官僚と闘う政治の注目情報詳細(20106)

 

1.若手プロジェクトチーム発足

2010511日 ながつま昭の写真日記)

 本日、34名の若手職員から構成される、厚生労働省の若手プロジェクトチームが発足しました。

 若手プロジェクトチームは、厚生労働省改革を進めるため、省内公募で選ばれたチームです。

今後、「業務改善・効率化」「サービス改善」「国民の声」「ボランティア・NPO連携」「現状把握力強化」「コミュニケーション力」の6チームが、6月下旬の改革提言を目指して活動します。

 ながつま昭は、「若手の斬新な発想で、厚生労働省改革の発火点となってほしい」と述べ、今後のチームの活動に期待を寄せました。

 

 

2.事業仕分けの進化に期待する

2010518日 日本経済新聞−大機小機−)

 民主党政権に対する支持率の低下が続いているが、事業仕分けについては国民の支持と期待は相変わらず高い。

 4月から始まった仕分け第2弾では独立行政法人や公益法人が仕分けの対象となっている。昨年の仕分け第1弾では次年度予算の策定に向けて歳出削減の大きさが話題になったのに比べると、今回は仕分けの目的が目先の予算の削減ではないこともあって報道ぶりは地味になっている。

 そかし、事業仕分けの意義や効果が薄れてきたことを意味するものではない。むしろ仕分けの作業が、表面的な予算の無駄を削るだけでなく、組織・体制や人にまで深く切り込んでメスを入れる段階に差し掛かってきたことを意味している。事業仕分けが進化しているのである。

 たとえ公益法人の事業に財政資金が投入されていなくても、公共性が高くかつ国民がサービスへの対価を支払う事業を行っている場合などは、利用者の視点に立って事業の妥当性をチェックする必要がある。また税制上の優遇を受ける公益法人が行う事業が本当に公益を担っているのかといった視点も重要である。

 本来こうしたチェックは行政機構の中で行われるべきものであるが、既得権や縦割りの壁に阻まれてチェック機能が十分に働いてこなかった。それだけに事業仕分けに対する期待は大きい。

 ただし事業仕分けはもともと短期間に成果を上げることを目指したものではなく、地道な作業の積み上げが必要である。事業仕分けをいかにして不断の行政改革につなげていくかが課題であろう。

 この点で注目すべきは、独自に事業仕分けに着手する省庁が現れたことである。独自の改革案を提示することで行政刷新会議の機先を制しようとする組織防衛的な動きととられないこともないが、本当に成果を挙げられるかは省内の取り組み方次第であろう。

 厚生労働省は省内仕分けの担当部署を設置し、外部の有識者を仕分け人に任命して、継続的な仕分け作業に着手した。どこまで身内を切れるかという疑問は残るが、大臣自らが仕分け会議に毎回出席して本気度を示している。傍聴人も多くはなく、報道機関の注目度もそれほど高くはない。だが、単なる政治的パフォーマンスではない、こうした地道な取り組みこそが本当の意味での政治主導であり、公務員の意識改革を促す道ではないだろうか。(追分)

 

 

3.特別会計抜本見直しへ 行政刷新会議

2010519日 朝日新聞)

 政府の行政刷新会議(議長=鳩山由紀夫首相)は18日、無駄が多く納税者から事業内容や資金の流れが分かりにくいと批判されている特別会計(特会)について、廃止を含め抜本的に見直す方針を決めた。特会の事業を検証して、無駄の排除と資金の有効活用をめざす考えだ。

 この日の会議で、枝野幸男行政刷新相が改革案を提示し、了承された。現在18ある特会について「抜本的な改革が不可欠だ」と指摘し、改革の視点として@社会経済情勢の変化をふまえて今後、国として実施する必要があるかA国として行う事業でも区分経理が不可欠かB特定財源として維持する必要性の検証、を挙げた。

 事業仕分けで見直しを求められた事業などについて各省庁で概算要求段階から総点検し、2011年度予算に反映させる。また、事業仕分け第2弾の前半戦の結果を反映させた「事業の横断的見直し」も決めた。

 

 

4.地方6団体への天下りを根絶 総務相、行刷相に申し出

2010519日 日本経済新聞)

 枝野幸男行政刷新相は18日の行政刷新会議後の記者会見で、原口一博総務相から「全国知事会など地方6団体への総務省からの天下りを根絶する」との申し出があったことを明らかにした。地方6団体は4月の行刷会議で片山善博議員が「典型的な天下り団体」と批判し、行刷相は事業仕分け後半戦で取り上げるかどうか検討してきたが、総務相の申し出を受けて見送った。

 

 

5.メディアを揺るがす“大贈収賄事件”官房機密費を懐に入れたマスコミ人たちの常識

2010520日 DIAMOND online

 419日、野中広務元官房長官がTBSの番組「NEWS23クロス」で初めて暴露してからすでに1ヵ月経った。その間、テレビ・新聞はこの問題を完全に黙殺している。

 一方で、ネットやラジオの中ではこのテーマが論争にまで発展している。そこで問題視されているのは、機密費そのものの是非についてではない。

 ネット利用者やラジオリスナーの怒りの矛先は評論家やコメンテーター、新聞の論説・解説委員、あるいは記者クラブ所属の記者たちにまで機密費が流れていた、という信じがたい疑惑に向かっているのだ。

 

●もはや“大疑獄事件”に発展しかねない大事件

 だが、もはやそれは疑惑ではなくなっているようだ。筆者は、今週から「週刊ポスト」誌上この問題の追及キャンペーンを始めたばかりだが、その取材過程で、すでに多くのマスコミ人が機密費の受け取りを認めはじめている。

