生活者主権の会生活者通信2008年03月号/01頁




生活者通信【3月号】

第151号・2008年03月01日発行   ホームページ・アドレス http://www.seikatsusha.org/
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道路財源を「電気」に回せ!

生活者主権の会 小俣一郎

 トヨタ自動車は1月に「2010年までに家庭充電
ハイブリッド車を発売する」と発表した。いまや
家庭で自動車を充電する時代になろうとしている。

 参議院の与党過半数割れにより国会の状況が変
わり、現在、道路特定財源のあり方を中心に、来
年度の予算についてこれまでになく本質的な議論
が交わされている。
 この道路特定財源ができたのは1953年。当時は
道路をつくることの優先順位は高いものであった
だろう。しかし、いま高いとは思えない。もちろ
ん、現在でも不可欠な計画や補修等はあるだろう
が、いまのやり方が最善だろうか。

 トヨタの計画は、当面は運輸業界や官公庁向け
だという。一般の家庭に普及するのは少し先にな
るだろうが、このような動きがもう間近まで来て
いるのである。今後より重要なのは道路ではなく
「電気」なのではないか。
 原油高騰で電力料金も値上がりしている。エネ
ルギー資源のほとんどを海外から輸入している我
が国は当然、自前でまかなえる自然エネルギーに
よる発電により力を入れなければならない。しか
し、政府の動きは極めて鈍い。
 かつては世界のトップを走っていた日本の太陽
光発電はドイツに抜かれてしまった。好調だった
一般住宅への導入は公的な補助制度がなくなった
2005年を境に伸びが止まっている。
 家庭で充電した自動車が走る時代が目の前に来
ているのである。まず、住宅用太陽光発電の支援
に再びアクセルを踏むべきである。
 もちろん太陽光以外への支援も必要だし、さら
には、燃料電池等の新しい技術にも力を入れなけ
ればならない。
 蓄電技術が向上すれば、家庭でも大容量の電気
を貯めて置くことができるようになるだろうし、
蓄電技術の向上、設備の低価格化は、太陽光と同
じく安定性を欠く風力発電にとっても、他の発電
技術にとっても大きなメリットになる。
 やらなければならないことは山ほどある。
 まずは、既に商品化されているものを積極的に
支援することによって購入価格を下げ、下がった
ことで新たな消費が生まれ、量産化によってまた
価格が下がる。そのような良い循環をつくること
が必要である。

 道路特定財源のあり方が問われているいまこそ、
その方向に大きく踏み出すチャンスである。道路
に使う財源の一部をそこに回して、起爆剤とすべ
きである。
 道路特定財源の一部を環境税として財源を確保
し、電気関連はもちろん、他の環境にやさしい商
品にも広くてこ入れするのである。エコカー自体
もまさしくその対象商品となるだろう。

「環境にやさしく、しかも経済的」。そのような
新しい商品がどんどんと出てくれば日本の眠れる
個人貯蓄も動き出すのではないだろうか。
 技術は日々進歩する。道路建設ももちろん必要
だが、より未来を見据えた政策がより必要である。


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