先月東京地裁で当会会員清郷伸人さんが国を相
手に起こしていた訴訟で、原告の訴えを全面的に
認め混合診療でも本来保険診療の対象となるもの
については、健康保険法に基づく療養の給付を受
けることができる権利を有することを確認すると
し、原告の勝訴判決が下された。
この訴訟の経緯や清郷さんの主張については本
誌の2007年5月号、7月号、8月号、10月
号ならびに今月号の清郷さんの原稿を参照してく
ださい。手元にない方は当会のホームページから
過去の会報を閲覧できますのでぜひお読みくださ
い。→ http://www.seikatsusha.org/
混合診療の是非の判断を常に先送りし、健康保
険法で混合診療の禁止が盛られていないのに、差
額ベッドや高額な自由診療・保険外診療(歯のイン
プラント治療など) を特定療養費として混合診療
を認めることを行政の判断だけで一方的に許可さ
れている現状は異様であります。形式的には中医
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協(中央社会保健医療協議会)の審議を経ています
が、ご存知のようにこのような協議会はほとんど
行政の方針の追認に過ぎません。
今回の判決でも「法解釈の問題と、混合診療全体
のあり方の問題とは次元の異なる問題」とも述べ、
混合診療自体の是非についての言及は避けていま
す。小泉改革では混合診療の解禁を目指したが、
評価療養という制度の創設で妥協してしまった。
厚労相や日本医師会が混合診療反対に掲げてい
る最大の理由は金持ち優遇制度になるとあります
が、果たしてそうだろうか。逆に高所得者は現在
の制度でも保険外診療を受けられる余裕がありま
すが、混合治療を認めることにより中低所得者に
も保険外診療を受けられる経済的な余裕が生まれ
るのではないだろうか。
今回の判決を機に今後の医療制度について至急
再検討していただきたいと思います。
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