本当の勝負は23年度予算

生活者主権の会代表 小俣 一郎


 22年度予算はどうやら年度内に成立しそうだ。

この予算でどのくらい新政権の色を出せたか。それについては、何を重視するかによって当然評価が異なるだろうが、初めての予算編成と税収の大幅な減少という状況の中で、現状でできることはそれなりに行った、といったところではないかと私は思う。

世の中に情報があふれ、しかもその流れがあまりにも速いので、どうしてもそれに振り回されてしまうが、政権交代が起こってからまだ僅か半年しか経っていないのである。

政治が戦後初めて大きく変わろうとしているのである。変革がそう簡単にできるわけがない。政権交代があったといっても、これまでの路線を、制度を支持する人たちも当然存在するわけで、その声をまったく無視して政治を進められるわけでもない。しかも政治の最優先事項である予算の編成作業にまず取り組まなければならなかった。明治維新のときも、廃藩置県が断行されたのは明治4年になってからである。

借金が税収を上回るという状況になってしまうわけだが、財政については、傷んでいるとは思っていたが、ここまでひどいとは思わなかった。それが鳩山内閣の大臣たちの率直な思いではないだろうか。

政府の情報が、野党に提供されるシステムのない日本では、自民党時代の真の内情など当然に知るすべはなかったであろう。マニフェストを作成した際の想定との大きな違いのなかで、苦闘したことが想像される。

前麻生内閣は、無い無いといっていた埋蔵金をも使ってそれこそ「税金を使った事前買収だ」とさえ揶揄されたように、補正予算で大盤振る舞いをした。加えて大幅な減収・・・。しかし、いまそれを言ってもしかたがない。

私は、22年度予算が成立してからが本番だと思っている。これから1年でどのくらい新政権の色を出せるのか。23年度予算がどのような内容になり、それが国民をどのくらい納得させるものになるのか。まさしく、23年度予算が本当の勝負である。

まずは情報公開の徹底である。これは費用もそれほど必要としない。それこそ、財源がマニフェストでの想定とどのように違っていたのか等も含めて国民に正しく伝えるべきである。それによってマニフェストの修正が必要かどうかも明らかになるし、新たな選択肢も出てくるだろう。

予算が衆議院を通過すれば、本腰を入れて法案審議に移ることができる。事業仕分けで評価の上がった枝野さんも内閣に加わり、制度改革に向けて体制も強化された。

国家公務員法の改正案や政治主導確立法案が国会に提案されたが、政治資金規正法の改正等も含めて、23年度予算編成に向けての、制度整備も急がなければならない。

そしてそのような法律案が成立し、より目に見える形で制度が変わり始めた時、内閣支持率は必ず反転し、上昇するであろう。