4年前、2005年9月号会報に、「マニフェスト
勝負」というタイトルの巻頭言を書いた。
しかし、2005年の総選挙は「郵政民営化、是か
非か」という小泉劇場により、まるでそれのみが
争点であるかのような選挙になってしまった。
「改革を止めるな」と声を大にして叫び、「郵
政民営化こそ、すべての改革の本丸」と、郵政を
民営化すればあたかもすべての問題が解決するよ
うな幻想を国民に与え、そして、自民党は歴史的
な大勝利を手にした。
しかし、4年後の現在、あのとき抱えていた問
題は、何がどれくらい解決したのだろうか。
マニフェストとは「事後検証可能な公約」のこ
とであり、数値目標・期限・財源・実現手段など
を具体的に明記したものだが、2005年の自民党マ
ニフェストにはそれが実に少ない。
公明党と合わせて、与党は3分の2以上の議席
を獲得したのである。絶対的な権力を手にしたわ
けで、もしマニフェストに数値や期限などがより
具体的に明記されていれば、日本の政治はその方
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向に間違いなく前進していたはずである。
民主党が7月27日にマニフェストを発表した。
そこには、初めて「工程表」が明記され、財源等
が4年前に比べ、より具体的に記載されている。
政権交代に向けて、民主党のマニフェストは間違
いなく進化している。
さて、今回の自民党のマニフェストは7月31日
に出てくるとのこと。この4年間の教訓を生かし、
具体的な数値や期限が明記されたものであって欲
しいと思う。そうでなければ、たとえ政権を維持
できたとしてもその強力な推進力にはなり得ない。
また、党内の一部が別のマニフェストをつくる
といったうわさが流れているが、別のマニフェス
トをつくるのであれば、離党して別の政党をつく
るべきである。一つの政党に二つのマニフェスト
といった「まやかし」は許されない。
4年前はマニフェスト勝負にはならなかった。
結果、それは国民を不幸にした。
今後4年間の国政をどちらのマニフェストに委
ねるのか。いま改めて国民が問われている。
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