トヨタ自動車は1月に「2010年までに家庭充電
ハイブリッド車を発売する」と発表した。いまや
家庭で自動車を充電する時代になろうとしている。
参議院の与党過半数割れにより国会の状況が変
わり、現在、道路特定財源のあり方を中心に、来
年度の予算についてこれまでになく本質的な議論
が交わされている。
この道路特定財源ができたのは1953年。当時は
道路をつくることの優先順位は高いものであった
だろう。しかし、いま高いとは思えない。もちろ
ん、現在でも不可欠な計画や補修等はあるだろう
が、いまのやり方が最善だろうか。
トヨタの計画は、当面は運輸業界や官公庁向け
だという。一般の家庭に普及するのは少し先にな
るだろうが、このような動きがもう間近まで来て
いるのである。今後より重要なのは道路ではなく
「電気」なのではないか。
原油高騰で電力料金も値上がりしている。エネ
ルギー資源のほとんどを海外から輸入している我
が国は当然、自前でまかなえる自然エネルギーに
よる発電により力を入れなければならない。しか
し、政府の動きは極めて鈍い。
かつては世界のトップを走っていた日本の太陽
光発電はドイツに抜かれてしまった。好調だった
一般住宅への導入は公的な補助制度がなくなった
2005年を境に伸びが止まっている。
家庭で充電した自動車が走る時代が目の前に来
ているのである。まず、住宅用太陽光発電の支援
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に再びアクセルを踏むべきである。
もちろん太陽光以外への支援も必要だし、さら
には、燃料電池等の新しい技術にも力を入れなけ
ればならない。
蓄電技術が向上すれば、家庭でも大容量の電気
を貯めて置くことができるようになるだろうし、
蓄電技術の向上、設備の低価格化は、太陽光と同
じく安定性を欠く風力発電にとっても、他の発電
技術にとっても大きなメリットになる。
やらなければならないことは山ほどある。
まずは、既に商品化されているものを積極的に
支援することによって購入価格を下げ、下がった
ことで新たな消費が生まれ、量産化によってまた
価格が下がる。そのような良い循環をつくること
が必要である。
道路特定財源のあり方が問われているいまこそ、
その方向に大きく踏み出すチャンスである。道路
に使う財源の一部をそこに回して、起爆剤とすべ
きである。
道路特定財源の一部を環境税として財源を確保
し、電気関連はもちろん、他の環境にやさしい商
品にも広くてこ入れするのである。エコカー自体
もまさしくその対象商品となるだろう。
「環境にやさしく、しかも経済的」。そのような
新しい商品がどんどんと出てくれば日本の眠れる
個人貯蓄も動き出すのではないだろうか。
技術は日々進歩する。道路建設ももちろん必要
だが、より未来を見据えた政策がより必要である。
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