官僚と闘う政治の注目情報詳細(2010年7月)
1.官房機密費に特捜部のメス入る
(2010年6月5日 日刊ゲンダイ)
「官房機密費」に検察のメスが入る――。政権交代後の昨年9月、当時官房長官だった自民党の河村建夫衆院議員が2億5000万円の「官房機密費」を引き出したのは目的外使用に当たるとして、大阪の弁護士らが河村議員を背任か詐欺の疑いで東京地検特捜部に告発していた問題で、東京地検特捜部は1日までに告発状を受理することを決めた。
自民党の野中広務元官房長官や、平野貞夫元参院議員が「政治評論家に配った」「政治部記者の遊興費に使った」などと証言し、注目を集めている官房機密費問題。河村が何にカネを使ったのか。一日も早く白日の下にさらす必要がある。(日刊ゲンダイ2010年6月2日掲載)
2.旧自民党政策に戻れと旧勢力が大合唱のナンセンス
(2010年6月7日 日刊ゲンダイ)
鳩山首相の退陣が決まったことで、大新聞・テレビはさっそく、自民党時代の政策に戻れ、官僚政治を復活させろと大合唱を始めた。
「普天間基地移設をめぐる迷走」「政治とカネ」「小沢幹事長の二重支配構造」……。鳩山政権の8カ月間を振り返りつつ、退陣の原因は、鳩山首相が掲げた「理想」が「幻想」だったと一蹴。おまけにポスト鳩山政権に注文を付けて、「外交・安全保障政策の基軸となる日米同盟の強化」「官僚組織を排除する『政治主導』の見直し」が必要だとエラソーに主張しているから笑ってしまう。それだから「旧勢力の守旧派」とバカにされるのだ。
「中国の英字紙チャイナ・デーリーは、鳩山首相の辞任は『日本の親米メディアと米国』に原因があるとし、『親米メディアは鳩山政権の新政策をほとんど取り上げず、マイナスの影響ばかりを報じた』と報道している。海外から見ても、日本メディアの鳩山叩きは異様だったのです」(政界ジャーナリスト)
政治評論家の本澤二郎氏がこう言う。
「今の日本のメディアは完全にジャーナリズムの機能を失っている。官僚におんぶに抱っこで、彼らの言うことがすべて正しいと信じ切っている。明治時代から続いてきた官僚主導でこの国は借金だらけでおかしくなった。だから政治本来の姿に戻そう、というのが昨夏の政権交代。それを元に戻そうという考えは言語道断です」
3日付の英紙タイムズは、鳩山首相のことを「不器用な指導者だったが、変革の道を開いた」と評価。そして鳩山政権の誕生によって「政府とは変革できるものであり、すべきものである」という民主主義の大原則を日本人に教えたことで「意味があった」「良き指導者が後に続くだろう」と報じた。その通りだろう。
イタリアの政治思想家マキャベリは「君主論」の中で、旧制度に依存する敵と、いい加減な支持者に囲まれた中で進める「改革」の難しさを説いている。たった8カ月ですべてがバラ色に変わることはあり得ない。しかし、日本の大手メディアは自分が絶対的だとうぬぼれているから、菅政権になっても民主党はイバラの道だ。(日刊ゲンダイ2010年6月4日掲載)
3.「官僚と政治家が役割分担」=事務次官らに菅首相訓示
(2010年6月10日 時事通信)
菅直人首相は10日、首相官邸に各府省事務次官らを集め、「官僚と政治家がうまく役割分担できたとき、日本の政治行政がしっかりしたものになる」と訓示、「脱官僚」を掲げた鳩山前政権の姿勢を見直す姿勢を示した
首相は「『政治主導』は官僚が必要ないとの意味ではない」と述べ、政策決定での官僚の役割を強調。鳩山前政権を「政と官の関係がややぎくしゃくしたことは否めない」と振り返り、事務次官らに協力を求めた。
4.民間大使外相が主導 丹羽氏中国に起用決定 外務省の人材不足
(2010年6月16日 日本経済新聞)
駐中国大使に伊藤忠商事取締役相談役の丹羽宇一朗氏の就任が決まった。隣の大国への異例の民間大使起用は、外交のプロであるはずの外務省の人材不足をも映し出している。
昨年9月の政権交代前から、岡田克也外相は主要国の大使に、民間人を起用する構想をあたためていた。中でも重視したのは、外務省特定グループの指定席のようになっていた中国大使だった。
入省時の研修言語に中国語を選んだ外務官僚の理想的なコースは中国課長、アジア局の局長か審議官、参事官を経験して中国大使で役人生活を終えることだ。「チャイナスクール」と呼ばれるグループは現在の宮本雄二大使まで、3代続けて中国大使を独占してきた。省内にあった慎重論を、岡田外相は「適任者はいない」との結論で押し切った。