 この問題は、その内容だけみれば、政府高官の関わった「贈収賄」であり、もはや政界と報道界全体を揺るがす「大疑獄事件」に発展してもおかしくないものである。

 にもかかわらず、きのう(518日)、「東京新聞」が特集しただけで、いまだにメディアは沈黙を守っている。いったいなぜだろうか。

 答えは言わずもがなである。連日のようにテレビや新聞に登場しては、至極立派な発言を繰り返している至極立派なマスコミ人の多くが、機密費の「毒饅頭」を食らっているからに他ならない。

 畢竟、官房機密費は「政治とカネ」の問題の肝であるはずだ。世界中の健全なジャーナリズムであれば、税金を原資とする機密費が、権力の不正をチェックすべき側のメディアに渡っていたとしたら、大問題となって連日、大騒ぎしていることだろう。

 現に私のもとには英国、米国、中国のメディアから、早速この件に関する取材の依頼が飛び込んできている。

 実際、機密費を受け取ったマスコミ人はどう釈明するのだろう。今回は、「東京新聞」の記事を元に分析してみよう。「東京新聞」からの引用はすべて2010518日付特報欄からのものである。

 政治評論家の三宅久之氏は、中曽根内閣時代、藤波孝生官房長官の秘書から100万円の資金提供があったことを認めた上でこう答えている。

〈藤波氏が予定していた二回の講演会に出られず、代わりに講演し、百万円(講演料)をもらったことがあった。しかし、自分の信条からして恥ずかしいことはしていない。お金の出所が官房機密費かどうかは考えたこともない〉(東京新聞)

 ところが、三宅氏は「週刊ポスト」の筆者の取材記事に対してはこう答えている。

 「(代理講演を)引き受けることにしたら秘書が100万円を持ってきた。藤波のポケットマネーだと思って受け取りました。領収証も書いていない」

 これこそ、「政治とカネ」の問題である。内閣官房からの領収書のないカネは、すなわちそれが機密費である可能性を限りなく高くする。

 さらに、領収書を受け取っていないということは、税務申告を怠っている可能性もあり、所得税法違反の容疑さえも芽生える。

 

●三宅氏はメディアと政治の距離感を勘違いしているのか

 そもそも毎日新聞政治部出身で、政治評論家という永田町に精通している三宅氏が、官房機密費の存在を知らないはずがない。

 仮に、知らないのであれば、余程の「もぐり記者」か、「愚鈍な記者」のどちらかである。

 そしてメディアと政治権力との距離感について、三宅氏はこうも続けている。

〈提供を「断ればいい」と言うのは簡単だが、必ず相手との関係が悪化する。最終的には良心の問題〉(東京新聞)

三宅氏は何か勘違いしているのではないか。ジャーナリズムにおいて良好な関係を維持すべきは、その関係が社会的にも法的にも健全な場合に限定される。

 とりわけ対象が政治権力であるならば、それはなおさらだ。

 むしろ関係悪化を恐れるばかりに、結果として「犯罪行為」の片棒を担ぐようなことになることこそ、恐れるべきなのではないのか。

 

●“賄賂”を受け取らないと世の中が成立しなくなる?

 政治評論家の俵孝太郎氏もこう語っている。

〈昔は一定水準以上の記者が退職したら、その後の金銭提供はいくらでもあった。今は問題視されているが、当時はそれが常識だった。(機密費の使途の一つの)情報収集の経費に領収書は取れない。労働組合や新聞社も同じことで、そうした金がなければ、世の中が成り立たなくなる〉(東京新聞)

 所詮、テレビで立派なことを言ってきた評論家はこの程度の認識なのだ。機密費という賄賂を受け取らないと「成立しない世の中」とはいったいどんな世の中か。

 それこそが記者クラブ制度のぬるま湯の中で権力と一体化し、自らの既得権益を守るために国家・国民を騙して洗脳し続けてきた戦後の日本の「世の中」ではないか。

 広辞苑にはこう載っている。

〈ぎ・ごく【疑獄】 俗に、政府高官などが関係した疑いのある大規模な贈収賄事件をいう。「造船―」〉

 まさしく公金でもある機密費が、新聞・テレビなどのマスコミ機関に渡ったことは、「政府高官」である官房長官による「大規模な贈収賄事件」そのものではないか。

 すべての新聞・テレビは早急に内部調査を始めるべきである。

 

 

6.前知事・片山氏が鳥大で 事業仕分け、「画期的」と評価

2010527日 毎日新聞)

 前知事で鳥取大客員教授の片山善博・慶応大教授が、議会や政治の役割について鳥取大で講演した。行政刷新会議議員も務める片山氏は、事業仕分けについて「与党の国会議員が初めて税金の無駄遣いを監視し始めたことは画期的」と評価した。

 講演は、大学の教職員を対象に24日行われた。片山氏は、事業仕分けで事業の成果について官僚が「強いて言えば、夢のためにやっているんですかね」と述べた一コマを紹介。「役人の説明ができていない。説明能力が低下しているのではなく、説明できないことを説明しているからだ」と指摘した。

 自民党政権時代の予算編成については「密室で行われ、前年の予算枠の範囲内なら中身を見ず、国民のためにならない予算をチェックをしてこなかった」と批判した。

 事業仕分けの意義については、知事時代に職員に説いたという“ミッション(使命)の再確認”という言葉を使って説明。

 「役所が国民のためと言いながら自分たちのための予算が多かったのは、ミッションを見失ったからだ。国会議員の最大のミッションは、納税者のために税の無駄遣いをやめさせること。与党議員が利害に関係なく無駄なものはやめろと言い出した」と述べた。

 地方議員については「地方議会も首長をチェックして無駄なものを削らなければいけないのに、『わしら与党だから守ってあげなければいけない』とか言って倒錯した行動をする議員が多い」と批判した。【宇多川はるか】