麻生新首相は、内閣の基本方針の2番目に「官僚
を使いこなす」ことを挙げた。しかし、歴代の自民
党政権にできなかったことが麻生内閣になったから
といって急にできるとは思えない。
もちろん、麻生首相が確固たる信念で行うのであ
れば可能性はゼロではないのかもしれない。過去に
も薬害エイズ事件のように大臣が指導力を発揮し、
官僚が隠していた資料をその抵抗を押し切って出さ
せたような例はある。しかし当時は自社さ政権で、
菅厚相は「さきがけ」の所属で自民党ではない。
では、民主党が政権を取ったら官僚を使いこなす
ことができるのか。
民主党は、2003年の初めてのマニフェスト選挙で
「脱官僚政治」を掲げ、以来それを進化させ続けて
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いる。そして今回は政権交代に向け、さらにそのた
めの手順、必要な法律改正等々を念入りに準備して
いると聞く。
官僚幹部の人事権を握り、システムとして官僚を
使いこなす。それをマニフェストに記載することに
より、国民の支持を背景にそれを実行する。
個人の力に頼るのではなく、制度からの見直しは、
頑強な官僚組織を変える可能性を秘めている。
政権政党でなかったゆえ、逆にしがらみがないこ
ともプラスに作用するはずである。
仲間重視で、論功色が強いといわれる麻生新内閣。
その要である河村新官房長官の会見は寄付問題での
陳謝からのスタートとなった。官僚を使いこなそう
とする麻生内閣の力量を暗示するかのようである。
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