自民党は変わったのか
生活者主権の会代表 小俣 一郎
第46回衆議院議員選挙は、自民党の大勝、いや民主党の大敗に終わった。
当会は民主党の政権交代を支援し、また期待したが、今回の民主党政権は期待外れだった。支援した当会からも批判の声が出るくらいであるから、この大敗は、予想以上ではあったが、期待の裏返しとして当然の結果なのだろう。
2005年、2009年、そして今回とあまりの振れ幅の大きさに小選挙区制への疑問も出ているが、政権運営に失敗した党が下野し、政権が再び交代したわけで、政権交代が起こりやすい制度という観点からは制度は機能したと言える。
巨大な自民党に対抗するかたちでできた民主党が割れてしまい、また第三極も結局選挙協力ができなかった今回は自公の圧勝であったが、改めて小選挙区制の特徴が明らかになったわけで、次回は政界再編も含めて、別の動きが出てくることが考えられる。
マニフェストも今回は散々に不評であったが、マニフェストは民主党の政権運営を評価する重要な指標になったわけで、公約に対する国民の監視の目を強めることにはなった。時が経てば改めて再評価されることになるだろう。
ともかく、自公で3分の2を超え、安定した運営ができるかたちで安倍自民党が政権に復帰した。
しかし、大勝したにもかかわらず安倍総裁始め幹部は慎重な発言を繰り返している。1年で与党に復帰した細川政権の時とは異なり、3年間の野党経験で自民党は変わったのだろうか。
確かに3年間の野党生活は世代交代はもたらした。森さん、福田さんの首相経験者を始め、多くの旧幹部が今回引退した。世襲禁止の約束は反故にされ、世襲のオンパレードではあったが、それが世代交代を表しているとも言える。世代の交代は自民党にそれなりの変化をもたらすだろう。大きく変わる可能性もあるかもしれない。
また、2005年、2009年と自民党も「天国と地獄」を経験したわけで、政権の運営を失敗すればまた下野しかねないとの緊張感もあるだろう。実際、自民党の票は増えていない。
今回の選挙の指揮をした石破幹事長の留任が決まったが、一度は自民党を飛び出した石破さんが実権を握る自民党がどのような方向に進むのか。これも非常に興味深いところである。
26日に安倍新内閣が組閣されるが、内定したとされる人事案や、党役員人事から、再登板する安倍さんの意気込みも伝わってくる。
前回は「お友達内閣」と揶揄され、郵政民営化反対議員を復党させて失速した。その二の舞にならぬように今回は心がけるだろう。
選挙期間中は高揚していた安倍さんの外交に対する発言も、いまは慎重である。
そしてマスコミもいまは静かである。
しかし、少しでもつまずけばそれこそすぐに牙をむいてくるだろう。もともと今の日本の諸問題は自民党の長期政権がもたらしたものである。
ただ、もし自民党が3年間の野党生活を糧にしてこれまでとは一味違う政権運営をするのであれば、それは好ましいことである。
新内閣の今後を注視したい。
(24・12・25)