マニフェスト=政権公約

東京都小平市 小俣 一郎


 鳩山新内閣では、組閣直後から各大臣がマニフェストで約束したことを実行するために一斉に走り出している。自民党内閣の時代にはなかった光景である。

 それに対して一部コメンテーターが、新政権が始まった段階から、「マニフェストにこだわるべきではない」といった発言を繰り返しているが、私は非常に違和感を覚える。マニフェストは言うまでもなく政権公約である。公約とは公の約束である。これにこだわるなとはいったいどういうことであろうか。自民党政権時代のいい加減な公約に慣れて感覚が麻痺しているのではないだろうか。

 確かにマニフェストにはいろいろな内容が含まれている。民主党に投票をした人の中にも、Aはいいが、Bについては反対だ、ということも個々にはあるだろう。すべての人にとって納得のいくマニフェストなどありえないとも言える。しかし、結果として、大きな枠として国民がそれを選択したわけである。マニフェストに従って政権運営を行うことは当たり前で、逆に、公に約束したことを無視して違うことを行うのであれば、その方がよほど問題である。

 もちろん、政権を運営していく過程で、マニフェストで想定していなかったことが出てきた場合や情勢が変わった場合等に、国民に説明した上で、方向転換することを否定するものではない。しかしそれはマニフェストに従って行い、しかしやむを得ずその後方向転換するのであり、最初から取り組まないということは考えられない。

 民主党は300を超える議席を獲得したのである。その絶大なる支持を背景に、堂々と、思い切った政権運営をして欲しい。