新基本政策には地域主権型道州制を

道州制実現推進委員会委員長 平岡 昭三

自民党は総裁を谷垣禎一氏に代え、新たな一歩を踏み出しました。そこで、自民党の谷垣総裁を始め自民党の幹部宛に道州制を新しい基本政策にするよう下記の提言書を送りましたのでご報告します。

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H.21.10.15.

自民党 幹部 各位                                 

                                         生活者主権の会 道州制実現推進委員会

                                                委員長 平岡昭三

 

前略

(新基本政策には地域主権型道州制を)

(一)私ども「生活者主権の会」は政策提言型市民運動の団体であり、その一環として道州制実現の推進運動を、十数年来続けているものであります。今回は貴党に対し、若干の提言を申し上げたいと存じ上げます。今般貴党におかれましては、歴史的大敗のあとでは有りますが、先ずは新体制の発足を、心よりお祝い申し上げたいと思います。

  さて、貴党の再生を計るには、民主党との対立軸を余程明確に示さねばなりません。新総裁は、家族や地域社会との結びつきを大事にする「絆」の理念を訴えておられますが、それは鳩山民主党の「友愛」とどう違うのでしょうか、又、立党の原点に立ち返り、保守政党として一から出直す、とありますが保守とは何なのか、之も不明確であります。

 私どもから見れば、歴史的大敗から一ヵ月半たっても、敗因の総括も出て来ず、民主党との対立軸も探しあぐね、党再生の道筋が一向に見えず、歯痒い思いであります。恐らく多くの有権者も、同じ思いではないでしょうか。

(二)私どもの考えでは、正しい再生の道は唯一つ、歴史的敗北の最大の原因は何だったのか、と言う総括の中にこそ、再生の道が有ろうかと存じます。然しながら、今回の敗因につき、党の内外もマスコミも、誰も正確に明示できておりません。その結果、当然党内の反省も陳腐なものでありましょう。

 それでは僭越ながら、私どもがそれを摘出し、併せて対策をご提言申し上げたいと存じます。何故敗れたか、それは有権者が、貴党の行動がつくづく嫌になり、今度こそ民主党に鞍替えしようと思った最大のポイントは、中央集権制に依拠する政官業癒着による、鉄の三角形の既得権の上に胡坐をかき続け、それを一向に改めようとしなかった故であります。

 そのため国民はどれだけ苦しめられたことか。既にお気づきと思いますが、その具体事象を挙げれば枚挙にいとまがありません。その一端は次の通リであります。之らは全てその悪政に基づくものでありました。

 1.税金ムダ使い2.補助金バラまき3.ムダな公共投資4.贈収賄・汚職5.談合・ヤミ献金6.族議員横行

7.一千兆円大借金8.金権選挙・天下り9.統制・規制不緩和10.地方分権不進11.空洞化・金融危機

12.倒産・失業・不良債13.長期デフレ・大不況14.福祉削減15.年金パンク16.老後不安

17.貧困・格差18.自殺激増19.保育園不足20.教育荒廃・補助不足21.詰め込み・いじめ・落ちこぼれ

22.不登校・少年犯罪23.地方支配・国民の声無視24.過保護行政25.農政不在26.新産業育成難

27.情報不開示28.少子高齢化対策不在29.環境汚染30.将来ビジョン不在。

之らの具体例は鼠算式に、下に無数に広がっているのであります。以上中央集権制に基づく、多くの悪政に対する反省と改善の行動が無った事が、最大の敗因であります。従いまして、結論を先に申し上げれば、再生の道は唯一つであります。先ずこの敗因を大勇気をもって総括し、その結果を内外に告           白することであります。そしてその対策として、中央集権制を全廃し、二度とこのような悪政を行はない事を誓い、その対極にある完全なる地域主権型道州制を、党の根本の基本政策に掲げ、之を断行することを内外に宣言することであります。この総括が明快かつ深刻であればあるだけ、次の誓約と           宣言の効果は甚大なものとなるでありましょう。この大勇気を持たなければ貴党の再生はあり得ません。

