中川財務大臣(当時)のG7での「もうろう会見」
の映像が、あっという間に全世界を駆け巡った。
私も翌日インターネットであの醜態を見たが、
なんとも情けないものであった。これを全世界の
人々が見た、見ることができたわけである。
G7という国際舞台での出来事ということもあ
り、海外のメディアも大々的に伝え、それが外圧
ともなって、結局、中川さんは辞任に追い込まれ
た。当然の結果だろう。しかし、報道によると、
当初麻生さんは中川さんを絶対に守るつもりだっ
たとのこと。あの映像を見て、それでもそう考え
たのであろうか。
郵政民営化に関する麻生発言にも驚かされた。
麻生さんの政策に対する感覚が改めて露呈され
ることになったが、自民党内からも多くの反発が
出て、あの小泉さんの造反発言まで飛び出し、党
内の亀裂がより鮮明になった。
私は1月号の巻頭言に「麻生総理は自民党政権
に幕を引くために選ばれた人なのかもしれない」
と書いたが、私の期待?に沿って、麻生さんはそ
の役割を果たすために、ひたすら突き進んでいる
かのようである。
それにしても、麻生さんの発言はなぜあのよう
に二転三転するのであろうか。総理になって5ヶ
月、それは収まるどころかさらにひどくなってき
ているのではないか。
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内閣支持率はついに10%台に落ち込んだ。し
かし、相次ぐ下落にも、少なくとも表面上は動揺
を表わしていない。もし福田さんだったらとうに
3回ぐらいは辞任していたのではないだろうか。
麻生さんの感覚には計り知れないものがある。
しかし、そのような麻生さんに政権に居座られ
るのは国民にとっては不幸である。発言が、政策
がぶれ、党内基盤も弱くなった麻生さんに強力な
指導力を期待することは難しい。いや、支持率の
低い、しかも自らその政権の正当性を否定するか
のような発言をする総理が重要な政策の決定を主
導すること自体が、国民に対する背信行為とさえ
言えるのではないだろうか。
麻生さんは、2月22日の講演でも、「民主党
に任せることができるのか」との発言を繰り返し
ている。が、それを決めるのは麻生さんではなく、
国民である。
麻生さんに「国民は民主党ではなく、自分を信
任してくれる」という自信があるのであれば、即
刻、総選挙で信を問うべきである。
もしそこで与党が再び過半数を維持し、麻生総
理が国民の信任を得たのであれば、それこそ大威
張りで政権の運営もでき、思い切った独自の政策
を進めることができるだろう。信任を背景に参院
の民主党を牽制することもできるし、自民党内も
小泉さんのときのようにまた沈黙するであろう。
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