自民党は道州制を導入する気があるのか

生活者主権の会代表 小俣 一郎


 安倍首相は、4月9日に行われた衆院予算委員会の統治機構や政治改革などを主要テーマにした集中審議で、「道州制基本法の早期制定を目指す」ことを強調した。

 それを受けて、自民、公明両党は11の実務者協議で制度導入までの工程を盛り込んだ「道州制推進基本法案」を今国会に共同提出することを合意した。

 ところが、16日の自民党の役員連絡会では「地方団体には異論もある」などとして、慎重に検討すべきだという意見が相次ぎ、結局、丁寧に党内論議を進めることになってしまった。

 この事態に、翌17日に安倍首相は自民党道州制推進本部の今村雅弘本部長を首相官邸に呼び、着実に進めるよう指示したらしいが、そもそも先の総選挙で、自民党は「道州制基本法の早期制定後5年以内の道州制導入を目指す」ことを公約に掲げて政権を獲得したのである。なぜいまごろ地方団体が反対しているなどという理由でもめるのか。地方団体の反対はいまに始まったことではない。それを十分に認識した上で掲げたのではないのか。

当会は「東西2大道州制」(4月に制度の名称を変更)を提案しているが、ここではこれまでの経験から地方団体等の意見にも配慮した制度設計をしている。その意味でも、最も早く道州制を実現できる方法だと考えているが、それはともかく、公明党だけでなく、みんなの党も日本維新の会も道州制に賛成である。政権を取った自民党が決断すれば、道州制は実現に向けて大きく前進するのである。

もしかすると実現の可能性が出てきたので党内からあわてて反対の声が噴出したのかもしれない。

ならば、安倍首相には党内を道州制実現推進の方向で早急にまとめ直してもらいたい。道州制導入は「公約」である。TPPで発揮した指導力を、ぜひ道州制においても発揮して欲しい。

そして後戻りすることのないように、参院選の選挙公約にはその内容をより明確に記載すべきである。もしそれができないのであれば、自民党は道州制の旗を下ろすべきではないか。

25・4・25