国の権力を分ける

生活者主権の会代表 小俣 一郎


 特定秘密保護法案が、参院でも与党が強行採決し、12月6日に成立した。

ねじれがあると停滞し、それが解消し安定多数が得られると今度は暴走をしてしまうという現実は、改めて日本の政治システムの改革の必要性を実感するできごとであった。

 当会の意見交換会でも11月、12月とこれについて議論をし、他の会合等でも意見交換をしたが、秘密保護法の必要性は認めるものの、今回の案は秘密の範囲があいまいで、また公開の時期も60年と諸外国に比べてあまりにも長い等々の理由で、今回の案には反対するという人が多かった。

 その中で私が一番問題を感じるのは、この特定秘密保護法が2012年の衆院選でも、2013年の参院選でも自民党の公約には掲げられていなかったということである。

 2つの選挙でアベノミクスを国民の多くが支持したのは間違いない。では、それらの人々は今回の法案に賛成なのだろうか。

各種世論調査では反対意見の方が多かった。もしこの法案を選挙の前に表に出していたら、はたして安定多数を取れていたのであろうか。

 そもそも我が国は、国に力が集まりすぎている。国が扱う内容が多すぎるので、国民の選択の組み合わせが非常に複雑になってしまっている。だから経済優先で投票をしたら、他のことが意図していない方向へ進んでしまうといったようなことが起きてしまうわけである。これは好ましいことではない。

 また、今回採決を急ぐ理由としてとして、予算審議に影響することも上げられていた。国に権力が集まりすぎているので、予算審議自体に時間がかかるだけではなく、国の予算が滞ると地方にも大きく波及し、地方も混乱してしまうというのも現実だ。しかし、だからといって重要法案の審議を強行していいわけがない。

ともかく、国民の多様な意見をより正確に政治に反映させるためには今の中央政府はあまりにも大きすぎる。だから当会は早期にそれを改善する方策として国の権力を国と州に分けることを提案しているわけだが、今回の強行採決は改めてその必要性を痛感させるものであった。

国の権力を分けることで、その担当者を分けることで、国民の選択権は2つになる。経済と外交について、分けて、それぞれについて自分の支持する人に投票できれば、おのずと政治も整理されてくるはずである。

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 道州制実現推進委員会では「東西2大道州制」の小冊子の第2版を今年の4月に出す予定です。

 本年もこの「国の権力を分ける」という提案を中心に当会の活動を行っていきます。