生活者主権の会生活者通信2008年02月号/01頁




生活者通信【2月号】

第150号・2008年02月01日発行   ホームページ・アドレス http://www.seikatsusha.org/
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生活者が主役となる社会

生活者主権の会代表 小俣一郎

「国民に新たな活力を与え、生活の質を高めるた
めに、これまでの生産者・供給者の立場から作ら
れた法律、制度、さらには行政や政治を国民本位
のものに改めなければなりません。・・・
 今年を『生活者や消費者が主役となる社会』へ
向けたスタートの年と位置付け、あらゆる制度を
見直していきます。・・・」
 今国会の福田首相の施政方針演説の一節である。
 福田さんは施政方針演説で5つの基本方針を掲
げ、その第1を「国民本位の行財政への転換」と
し、このような演説を行った。
 この言葉自体は、「当会は次の総選挙で福田さ
んを推薦しなければいけないね」といった冗談が
出るほど『生活者主権』を掲げる当会の年来の主
張と重なるものである。
 福田さんは、年頭所感や年頭記者会見でも同様
の発言をしており、その方向に進めようとはして
ますよ、という表明ではあろう。
 しかし、それが福田さんの強い意思から出たも
のとは思えない。もし、心からそのように思って
いたのであれば、昨年の12月の年金発言や薬害C
型肝炎に対する対応はまったく違っていたものに
なっていたはずである。支持率の急落に危機感を
抱き、回りからもせき立てられて、慌てて方向転
換したとしか思えない。
 施政方針演説をあざ笑うかのようにその後「ね
んきん特別便」の不備が明らかになったが、もし
「生活者が主役」と常々思っていたのであれば、 
あのような不親切なものを送らせるはずがない。
ましてや「助言禁止マニュアル」なるものがまか
り通るわけがない。トップにその意識が弱いから、
部下もそれを軽視するのである。
 この「ねんきん特別便」は新たな経費をかけて
再発送するのだそうだ。しかし最初からしっかり
とやっていればそのようなムダな費用は使わなく
て済んだわけで、少しでも工夫して支出を切り詰
めようとする生活者の感覚がないからこのような
ことになるのである。
 そして消費者重視の目玉として、新たに消費者
行政を統一的・一元的に推進するための権限を持
たせる強い組織を発足させ、専任の大臣を置くの
だそうだ。それだけを聞けばいいことかと錯覚す
るが、他の省庁が自らの権益を手放すのであろう
か。それが本当に力を発揮するのであろうか。
 当会は、「平成維新の会」の頃より「道州制」
の実現を目指しており、今期の活動方針にも2番
目に「道州制の実現を推進する」を掲げているが、
真に生活者が主役となるためには、道州制のよう
な大改革を行い、国と地方との役割分担を明確に
し、さらに必要な権限や財源をより生活者に近い
ところに移す必要がある。それを行わないままの
新組織は、単なる中央省庁の「焼け太り」に終わ
るのではないだろうか。
 新年を迎え、にわかに「生活者が主役」と打ち
上げた福田首相。さてさて、具体的にはどのよう
な形でそれを見せてくれるのであろうか。


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