首相の任期
生活者主権の会 代表 小俣 一郎
日本の不幸の一つは、最高権力者であるはずの首相の地位が非常に不安定で、しかもそこに多くの権力が集中していることだろう。
「首相を代える」動きがまた広がっているようだが、第二院である参議院に過度に力があるという中途半端な議院内閣制のために、日本では何かあると直ぐその方向に政治力学が働いてしまう。
権力闘争は政治の本質でもあり、それを否定するわけではない。しかしそれが議員の思惑で、それこそいつでもできる状態にあることは異常である。そのために国会での議論も、ことさら首相の粗を探すという方向で行われてしまっている。
私は「菅さんが首相に最適だ」と言っているわけではない。現状では誰が首相になってもその制度的な欠陥から安定は望めないと思うだけだ。
首相の選出は定期的に、総選挙という形で国民の意思に基づいて行われるべきで、首相に一定の任期が担保されれば、国会の議論はプラスの方向に向かうだろう。そのための応急対策は、3年毎の衆参同日選挙の実施ぐらいだろうか。
この制度的な欠陥を改善するには、国の権力の多くを地方に移してしまうことが、最良、最速の方法だろう。
国に大きな権力があるから、あり過ぎるから、権力闘争が激化するのである。国が担当する分野が少なくなれば、比例してそれは収まり、また、複雑に絡まった意見対立も整理され、国の政治は分かりやすくなるだろう。
もちろん権力闘争は地方に細分化されて移るが、地方の首長には4年の任期が担保されている。また、地方の能力の問題は、受け皿の規模を大きくすることで十分に対応できるだろう。