日本の政治が前進する、大きな可能性を秘めた
年が明けた。
今年行われる総選挙で民主党への政権交代が実
現すれば、結果として政権が交代した細川内閣の
時とは異なり、それは国民自らの意思による政権
交代であり、そのときに日本の政治は新しいステ
ップに踏み出すことになる。
当会も、「政権交代の実現に貢献する」という
活動方針を掲げて4期目。今年はその総決算の年
でもある。気の引き締まる思いである。
昨年の自民党のゴタゴタは、戦後ほぼ一貫して
政権を担ってきた自民党の賞味期限が切れている
ことを改めて露呈した。麻生内閣の不統一ぶりは
目を覆うものであり、閣僚の発言はバラバラ、総
理の主張もコロコロ変わり、この麻生ガタガタ内
閣がいまの非常事態に対処できるとは思えない。
鳴り物入りで行われた自民党総裁選挙で、自民党
は結果的に一番ふさわしくない人を総裁に選んで
しまったようだ。いや、いまの内閣支持率の凋落
ぶりをみれば、麻生総理は、自民党政権に幕を引
くために選ばれた人なのかもしれない。
ただ、麻生内閣の支持率低下が、民主党の支持
率増加に結びついていないという現実もある。し
かし、自民党政権の制度疲労ともいえる現状は、
自助努力で改善されるレベルではない。参議院で
与野党の勢力が逆転し、結果的に国会の国政調査
権が強化されて以来、それまで数の力で封じ込め
られていた「ほころび」がどんどんと表面化して
いる。政権交代で戦後政治の負の部分の情報をさ
らけ出し、正しく症状を把握しなければ、いまの
状況は真には改善されないであろうし、新しい展
開を期待することもできない。
民主党に政権を任せられるのか。国民にまだそ
の不安があるのも事実だろう。しかし、代われる
のが民主党だけというのも事実である。そして、
政党の寄り集まりたった細川政権と違い、民主党
は自分たちが政権を取るという明確なビジョンを
持って選挙に臨もうとしている。しかも、いまは
その羅針盤となる『マニフェスト』が存在する。
2005年の総選挙の際も政権を取るつもりで準備
し、それに備えたマニフェストを作成した。しか
し、小泉旋風に吹き飛ばされ、政権交代は実現し
なかったが、年月を重ね、より経験を積んだこと
により、民主党のマニフェストはさらに進化して
いる。昨年の10月1日の小沢代表の代表質問に合
わせて示されたものには、ついに工程表も入った。
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マニフェストは、数値目標・期限・財源・実現
手順などを具体的に示す「事後検証可能な公約」
のことであるが、これまでローカルマニフェスト
はともかく、パーティーマニフェストはそこまで
は踏み込んでいなかった。まさしく、これは大き
な前進である。
自民党はいままた郵政民営化問題で揺れている
が、2005年の総選挙では「郵政民営化は改革の本
丸だ」と叫び、国民にそれこそ二者択一を迫り、
党内の反対者を排除してまでその姿勢を示したは
ずではなかったのか。そして大勝したのである。
にもかかわらずいまはこの有様である。これは、
マニフェストでより細部まで詰めていなかったこ
とが、党内でそれが共有されていなかったことが
原因でもある。
自民党も民主党も幅の広い政党である。マニフ
ェストは国民との約束ではあるが、党内が足並み
を揃えて公約を実現するためにもマニフェストは
実に重要なくさびなのである。
いろいろと経験し、民主党の足並みはいま揃っ
ている。が、いまの自民党はバラバラのようにみ
える。一つの政党として総選挙に臨むのであれば、
自民党にも民主党に負けないくらい細部にも踏み
込んだマニフェストを作って欲しいと思うし、そ
れは政権政党の責務でもあろう。
民主党の財源論には不十分だとの声もあるが、
これは正確には、やらせてみなければ分からない、
ということではないか。いま盛んに議論され、政
府の財源としても大手を振って語られている「埋
蔵金」だって、政府は当初その存在に否定的で、
民主党の財源論の不備を攻撃する材料にしていた。
それを手の裏を返したようにいまは活用しようと
しているのである。まだまだ、それこそ政府与党
も知らないような埋蔵金がありそうな気がする。
ともかく、賞味期限の切れた自民党政治には一
度終止符を打つ必要がある。政権を離れた自民党
はおそらくいくつかの政党に分かれるであろうが、
主義主張で分かれたその姿こそが本来の姿であり、
そのときには、日本の政治にまた新たな可能性も
生まれるはずである。
本当の意味での政権交代をしてこなかった日本。
これは、真の選択をしなくて何とかやってこれた
ということでもある。しかし、もはやそのような
状況ではない。
政権交代で新しい扉を開く。それが間違いなく
実現するように微力ながら努力したい。
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