならどうにか対応するしかないが、5―7割ダウンではお手上げ。日本では特殊例を除いて米作が成立しなくなる。」と云う危機感を持っています。

3.これに対して、自民党は「規模拡大と企業化」;「民主党は戸別(直接)所得保障」を中心とした政策論争(*)になっていることは、2回の勉強会で議論しましたが、その程度の対策では「焼け石に水」かもしれない、と云う印象の強い番組でした。

(*)単なる補償方法の違いの問題ではなく、規模拡大と企業化には限界あり、自作農と農地面積を増やすことに意味がある点に関しては、岡部さんの論文で明快に指摘されています。

4.「識者」のコメントとしては、以下の両論が公平に紹介されていました。

(1)公正な競争を通じた合理的な価格形成の結果による産業の栄枯盛衰(新規進出・撤退)は、どの産業にも共通。それで日本全体の産業構造が活性化する。農業だけが例外たりえない。

(2)農業・特に米作は、産業政策・合理化の視点だけでなく、環境保護・自然との共生・健康(食の安全)・食糧供給の安全保障(輸入依存率の低減)、更には日本人の生き様など多様な価値観をふまえた上で評価すべき問題である。

5.一方、農業サイドの努力もいろいろ紹介されており、

(1)IT手法(工程管理や顧客管理・会計処理など)を駆使した産業としての合理化及び企業化(NPO法人を含む)によるコストダウン、

(2)比較的安価で良質な労働力としての「元気な60才代」や「生き甲斐を求めている若者」の活性化、

(3)営業戦略として、「地域おこし/地域ぐるみ」運動との連動による相乗効果、

   など、希望の持てる動きも日本各地で進んでいるようです。

6.当会としては勉強会だけで終わらせず、建設的・具体的な提言を民主党(及び自民党にも)に対してできれば良いと思います。