自治体間の魅力競争とNPO育成のために

「ふるさと納税制度」を活用しよう

埼玉県所沢市 河登 一郎

はじめに:

昨年度の地方税制改正で、「ふるさと納税」と云う画期的な税制がスタートしました。

この制度はあまり良く知られていませんが、日本人の寄付に対する姿勢を大きく変え、さらには全国の自治体間の魅力競争を促す可能性を秘めた制度です。活用しましょう。

制度の要点を整理すると、

1.限度内であれば5万円を寄付しても10万円でも自己負担は5千円だけ!

現在地方税は一律10%(=都道府県税4%+市区町村税6%)ですが、本制度を利用すればその1割+所得税の一定割合(合計で最高地方税の2割まで)までは、5千円を超える部分が次年度の確定申告の際全額「税額控除(所得税は還付:地方税は翌年度分が減額)」されると云う画期的な制度です。年間課税所得が300万円の場合、その10%x1割+所得税分で約4万円;500万円では7万円強;700万円の企業中堅幹部なら10万円ぐらい;年収18百万円を超えれば課税所得の20%まで寄付しても自己負担は5千円ですみます。(通常の寄付税制は「所得控除」で、「税額控除」が認められる本件のメリットは段ちがいに大きい)。

2.寄付する対象は全国の自治体と自治体が指定する基金やNPO法人です:

この制度は、「ふるさと納税制度」と呼ばれていますが、寄付する相手はふるさとである必要はなく、全国どの自治体(例えば、地震や洪水の被害にあった村;自分の好きな景勝の地;或いは県や市が指定する環境・福祉団体など)でも良いのです。自治体によっては、転居した地域出身者に対して「ふるさと納税」を呼びかけ、全国民に対して「魅力ある(或いは被災した)わが町」への寄付を募っている自治体がある反面、具体的な手続きも決めていない自治体もあります。

3.期待される効果が大きい割に多くの国民はこの制度を知りません:

欧米諸国に較べて、「社会のために寄付する」習慣が極めて希薄なわが国で、本制度をきっかけにして「寄付する文化」が定着すれば良いと思います。従来は中央官庁が、<公平を期すために>という建前で全国一律の基準に基づいて税金を配分していましたが、結果として実情を無視した金太郎飴のような税金の無駄遣いが横行しています。地域住民が多様なニーズを自分たちで決める仕組みが是非必要だと思います。

4.今年度は12月末までです;魅力的な自治体やNPO法人を見極めて寄付しましょう:

昨年、私自身として「ふるさと」ではありませんが県知事が苦渋の決断で「川辺川ダム」の白紙還元を宣言した熊本県、大戸川ダム中止を発表した滋賀県他及び埼玉県の環境NPO法人(寄付対象として認定された)に寄付手続きをしました。小さい自治体では手続きが未定のところもあります。長い間、「お上からの指令」と「前例に従って大過なく」業務をこなしてきたために、新しい事態に対して「自分の頭で考える」ことは困難なのでしょうか。

年金世代の地方税の1割+αをさらに分割するのですから文字通り「貧者の一灯」ですが、もし、全国の納税者が同じ行動をとれば地方税総額約10兆円の1割強1兆円規模の地方税が、「納税者の希望する」ところで使われることへの願いをこめました。 

(注:金額や手続きの詳細については寄付対象の自治体に問い合せて下さい)        

 以上