民主党は「政権交代」の旗を後ろに下げろ

埼玉県さいたま市 山本 達司


【この旗では弱い】

 そもそも「政権交代」は身内の論理である。これを民主党大会や民主党候補の支持者の集まりで言うのであれば士気高揚の意味もあろうが、民主党とは直接的には関係ない一般の国民にとってはどうでも良いことである。一般の国民にとっての関心事は、国が、社会が、極論すれば自分の生活が良くなるかどうかである。良くなるのであれば「政権交代」しても、しなくても、どちらでも良いのである。

 それに「政権交代すれば良くなる」ということを、選挙前に証明することは極めて難しい。いきおい街頭演説では「とにかく政権交代をさせてください。一度民主党にやらせてみてください。」と、お願いトークになってしまうのがオチである。

 また、民主党と自民党の政策の違いを説明しようとしても、重箱の隅をつつくような議論になり、一般の国民はついて行けず、どうでもよくなってしまう。さらにその上、最近の自民党は民主党が以前より謳ってきた政策に近い政策を打ち始め、両者の政策の違いはさらに解りづらくなってきている。極めつけは、小沢党首の政治献金にまつわる疑惑。自民党の古い体質を民主党も持っているとなると、もはや民主党と自民党の違いを論じることに国民は冷めてしまう。「結局あまり違わないんでしょ」と。

【責任政党として振舞う覚悟を】

 ここからは、この国、社会を良くするための、民主党へのお願いである。

 この期に及んでは、民主党も自民党もたいして違いはないと割り切ってもらいたい。その上で、次回の選挙で民主党が政権をとったならば、民主党の独自性を前面に押し出すのではなく、包容力を備えた責任政党として振舞ってもらいたい。自民党であれ、共産党であれ、良い政治家、良い政策を述べる人は少なからずいる。彼らの政策をも取り込むことを厭わず、真にこの国、この社会が良くなるであろうことは、党派を超えて何でもする覚悟でことにあたって欲しい。これは言葉をかえれば、今の自民党が民主党の謳ってきた政策に近い政策を打ち出していることと、同じようなことをして欲しいと言っているのである。

【争点は「ねじれ解消」】

 もはや、自民党中心の政権であれ、民主党中心の政権であれ、たいした違いはないということを国民に印象づけた上で、次の選挙の争点は「ねじれ解消」とするのである。

 世に言う「百年に一度の経済危機」の最中になって、政治のもたつきは百害あって一利なし。これは、誰の目にも明らかなことである。そして、その政治のもたつきの一番の原因が衆議院と参議院のねじれであることも明らかである。なればこそ、この「ねじれ解消」こそが、この国を良くする最低限の最初のステップである事は、もはや疑いの余地のないことである。

【街頭演説ではこう訴える】

 「世に言う百年に一度の経済危機の最中にあって、いつまでも政治がもたついている場合ではありません。一刻も早く衆議院と参議院とのねじれを解消し、必要な政策を矢継ぎ早に通し、そして実行に移さねばなりません。停滞している日本をとにかく前に進めさせねばならないのです。そのためには、参議院で第一党の民主党が衆議院でも第一党にならねばならないのです。

 この国が、この社会が、そしてあなたの生活が、一日でも早く良くなるためには、まず、あなたが民主党に1票を入れることから始まるのです。どこに入れても変わらないから、という、そのような無責任な態度は、もはや許されないほど、ことは急を要しています。

 ○月○日の投票日に全ては始まります。この国を、この社会を、そしてあなたの生活を、より良くするための行動を、間違いなく実行に移してください。全てはあなたの1票から始まるのです。」

【最後に】

 次の選挙で民主党が衆議院第一党になったならば、次のような言葉が流行ることでしょう。

『衆議院を押さえなければ政権は取れない。参議院を押さえなければ政権は維持できない。』