(三)さて、中央集権制を解体し、地域主権を確立するとは、民主党も言っており、対立軸にはならないのではないか、と言う反論も出るでありましょう。然しながら、民主党のやっている事は、官僚の権限を政治家が握ろうとするばかりであります。何れは若干の地方への権限・財源の移譲はあるでありましょうが、その言動は少なくとも来夏の参院選までは、地域主権とは程遠いものであります。民主党も結党の当初は、道州制の標榜を称えていましたが、最近は実力者の小沢幹事長が「道州制は原則として不要であり、基礎自治体と中央政府との二層制でよい。」と言い出してから、党内では道州制の声           はぴたりと止まり、誰も口にチャックをかけて、道州制はタブー視されている状況であります。小沢氏は恐らく過去の経験から、中央集権制に乗っかる快適さを、相当部分残しておこうと考えているからだろうと推察致します。

従って今回同党が重要視するマニフェストにも、「中央集権制を改め地域主権へ、地方で出来ることは地方へ。」と言うだけで、道州制には一切言及しておりません。

 このように、全国に一千数百ある基礎自治体と中央政府とを直結させればどう言う事になるか、之では国の統制は到底取れるものではありません。

この点は橋下大阪府知事も指摘しているところであります。そして又、そんなことでは道州制の最大のメリットである諸々の経済的発展効果は、全く期待できなくなってしまいます。貴党はこの点を突くべきであります。

(四)之に対し貴党は与党時代から、夙に内閣官房に道州制ビジョン懇談会を設置し、道州制基本法や地域主権型道州制に完全移行する工程表も明示しておりました。でも、折角のこの試みも、一部議員の賛同しか得られませんでした。それは大多数の議員において、中央集権制の全廃について、業界に     対し多大の遠慮があったためかと推察致します。

 以上の次第にて、今こそ時代遅れの中央集権制と決別し、正々堂々とその対極にある地域主権型道州制の基本政策を樹立すれば、それこそ最良の対立軸となるでありましょう。従来の中央集権制による鉄の三角形こそ、業界の支援を保つ保守の柱である、という考え方が貴党の内部に残っているとす         れば、それは大変な間違いであります。古い中央集権制では全ての国民が、立ち行かなくなって来ているのであります。そして地域主権型道州制こそ真の経済発展を導き、業界再生にも寄与する唯一の王道である事を、地域社会や業界等に勇気を持って真剣に説明・説得すれば、必ずその理解が得らるでありましょう。税金を従来の箱物から人への投資に切り替え、道州制を活用すれば、経済もよくなり有権者も業界も最大に潤う理であります。

(五)幸い貴党には、道州制ビジョン懇のベースがあるわけですから、その気になれば、話は早い筈で有ります。そして、道州制について今や日本一の権威であるPHP総研社長江口克彦氏が座長でありますから、同氏のリーダーシップを遺憾なく発揮して貰えば、最善でありましょう。

 この際ビジョン懇を、更に発展的に改組し、党最大の基本政策のための根本組織に再構築すべきでありましょう。そして有権者にそのメリットを、若い議員も活用し、全力を以って説明・説得すれば、それこそ民主党に代わって有権者の気持ちを根本的に取り戻す早道となるでありましょう。

 然しながら、この説明・説得は通り一遍では絶対に徹底致しません。何さま、国の形を明治維新以上に、大変革する結果になるものであります。従来中央集権制に依拠してきたベテラン議員の方々は、余程頭の切り替えを要するでありましょう。そして有権者に、地域主権型道州制の具体像を詳細に示さねばなりません。特に重要なのは新組織の役割分担及び経済的メリットの具体的説明であります。そのためには、夫々の地域の活力を高める知恵と工夫が、何よりも求められます。私共が今回、中央集権制による悪政の具体例を30項目に渉り例示させて頂きましたが、これ以上に道州制による経済的メリットを、具体的に例示し列挙することが不可欠だろうと思います。

上述の理により、地域主権型道州制を貴党の根本政策にすることが、貴党再生の唯一の王道であることがご理解頂けたと存じ上げます。

 以上率直に貴党再生の方策を、ご提案申し上げましたが、意のあるところをお汲み取り頂き、乱文乱筆を深謝申し上げ、併せて貴党のご発展ご健闘を心よりご祈念申し上げます。

                                            早々