東京でのオリンピック開催
生活者主権の会代表 小俣 一郎
2020年のオリンピックが東京で開催されることになった。
マスコミ報道はほぼ歓迎一色だが、個人的には疑問符を付けていた。理由は2つ。「東京への一極集中がさらに進んでしまう」「大地震が首都圏を直撃する可能性が高い」と考えるからだ。
私は、日本でのオリンピック開催自体に反対なわけではない。日本での開催には大賛成である。しかしなぜ東京で行わなければならないのか。
今回の招致過程で、猪瀬東京都知事は4000億円超の基金を積み立てた財政力も強調したが、一強の東京だからこそそれだけの資金を用意できたのではないか。そこに国を挙げて更に支援をすれば東京がますます強くなってしまう。日本全体を考えて本当にそれでいいのであろうか。
大地震も心配だ。197号で言及したように、藤井内閣官房参与は「8年以内に100%首都直下型地震が起きる」と主張している。
藤井氏だけでなく、地震学者の間では過去の歴史から同様の考えを表明している人も多いと聞く。東京オリンピックは7年後なのである。
もちろん、だからこそ、インフラを再整備し、東京をより強くすることで地震の被害をできるだけ少なくするという考え方も成り立つだろうし、東京での開催が決まった以上、その方向で走るしかないのだろう。
しかし、それは東京に富と人を更に集め、日本のバランスをさらに歪めてしまう。
ならば、並行して道州制を推進し、政治の中心を東京から分散させるといった離れ業を同時に行うことでそれを克服するしかないのではないか。道州制を実現することで、人と物の流れを大きく変えるのである。
オリンピックを契機に、東京にある諸問題が、日本が抱える大きな問題が改善できたときに初めて、東京開催を喜べるのではないだろうか。