生活者主権の会生活者通信2009年12月号/01頁




生活者通信【12月号】

第173号・2009年12月01日発行   ホームページ・アドレス http://www.seikatsusha.org/
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政治が見える

生活者主権の会代表 小俣一郎

 補正予算の見直し、来年度予算の概算要求、そ
して事業仕分けと、政治の根幹である予算の編成
作業が国民に見える形で展開されている。
 とりわけ事業仕分けは、公開の場で行われ、ま
たインターネットでも中継され、国民が直接見る
ことができるようになっている。その様子は連日
マスコミによっても報道され、いろいろな経路で
国民に伝わっている。
 その俎上に載った事業のほとんどは廃止や削減、
見直し等の厳しい査定をされ、仕分け人の質問に
返答に窮する官僚の姿が毎日のようにテレビで流
されている。
 このような状況に対して、「公開処刑だ」とい
った言葉が飛び交い、また検討の時間が少ないと
か、財務省主導だとの批判も噴き出している。
 しかし、官僚にはともかく、一般国民にはおお
むね好評のようだ。
 一度つけられた予算がほとんど見直されずに継
続されてきたこれまでの惰性を一度断ち切り、現
状においてもそれが必要かどうかを改めて検証す
る。その姿勢が評価されているのだろう。
 それにしても今回の事業仕分けは画期的である。
これまでベールに包まれていた予算審議が実況さ
れただけでなく、その中で官僚がその事業の正当
性を説明できない姿が、その実情の把握があいま
いで、いかに惰性で運用されてきたかということ
が国民の前に明らかにされたのである。
 テレビ画面では切り込む政治家の姿がクローズ
アップされたが、官僚がその事業の進捗状況を、
その必要性をしっかりと把握していればあのよう
な一方的な展開にはならなかったはずである。事
業仕分けに出席した官僚は、官僚側のその事業の
スペシャリストだと思うが、それがあの体たらく
だったわけである。
 ただこの事業仕分けは、決定ではなく、あくま
でも過程である。概算要求が95兆を超えたとき
もマスコミは大騒ぎをし、その時にも触れたが、
概算要求は要求であって決定ではないし、今回の
事業仕分けも最終決定ではない。
 スーパーコンピューターの見直しなどに危機感
を感じた科学界が早速反撃を始めているが、反論
はどんどんすればいい。事業仕分けはあくまでも
通過点なのだから、改めてその必要性の説明が納
得できるものであれば、当然政治判断で予算案で
は復活するであろう。
 もちろん、事業仕分けで疑問とされたものを再
度ひっくり返すには、それを是とする十分な説明
がなければならない。政治家がその必要性をどの
ように説明するのか、国民は今度はそれを注視す
ることになる。
 高度成長が終わり、「AもBも」ではなく、
「AかBか」を選択しなければならない時代がき
ている。限られた予算をいかに効率よく運用する
か、国民的な議論を展開する必要がある。そのた
めにも今回の事業仕分けのようにいろいろな判断
材料が国民の前に示されることが重要である。


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