日銀総裁が戦後初めて空席となった。
福田首相は民主党の出しているサインを無視し
た人事提案を繰り返し、結局野党の同意を得られ
なかった。これは、参議院で野党が多数を占めて
いる現実を改めて実感させる出来事であった。
いわゆる「ねじれ国会」になり、その状況下で
の初めての予算審議が、道路特定財源の一般財源
化の是非、暫定税率を継続するか否か、を中心に
展開されているが、衆議院での道路特定財源をめ
ぐる議論の中で、そのいい加減な使われ方が次々
と明らかになり、また道路中期計画自体が古い調
査結果に基づいて作られたことも判明した。
ところが政府・与党は、道路予算を守るために
追加の審議の要求ははねつけ、関連法案と一緒に、
強引に衆議院を通過させてしまった。それが民主
党の態度をより硬化させ、また大義名分を与える
ことにもなった。
いま民主党が強気に出ているのは、各種世論調
査で、民主党の主張する道路特定財源の一般財源
化と暫定税率廃止への支持が高いからであろう。
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この事実は重要である。政府・与党は落ち着い
て、この国民の声に耳を傾ける必要があるのでは
ないのか。まして直近の国政選挙では与党は大敗
しているのである。
暫定税率が切れる年度末まで1週間を切り、今
後どのような展開になるかはわからない。交渉も
繰り返されており、この原稿が皆さんのお手元に
届くときには状況が一変しているかもしれない。
が、間違いなく言えることは、もし先の参議院選
挙で野党が過半数を占めていなければ、道路特定
財源や暫定税率について、いまのように議論が深
まることはなかったということである。
たとえ議論があったとしても、安倍内閣での年
金法案等々の強行採決を思い出せば、両院で主導
権を握った政府・与党のペースであっさりと幕が
閉じられていたことだろう。
先の防衛庁疑惑や薬害C型肝炎問題に続き、今
回の一連の出来事でもこれまでの政策のいい加減
さが明らかにされた。参議院の逆転によって政治
に大きな変化が起こっていることは間違いない。
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