人選は外相が進めた。1、2の候補者があがり、最終的に丹羽氏に決めたのは鳩山由紀夫前首相の時だった。すでに中国政府との手続きも進めていた。
4日、内閣総辞職した際の臨時閣議で、鳩山氏が菅直人首相に渡した「日米、日中、日韓の関係を大切にしてほしい」とのメモには、丹羽大使の人事引継ぎの意味が込められていた。「民間の活用」を唱えてきた首相にも異論はなかった。
政界や霞が関には「外交に携わっていなかった民間人に、政治的懸案がある大国の大使を任せられるのか」との声もある。一方で「外務省は外交官ではなく、外務官僚になっている」など「外務省大使」への不満が多かったのも事実だ。
首相は「官僚をはねのけることが、脱官僚ではない」と官僚排除はしない、と繰り返す。例えば米国では、主要国大使は大統領選の有力支援者への論功行賞ポストであることも多い。その場合にはナンバー2に国務省の有能な実務派をつけ、政と民を代表する大使を、官が支える体制をつくっている。
ブラジルやベトナムなどでは新幹線、原発の受注競争が激しさを増し、主要国は政官民が一体となって取り組んでいる。民間大使を官僚が支え、政治も官僚を使いこなす。それが民主党が掲げてきた国家戦略、政治主導の前提になる。
5.天下り法人の役員ポストを一般公募
(2010年6月18日 ながつま昭の写真日記)
本日、ながつま昭は、閣議後記者会見で、厚生労働省における天下りの現状と対応策について記者発表をしました。
ながつま昭は、「4月1日現在、厚生労働省所管の公益法人のうち、国家公務員OBが常勤役員として在籍している法人が264法人。常勤役員の国家公務員OBが320人でした」と報告。
その上で、「厚生労働省所管の公益法人の役員について、役員ポスト自体が本当に必要なのかどうかを厳しく見直した上で、役員が交代する場合には、役員ポストを一般公募をしていく」と述べ、公益法人に対して、役員ポストの公募を強く要請する方針を示しました。
6.<事業仕分け>第3弾10月に 18特会の存廃判断
(2010年6月23日 毎日新聞)
蓮舫行政刷新担当相は23日、民主党本部で会見し、現在18ある国の特別会計(特会)の存廃を判断する「事業仕分け第3弾」を10月中旬から実施すると発表した。第1、2弾の仕分けで、特会は一般会計に比べ国会の監視が届きにくく、無駄の温床になっていると指摘されていた。第3弾ではすべての特会について必要性や資金の流れを検証し、一般会計との一体化を含めた存廃を判断する。
仕分け対象となる18特会(51勘定)の歳出総額は176兆円。菅政権で復活した党政調に新設する「行政刷新PT(プロジェクトチーム)」とも連携し、これまでの仕分けなどで存在意義が疑問視されている、経済産業省所管の貿易再保険特会や、国土交通省の空港整備勘定(旧空港整備特会)などが存廃論議の中心となりそうだ。
会見で蓮舫氏は「特会は区分経理の意味があったが、いつしか既得権益になっている。今と当初で目的が一致しているかも踏まえて仕分けたい」と意欲を示し、特会の見直しを公務員制度改革につなげる意向も示した。また、同席した民主党の枝野幸男幹事長は国会議員の定数削減についても「幅広い党派の合意を得たうえで相当早く進めたい」と決意を語った。
政府は仕分け第3弾と並行し、これまでの仕分けや各省庁で実施した「行政事業レビュー」の結果が、11年度予算に生かされているかを検証する「再仕分け」も実施する。【小山由宇】
7.外相、外務省顧問を解任 谷内氏ら5人 今月1日付で
(2010年7月2日 産経新聞)
岡田克也外相は2日の記者会見で、事務次官経験者らが就いている外務省顧問5人全員を1日付で解任したことを明らかにした。解任されたのは、林貞行、柳井俊二、野上義二、谷内正太郎の各元次官と加藤良三前駐米大使。5人はいずれも自民党政権時代に任命された。民主党が進める政治主導をアピールする狙いがある。
外務省によると、顧問は非常勤の国家公務員で無給。外交交渉などで助言を求めるために任命され、任期は最大10年。
岡田氏は「次官経験者が自動的に顧問になるという慣行は適切ではないので退任してもらった」と解任の理由を述べ、次官経験者らには今後も助言を求めていく考えを示した。しかし、顧問を外れると守秘義務がなくなり、国家機密にかかわる内容の相談を行うのは困難になる。